毎日……同じことを繰り返す。会社に行き、仕事を消化し、時折ムッとし、家路につく。
ときに憂うつになり、このままでいいのかなって思う。仕事、やめちゃおっかな。でも……。
成長を感じられないと幸福感が満たされません。
憂うつな気持ちを抱えると自信が持てなくなってきます。自己啓発書を読むが、なかなか行動は変わらない。
どうしたら自分は成長できるのでしょうか?
セルフモニタリングをするんです。
自己成長と言う概念を解説し、
心を見つめる意義を検討します。
目次
3つの視点で見る自己成長に必要なこと
生きるやる気の源泉:自己成長
そもそも自己成長とはなにか。こんな命題を考えた経験がある人は少ないかもしれません。
しかし長い人生で考えてみると、自己成長の喜びは何度も訪れる有意義な幸せと言える。
自分で努力して成長していくこと。自ら促して成長していくこと。
「自己成長(じこせいちょう)」の意味や使い方 Weblio辞書
自己成長には似た字義を持つ言葉があります。「自己研鑽(けんさん)」や「自己啓発」などが思いつく。
全てに共通するのはより良く生きたいという思いから、知性や能力、人格などに磨きをかける行為でしょう。
より良く生きるとは、社会に最適化していくという面が強く影響します。
これを踏まえて3つの視点で自己成長を考察します。
- 知性
- 技術
- 精神
1.知性
問題解決をした経験を増やすと、自己成長を感じられます。
読書や交流で得られる学びから、自分なりに取捨選択をして知識を得るなどして、問題解決のために試行錯誤していくと教訓が得られる。
模範的な人に感心したり、いわゆる反面教師に自分を重ねたりして、考えを最適化します。
特に仕事や学びでは解析された行動パターンがある。ハウツーという言語化された知識を練習すれば次第に技術が高まっていきます。
豊富な知識があると未知の問題でも既知の経験に照らし合わせて考えられる。
思考の幅は広げるためには多彩な知識があるとユニークな考えを類推しやすい。
考える力が向上すると自己成長といえます。学びを習慣にして能力を高めます。
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2.技術
カンは体を動かして身につく技術ですよね。
言葉にして説明できないけれど、自然に動かせる体の動きを暗黙知といいます。カンは行動を上手に行うための暗黙知です。
一方でハウツーは言語化できる形式知の一種です。
相手に伝えられるコツなんて呼ばれている。
一つの作業を繰り返していくと、カンやコツが身につきます。これらが多くあると行動はより適応的になっていく。
行動が熟達すると自己成長を感じられます。
3.精神
一般的には知性と技術は自己研鑽的要素で、精神の成長は自己啓発的というイメージがあるかもしれない。高い人格を目指すのが精神的な成長といえます。
自己成長をすると問題解決力が高まる。とりわけ精神的な成長は直接的な解決力を高めるというより、解決力の基礎になる効果が強い。
- 柔軟な価値観、多彩な好奇心
- 仲間と協力し合える協調性
- 誠実で飾らない心
- 攻撃やプレッシャーでへこたれない強さ
- ストレスを感じても自力で立ち直れるレジリエンス性
など上げるとキリがありません。
精神的な成長は一言で語れませんが、あえてまとめると「問題に向き合い解決する意志の力」といえる。
このように自己成長は3つの視点で確かめられます。
自己成長に気づく
ストレスを乗り越えて成長する
自己成長に気づくと「自己成長感」という一種の幸福感が湧きます。つまり快感を覚える。
どんなときに気づくのでしょうか?
ストレスを乗り越えたときに、自己成長を感じられます。
気づいていないときでも、少しずつ能力は向上している。試行錯誤で行動が最適化されると、知性・技術・人格の三点は成長しますよね。
- 私は強くなったなあ
- 能力が高まったようだ
- 一つ上のステージに立てた気がする
成長の感じ方は個人や状況で多少の差があります。しかし共通しているのは問題が困難でなくなったという感覚です。
まず問題が生じたときにストレスを感じますよね。
- 同僚に陰口をたたかれていた
- 志望校に受かる気がしない
- また今月も赤字のようだ
こんなストレスを乗り越えたとき、どのように感じるのでしょうか。
- 同僚も大変なんだなぁ。そう思うと気にならない。明日から優しくしてあげよう。
- 毎日努力を続けたから、合格水準に達したようだ。まさに継続は力なりだな。
- なんとか黒字にできた。諦めず新しい企画に取り組み、成果を出せるようになった。
そこで気づく、「私は成長したなぁ」と。
ストレスを乗り越えると成長を感じますが、反対にできたことができなくなると衰えを感じます。
年をとると衰えたなぁと感じることが多くなる。しかしストレスに立ち向かう場面は、年齢に関係なく訪れます。
いくつになっても成長は感じられるという事実を忘れてはいけません。
環境に順応していく
時代や地域、環境による傾向はありますが、人それぞれ違う成長の形を持ちます。まさに十人十色です。
特に特性や環境は成長に強く影響します。たとえば
昔は交渉術を本気で磨いていた。マネジャーになった今、試行錯誤して暗かった組織を明るく活気のある雰囲気にできた。
どちらも努力をした結果、できなかったことができるようになったので、成長を感じられた。
若い頃は何かとお金を巻き上げる技術に苦心していた。年をとって人の役に立つ喜びを求めボランティア活動に熱心になる。
方向性はまったく違いますが、試行錯誤で困難を克服して成長を感じるという一点で一致します。
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ストレス克服の段階
ストレスの克服は3段階で進んでいきます。
- 状況を自分事として受け入れる
- 状況を改善しようと試行錯誤する
- ストレスの改善を感じる
1.状況を自分事として受け入れる
環境に慣れないと、ストレスを克服する気にならない。
「なぜ私がこんな目に合わなければならないの」と何かのせいにする他責的な人は、自己成長を感じるきっかけを持てません。
現状を否定せず、自分の行動を変える意識を持つ。
意識的な決意をしても、無意識的に抵抗をしても、行動を変える意識は持てます。
2.状況を改善しようと試行錯誤する
問題を解決しようと自分の行動を変え始めます。たとえば
- いろいろな勉強法を試す
- 先輩に聞いたり、書籍を読んだりしてノウハウを学ぶ
- きつくてもあきらめずベンチプレスを上げようとする
この時点で自己成長は感じませんが、能力は育つ。
3.ストレスの改善を感じる
能力が高まり続けると問題が解決した感覚を得られます。そこで自己成長感を感じられる。
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これらのように自己成長感とは実際の成長ではなく、成長に気づいた感覚のことです。
注目しないと気づけません。つまり無意識の成長は知覚できない。
「自己成長をする」というのは主観的な感覚によって語られるのです。
そのため本当に成長したのか、定かではありません。
自己成長感のワナと利点
効力感による誤解
とにかく「成長した」と感じれば、自己成長した気になってしまう。
ストレスを乗り越えたら自己成長を感じる。だから一時的にできる感を得ただけで、ストレスを乗り越えた気になってしまう。
困難な課題でも、自分ならできると感じる気持ちを「自己効力感」といいます。
能力や実績で自信を得られれば、本当に成長した可能性が高い。しかし他人に勇気づけられただけでも自己効力感は高まる。
このような勇気づけで得られた自己効力感を錯覚して、自己成長だと認識するのは間違いです。
また実績がある人と関係を持ち、その権威にすがることで、自分は優れていると勘違いしてしまう。
能力の向上を伴わない自己効力感を成長だと思わないように、気をつける必要があります。
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自己成長を助ける自己効力感
しかし成長には自己効力感が欠かせません。
困難に立ち向かうためには前向きな気持ちで課題に取り組む必要がある。
自己効力感を高める要因は3つあります。
- 自分の成功体験
- 高い心的エネルギー
- 周りの人の影響
自分の成功体験
困難を乗り越えた経験が多ければ、やればできる感は高まります。
立ち向かう問題と違う種類の活動でも、成功体験は自分の意欲を高めます。
高い心的エネルギー
幸せな気持ちは勇気を導き出します。
満たされていると自信を持てば、少々ストレスを感じてもへこたれないと思える。
周りの人の影響
周りの人から勇気づけられると、やる気が高まります。
グループに自己効力感が高い人がいると、自分も引っ張られ行動できる。
成功体験を周りの人から得たとしても、自己効力感は高まります。
これらの手段を活用して、やればできると感じられれば、困難に立ち向かう勇気が湧く。
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自己成長で一番必要なことはメタ認知
精神の成長は主観により変わる
昔から哲学者や宗教家と呼べる人たちが、精神的な成長についての考察を繰り返しました。
人が優れていくその先には真理があるように感じられる。実際に真理はあるのかもしれませんし、正しいという思い込みだけなのかもしれない。
しかしその時代に合わせて正しく考えられることには誤差があります。時代や地域で社会正義は異なるのです。
自己啓発書や宗教書籍、哲学古典を読んで、先人から学ぶ姿勢は健全な精神を育てると思います。
ただ情報をうのみにせず、自分なりの道徳観を持ち、成長する方向を自ら選ばなくてはいけません。
人は関心に向かって成長します。どの活動で経験を得るか取捨選択をする責任は自らにある。
つまり自分の思想が自分の将来像を決めるのです。
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メタ認知で成長を選び、やる気を継続する
試行錯誤が自分を成長させます。
関心を持ちやすい仕事や勉強なら創意工夫はできるでしょう。
しかし意識しないと自分の心に関心が持てない。関心を持てないと思慮深く行動ができません。
感情に影響するあらゆる刺激に対して、深く考えず反応していくと、一時的なストレス対処方法しか身につかない。
怒ったり、他人をおとしめたり、逃げたり、流されたり……そしてまた同じストレスを感じ続けるのです。
自分が今なにを考えているか、そこに着目する思考を「メタ認知」といいます。
ストレスなどの刺激に対して反応する前に、メタ認知をすれば思慮深く考えられる。そのため多様性のある行動を選べます。
また毎日セルフモニタリングをして省察します。
セルフモニタリングとは自分自身を監視することです(自己監視のことですが、自己〇〇が多すぎて混乱するのであえて横文字で書きました)。
もしストレスに対して反応的な対処をしてしまっても、反省して行動を変えられる。
たとえば仕事終わりの電車の中で一日の振り返りを思い巡らせる。ノートなどに書き出せば考えが偏らないので均質に検討できます。
日記を書く・ブログを書く・SNSに書くなど、表現をする場を活用すれば、自らの思考に向き合う仕組みを作れます。
どのように成長するのか自分で選べるんです。セルフモニタリングを忘れずに。
心に向き合って豊かな人生を歩みましょう。
ストレスの限界サインは集中力低下。仕事のペースを管理して改善
新しいチャレンジを始めたときは希望に満ちあふれていました。 しかし集中力が続かずに停滞を感じる。 「こんなつもりじゃなかったのに……」「私ってダメなのかな……」 積み重なるストレスを放置して心がむしば ...
おさらい
自己成長を感じると幸せな気持ちになる。
適度なストレスを乗り越えたときに、自分の成長は実感できます。自信を持てば努力を続ける力が身につくんです。
問題なく日常を過ごすと成長は感じられません。課題を見つけて取り組み、ストレスを克服しましょう。
能力を効率良く育てるために、自己効力感を高める。
セルフモニタリングをして客観的に自分を見る。
試行錯誤が己を育て、成りたい自分はメタ認知が導きます。