「うるさい」
つぶやいて、”はっ”と気づく。そんな不満を今まで口にしたことはなかった。
不満げな表情を浮かべる同僚を横目に、私の心がうめいている。
「苛立ちたくない。嫌な人だと思われたくない……。」
忙しく過ごしていると抱えている問題に気を取られてしまい、周囲に対する配慮がなくなっていきます。
心に余裕がなくなり仕事に追われ、疲労感が募る。憂うつが気分を侵食していく。
精神的なゆとりを持つためにはどうしたらよいのでしょうか?そのために、
選択する自由を手にしましょう!
忙しくても余裕を感じて過ごせる根本的なメンタルを、7ステップでご紹介します。
目次
精神的な余裕が無いのは、恐れがゆとりをなくすから
厳しいストレスは恐れがもたらす
楽しい仕事がある一方で、追い詰められてやらざるを得ない仕事もあります。
家族の団らんに幸せを感じることもあれば、過度な干渉が窮屈に感じることもある。
しかし仕事や家庭のように、特定の何かが精神的余裕を奪っているわけではありません。
ストレスを感じるから余裕を失ってしまうんです。
特に強いストレスは、恐怖から引き起こされる。
行動をすると刺激が起こり、ストレスの原因となる。嫌な予測をさせる刺激は恐れを感じさせます。たとえば
納期に間に合わないと(←刺激)信用を失う。受注がなくなって、倒産するかもしれない。
仕事をたくさんこなさないと(刺激)、出世できるはずがない。
高い目標を立てないと(刺激)、ごく平凡な人間のまま終わってしまう。
ネガティブな結果を予測すると、そこから逃げたい、または戦いたいと体が身構える。それがストレスの原因になるのです。
ストレスを受けると(中略)下垂体と副腎からのホルモン分泌が促進され、心拍数の増加、血圧の上昇、食欲の低下などが生じる
このような反応が続くと体に不調が生じますよね。体の不調は心にも影響するので、精神的なゆとりは奪われていきます。
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問題に集中しすぎる
状況を打破しようとがんばれば、集中力が高まり成果が向上するかもしれません。
しかしストレスを受け続けると次第に追い詰められてしまい、心の余裕を失ってしまいますよね。
問題を抱えた状況が続くと、無意識下で解決方法を探しつづけます。
それだけならいいのですが恐怖に突き動かされると、不安な気持ちを何度も繰り返してしまう。
不安を感じると心が焦ります。しかし問題に集中すればするほど、注意できる範囲が狭まり冷静に状況を判断できなくなる。
リラックスしていれば簡単にできる課題でも、視野が狭くなると難しくなってしまいます。
困難さを感じると苦しくなり、なにか気が休まることを探すので、不本意なもの(マンガ・ゲーム・ネットサーフィンなど)に現実逃避してしまいがちです。
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自己中心的な思考におちいる
ストレスを感じて心の余裕を失うと、自分に自信が持てなくなってきます。ふがいなさに差を感じ、理想と現実のギャップで苦しむ。
傷ついた心を癒やそうと求めてしまうので、利益が確かでない行動をためらってしまいます。
損をすることを恐れ、思い通りに動いてくれない人を責める。自己中心的な思考におちいってしまいます。
人によっては自分より不利・不幸な人と比べて「自分は優秀だ」と納得させようとする。
自己中心的な人は自分を正当化しようと求め続けるので、周りの人を攻撃して傷つけてしまうこともあります。
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以上のように精神的な余裕を失うと、その問題は自分の心だけではなく、周りの人たちにまで悪影響を及ぼすかもしれません。
心にゆとりを持つためにはどうしたらよいのでしょうか?
行動の自由を持てばいいんです。
精神的なゆとりを持ち自由な活動をするためには、考え方を変える必要があります。
精神的ゆとりが持てる7ステップ
1.一時的にリラックスできる手段の理解
どんなに苦しい状況でも、意識的にリラックスすることは可能です。
日々をマラソン大会だと考えてしまうと、一度も立ち止まれない。しかしジョギングだと考えれば、立ち止まることは許される。
しなかったら取り返しのつかないほど、恐ろしい問題が生まれることは、それほど多くはありません。
納期に間に合わず一時的に取引先の信用を失ったとしても、事後の対処を丁寧にすれば余波は広がりません。信用だって取り戻せるかもしれない。
必要のないことを恐れ続けて余裕がないまま走っても、いつかは挫折してしまいます。
精神的な苦しみを感じたら、いったん作業を止めてリラックスを試みる。
そのためには自分なりのリラックス方法を理解している必要があります。一度ノートなどに書き出してみましょう。
- 散歩に出かける
- 太陽を浴びる
- 家事をこなす
- 少し寝る
- 歌う
お好みのリラックス方法でよいのですが、熱中しすぎて抜け出せない恐れがある行動は避けたほうがよい。たとえば
- ゲーム
- テレビ
- YouTube
- SNSウォッチング
など、やめようと思ってもダラダラ続けそうな行動は除外します。
僕の場合は不安を感じたら、まず深呼吸をする。
- 椅子に腰掛けて、背筋を真っすぐにし、体の力を抜く
- 鼻から息をゆっくりと吸う(5秒程度、おなかにためる感じで、腹式呼吸)
- 口から息をゆっくりと吐く(5〜10秒程度、おなかをへこませる感じで)
少し気持ちを切り替えるだけなら、僕の場合1分程で効果が出ます。コツは
- 呼吸に意識を向ける(吸った・吐いたと考えても良い)
- 雑念(不安)が浮かんだら、捨てるイメージで(ささ舟に乗せて川に流す・消しゴムで消す・投げ捨てる)
このように手軽にできるので、重宝しています。
リラックス方法については、以下の文部科学省のページが参考にできますよ。
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2.するべきことを冷静に見直す
一時的にリラックスを続けても、精神的負担の根本を取り除かなければ再発が続く。
根本的な解決のためには、精神的なゆとりを持つ必要があります。ゆとりがないと行動に追われ続け、自分自身でしたいことを選べません。
したいことをする余裕を得るために、自分にとって今の状況が適切かどうか検証してみます。検証は自分の願望に対し、冷静に考慮する形で行う。
- 昇進したい→昇進したほうがいいが、焦ったらうまくいかないだろう
- お金持ちに成りたい→成りたいが、がむしゃらに行動しても効率が悪い
- 優秀な子どもになってほしい→習い事を押し付けても苦しめるだけだ。子どもを支援するつもりでいよう。
願望を持つことは悪くありません。しかしそればかりに注目してしまうと視野が狭まり、持てるはずの選択肢を見つけられない。
現状を受け入れる気持ちを持てれば、願望に振り回されなくてすみます。精神的なゆとりを持ったほうが、願望は成就しやすいんです。
仕事などを「しなくてはならない」と思い込んでしまうと、仕事に興味が持てず、いやいや作業をこなすだけになる。
しなくてもいいことを見極めて、仕事をしないという選択肢を検討してもいいと思いますよ。
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3.身体的な充実を図る
肉体の不調は、精神の不調に直結します。もし運動不足になりやすい生活環境にいるのなら、必ず運動習慣を持つ。これは鉄則です。
時間の余裕が取れるのなら、ウォーキングや軽いジョギングをして体を動かすと、ゆっくり考え事もできるのでおすすめです。
しかし忙しくて時間が取れないのなら、短い休憩中でもこなせるエクササイズを取り入れましょう。
おすすめはアイソメトリックトレーニングです。
アイソメトリックトレーニングは、押さえる・支えるなどの筋力トレーニングを、場所を選ばず(少しのスペースで)に実行できます。
器具を必要としない運動がほとんどなので、オフィスなどの環境でも取り入れられます。
方法は以下のページがわかりやすい。参考にどうぞ。
アイソメトリックトレーニングの効果的な方法14選!等尺性伸縮運動で身体能力アップ!
また僕は最近、省スペースで自転車運動ができるエアロバイクを買いました。
ペダル部分しかないのでとても小さい。狭い賃貸住宅の我が家でも、置く場所に困りません。
お湯を沸かしている時間などの生活の一コマで、太ももの筋肉を効果的に鍛えられるため重宝しています。
4.ギブ・ギブ・ギブ・アンド・テイク
もし損得に敏感になっているなら、精神的余裕が失われていると考えられます。
自分が得をしないのが悔しくなり、周りの人が成功すると自分が情けなく感じる。
嫉妬に苦しみ自尊心を保てないので、自分より未熟な人を馬鹿にして、偽りの誇りを舐めずる……。
人付き合いは周りに与えられる人が正しいとされます。ギブアンドテイク、社会では与えるから得られるという関係性を求められる。
しかし誰かに与えたことに対して返礼がないと嫌な気持ちを持つ
特に精神的なゆとりがない人は相手と距離を置こうとしたり、反対にお礼がないことを責め立てたりします。
誰かにしてあげたことが全て思い通りに受け取られるとは限りません。
ありがたく思わないかもしれない。事情があって感謝する余裕がないかもしれない。
それでも初めから返礼をあきらめていれば、余計な気苦労は感じませんよね。
だから3回尽くして1回礼を期待するくらいの心持ちでいればいい。仏の顔も三度まででいいんです(ことわざの使い方が間違っていますが……)。
まったく礼がない人に尽くすのは、喜びが生まれないため、与えた側のメリットが小さい。
3度尽くして礼がなければ、協力関係を断ち切っても良いのではないでしょうか。
もちろん相手のためになる援助をしているのか、よく考える。
行動の選択権を相手が持つように配慮をするように心がけ、打ち解けられる関係性を目指します。
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5.目的志向になる
人は基本的に常日頃から行動の目的を忘れ、惰性で動くことが多いんです。ごく日常的な例でいうと、
- 靴を履く→誤:外に出るから→正:外に出て足を傷つけないため、歩きやすくするため
- 掃除をする→誤:部屋をキレイにするため→正:散らかって不衛生になるのを防ぐため、気分良く過ごすため
- 歯を磨く→誤:虫歯を防ぐため→正:健康な歯を保ち食事を楽しむため、痛い目にあいたくないため
(これほど日常的なことまで考えなくてもよいですが)行動には目的があることがわかるでしょうか。
仕事の目的を見失うと行動が改善できません。自分のしていることに疑問を持てず、惰性的に働いてしまう。
またチームを組んで仕事をすると、仲間と同じ目標が持てるはず。だから一緒に行動ができるんです。
しかしどんな利益のために行動するのか、根本的な目的を理解できていないと、どちらのアイデアが正しいのか決めるために無意味な論争が起きてしまう。
仕事に追われて精神的な余裕を失うと、何のために行動しているのか見失ってしまいます。
どんな場面でも目的の確認を忘れない。目的が鮮明になると、行動の選択肢がしっかり見えてきます。
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6.日々の達成感を確かめる
追い詰められて日々を過ごすと、自分自身を省みられません。しかし一日5分でよいので、一日の振り返りをする時間を設けましょう。
毎日の活動を振り返り自己評価をすることで、達成感を味わえます。
もちろん良い成果が出たら達成感を得られますよね。しかしそれだけだと成果が悪い日は反対に思いつめてしまう。
なので日々を完遂するということに、誇りを持つようにします。
自分で決めたスケジュールをこなそうと毎日がんばると、全てできる日があれば、できなかった日も出てくるはず。
全てできた日はとにかく自分を褒めます。できて当然と思いません。当たり前と割り切ってしまうと、喜びを得られないのでもったいない。
余裕がある達成が続くようなら、スケジュールを忙しくする検討をしてみます。
反対にスケジュールを全うできなかった日は、なぜできなかったのか理由を検証する。
予定の組み方に問題があったのかもしれませんし、サボる時間が多かったのかもしれない。
達成できなかった理由が分かれば対処ができます。喜べなかったといって、落ち込む必要はない。単に考察をすればいいだけです。
未達成の仕事があったら、翌日以降に挽回できるかスケジュールを組み直してみる。
無理が生じたら優先順位が低い仕事を見つけて、やらないように調整します。仲間に頼んでもいいし、あきらめてもいいんです。
達成感のような毎日得られる喜びは、精神的余裕を持ち続けるエネルギーになる。積極的に喜びを感じるようにします。
ストレスの限界サインは集中力低下。仕事のペースを管理して改善
新しいチャレンジを始めたときは希望に満ちあふれていました。 しかし集中力が続かずに停滞を感じる。 「こんなつもりじゃなかったのに……」「私ってダメなのかな……」 積み重なるストレスを放置して心がむしば ...
7.どんな行動にも意義を持つ
仕事はやりたいからするべきであり、やりたくない仕事はやらないのが理想的です。
しかしやりたくない仕事も任されてしまいます。その場合イヤイヤ取り組んでしまうと仕事をやらされているだけになり、自分の力にはならない。
戦略的にはやりたい仕事へ取り組むように調整していきますが、やりたくない仕事でも興味を見いだして知的好奇心を発揮します。
たとえば普段は資料作成ばかりしている人が「オフィスの蛍光灯を変えてくれ」と頼まれたとき、
- 他部署の人に声をかけるチャンスだ。脚立を支えてもらえばコミュニケーションが取れる
- 効率よく蛍光灯を交換する戦術を考えて実行しよう
- デスクの上を観察して、周りの人がどんなことに興味があるのかリサーチしよう
というように思考を要するポイントを見つければ、どんな仕事でも自分の力に変えられます。
達成感と同様に、知的好奇心が満たされれば、日々の生活から喜びを得られる。
したくない仕事でも興味を持てば、やる意義が生まれる。これが行動に自由を感じる秘訣です。
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おさらい
精神的なゆとりを感じていないと、自分自身にも周りの人に対しても優しくいられない。
真剣に物事に取り組んでいるのなら、そもそも意欲は高かったはず。自分に厳しい性格が行き過ぎているのかもしれません。
自分の役割にとらわれて苦しむのは本意ではないはず。自由を手にするために行動を変化させましょう。
まずはリラックスする方法を知り、自分のしたいことを見つめ直してください。
毎日の生活を大切にして、喜びを感じられれば、精神的なゆとりは次第に取り戻せます。