人前でのスピーチ。いつも声が震える。
緊張しないツボを押して、おまじないもかけた。だけど心配は消えない。そんな方法ではまた、私はあがってしまうのだろう。
あぁ緊張しない人になりたい……。
発表や演説は、緊張する人にとって苦しい時間です。
少しなら集中力を高めるのでむしろ必要ですが、過度の緊張は自分のパフォーマンスを著しく下げてしまう。
激しい緊張をなくす方法はあるのでしょうか?
3つの心がまえで準備し、心に余裕を作っておく。
その後は本番前に集中力を高めるだけです。
目次
1.練習すれば、人前で話すときの緊張は克服できる
練習するためには時間が必要
「発表課題の練習が足りない……」激しい緊張は練習不足が原因になりがちです。
自信が持てない行動は、できるかどうか不安なため、劣等感を刺激しますよね。
「バカにされたくない」と感じてしまったら、必要以上に他者の視線が気になりだす。
他者の視線を気にしすぎると、雑念に心を支配される。
結果として集中するべきタイミングで注意力が散漫になってしまうでしょう。
練習不足を解消するために、いちばん大切なことってなんでしょうか?
十分に練習することですよね(当然ですが)。
そのためには時間の確保が必要なのです。
時間の確保のためにできることをいくつか例に出してみましょう。
- 重要度の低い仕事はしない
- 効率の良い時間運用を心がける
- 計画的に遊ぶ
重要度の低い仕事はしない
仕事や課題を多く抱えることが悪いとは思いません。
しかしそれほど重要ではない仕事に時間を取られてしまうと、集中すべき課題を練習する時間がなくなる。
自分にとって重要でない仕事は、やる気を出すのが難しく、不満の原因になるでしょう。
結果としてストレスがたまり、精神状態が悪化してしまいます。
自分の仕事量を自己管理し、他の人でもできる仕事は、手が空いている人に振り分けるなどの対応を取りたいところです。
仕事が忙しすぎる。断りたい仕事を断らずなんとかするアイデア効率の良い時間運用を心がける
人に与えられた時間は誰しも平等に24時間あります。つまり時間を増やす努力はできない。
よって練習をたくさんするためには効率的な時間の運用を意識すればいいですよね。
- リラックスの時間をもうけて睡眠の効率を良くする
- 意味もなくコンビニなどによらない
- 作りおきで調理時間を減らす
この他にもできることはたくさんありますが、要するに一分一秒を大切に生きようということです。
課題の練習に集中することが、何よりも大切です。「やった今日は3時間も練習できる」と喜べるように、自己管理で時間を捻出します。
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計画的に遊ぶ
もし時間があっても、するべきことをないがしろにしては意味がありません。
確かに遊びで得られる快感は、ストレスを減らしてくれるでしょう。
しかし「薬も過ぎれば毒となる」というように、遊び過ぎは練習時間を減らすどころか、ストレスをためる原因になる。
僕は小学生の頃「ゲームは一日一時間」と母に決められていましたが、大人になった今は誰かが律してくれるわけではありません。
「遊ぶ」という行動を自己コントロール下で制御してストレスを解消すれば、生産的な活動のエネルギーにできます。
しかし無理に遊ぶ必要は決してない。そのぶん練習したほうがもちろん適切でしょう。
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2.不安に慣れる練習をし、緊張を克服する
実際にあなたが傷つくわけではない
そもそも緊張はターゲットに対して一点集中するために、余計な情報を遮断する効果を持ちます。
一点に集中できると行動の精度が高まるので、やはり緊張は必要なことなのです。
しかし不安という雑念が思考を支配すると、集中できなくなる。「集中しなきゃ」と焦ってしまうと、さらに思考が混乱する……。
結果として頭は真っ白になり、体がぎこちなくなる状態、過緊張におちいってしまいます。
つまり緊張が悪いのではなく、不安に心を奪われるのが問題なのです。
不安は心を落ち着けることにより、いくらかは軽減できる。
他の記事で心を落ち着ける方法をいくつかご案内しました。
しかし対処療法では限度があります。
根幹的に焦りを生まない心を育むためには、不安に慣れる習慣を持ちましょう。
ではどうしたら不安に慣れられるのか?
積極的に不安と接していけばいいのです。
実のところ不安というのは取り越し苦労である場合が多い。
例えば多くの幼児はオリの中にいるライオンから威嚇されると、恐怖を感じて泣き出してしまいます。
一方で大人は多少の恐怖を感じるでしょうが、おびえて逃げ出すことはありません。
大人はオリの安心感を知っているため、安定した精神を保てますよね。
つまり不安に慣れるというのは「この問題では自分が傷つくことはない」と理解することです。
不安を受け入れるイメージトレーニング
大勢の人に向けて、スピーチをすると考えてください。
あなた一点を見据える1000以上の目、無表情の500の顔。想像するだけで手に汗を握り、胸が苦しくなる。
しかしここは想像の中です。あなたが本当に傷つくことはない。
カンペを持ち、落ち着いて課題を発表してください。
大事なポイントに抑揚をつけて、言葉を紡ぐ。
次第に1000の目は2つずつ目尻が下がり、500の表情が笑顔に変わる。
自分の言葉に集中して、思いを告げた結果、なんと共感を得られたのです。
一方で顔を背けてつまらなそうにしている人が、ちらほらいます。
そんな人を見てどう感じるのか?
「この人には合わない内容だったんだな」と諦めらめればいい。
だって自分のメッセージがすべての人に通じるわけがないと分かっていますよね。
このように本番をイメージして練習に取り組むだけで、不安の取り越し苦労を理解できます。
またイメージトレーニングよりも、模擬練習の方が効果は高い。
数人の頼れる人に向けて発表の練習をするだけで、現実的な反応が確かめられます。
発表の内容やテクニックに対してもフィードバックをもらえれば、技術の向上につながるので、一石二鳥ですよね。
むやみに練習しても効果が低い。本番を想定して課題の練習に取り組みましょう。
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3.指名される空気を感じても無視する
他者へ注意を向けていれば緊張しない
事前に練習できれば不安は軽減されるでしょう。しかしいきなりの指名で発表を求められたらやはり緊張してしまいます。
僕は昔、以下のような状況でとても強い緊張を感じていました。
「……ということなんですが、……右端のAさん、これについてはどう思いますか?」
講師が受講生に意見を求めだした時、僕の心臓はバクバクし、酸素が薄くなったのを感じました。
「次に当てられたらどうしよう……」そう考えて真剣に論点を整理しようと試みる。
しかし準備をすればするほど、激しい緊張が自律神経を支配していく……
「名指しされるのではないか」と考えただけで激しい緊張が襲ってきます。発表に対して練習もできないので、発言に自信が持てません。
一方でこんな状況のときは、なぜか楽に応えられる。
「……が問題なんですね。……あっ、B(私)さん、これについては意見がありますか?」
そう前触れなく名指しされると「えっ私?」と驚きはしますが、とりあえず答えるしかありません。
がんばって言葉を探し、なんとか発言を終えてホッと一息つけます。
つまり発表を予期したら緊張して、予期しなかったら緊張しにくいわけです(中には予期せず当てられて急激に緊張する人もいるでしょうが)。
発表を予期していないときは、講義に意識が向いています。
自意識はなく、学びに向かう姿勢になっているんですね。
発表の対策をせず自然体でいる
一方で発表を予期すると自意識過剰になってしまい、緊張が高まってしまう。
では誰かに当てるような空気感になったとき、身構えないためにはどうすればいいのでしょうか?
発表の対策をしなければいい。
行き当たりばったりの自然体を意識すれば、緊張は防げるんです。
自然体と言われてもなかなか難しいですよね。また準備しないと失敗しそうで怖いでしょう。
しかし以下の2つのことを意識すれば、自意識過剰にならず、自然体でいられます。
- 「分かりません」と言う選択肢を持つ
- 意識を他者に向ける
「分かりません」と言う選択肢を持つ
いきなり当てられるのですから、分からなくて当たり前なのです。
確かに質問されてすぐ内容の深い答えを言えれば、かっこよいと思えます。
しかし熟考してから答えを出しても、アイデアは見つかる。
すぐに答えることではなく、アイデアを思い浮かべる結果が重要なのです。
つまり分かっていないなら、無理してかっこつけようとせずに、「分かりません」といえばいい。
周りの受講生や講師が分からないことをバカにするような人なら、「精神的に未熟な人たちに遭遇して運が悪いな」くらいに考えます。
古代ギリシャの賢人ソクラテスは「分かっていないのに分かっているというのは愚かだ」という旨を信念として持っていました。
その意味で捉えると、分からないという答えは、1つの正解かもしれません。
もちろん意見交換の場では発言したほうが議論は活発になるので、なにか言ったほうがいいかもしれません。
その場合は「まだよく分かっていないのですが……」と前置きした上で、頭に浮かんだ気づきをそのまま話せばいいでしょう。
ズバッと確信を付く必要はありません。ふとした一言から問題解決が進展することは、しょっちゅうあります。
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意識を他者に向ける
前述したように、自分に意識が向いていると激しく緊張しやすいですよね。
よって意識を他者に向けていれば、緊張しにくいという仕組みがあります。
他者に意識を向けるためにはどうしたらいいのでしょうか?
深呼吸をしながら、他者の様子を観察すればいい。
つまり落ち着いて、対象に一点集中するのです。
名指しされるような空気感が漂い始めたら、まずは自分の呼吸を意識します。
息を吐ききり、おなかと胸がいっぱいになるまで鼻から息を吸い、吸った息を2倍の時間をかけてゆっくりと鼻から(または口をすぼめて)吐ききります。
詳しい深呼吸の方法:深呼吸で緊張を和らげる方法。心理学的な簡単リラックス理論
深呼吸を続けながら、他者の様子を観察してください。
講師の様子でもいいし、先に当てられて答えている人の話に聞き入ってもいい。
そうして意識を一点に集中します。
人は同時に一つのことしか考えられません。
心を落ち着かせながら他者への集中を維持できれば、自分の意識は不安に向かなくなるでしょう。
おさらい
もし「練習をしよう、でも時間がないから明日にしよう」と先延ばしをしていたら、自分のパフォーマンスに自信が持てない。
そのため緊張だけではなく、うまくできない焦りも生まれ、結果は散々になるでしょう。
しかし無計画に練習しても緊張はほぐれません。
不安があるから緊張が激しくなる。
心に居付いた不安を治めるためにも、本番さながらのシミュレーションをしたほうがよい。
シミュレーションでも1つの経験です。経験豊富な行動をするときは、それほど緊張しません。
また講師が「さあ発表してもらおうかな」と空気を変えたら、あがり症の人は耐えられないほどの緊張を感じる。
しかし前触れがなく指名されたら、案外あがらないものです。
つまり自然体でいれば緊張しません。自然体でいるためには、
- 無理してかっこつけようとせず「分からない」という
- 講師や周りの人の様子を観察する
これらを意識すれば、肩に力が入らずに、リラックスしていられます。
では最後にまとめましょう。
- 過度の緊張をなくす普段の心がまえ
- 1.時間を作る
- 2.不安に慣れる
- 3.予期せぬ緊張は行き当たりばったりで
次の記事では、緊張で起こる憂鬱な不安を和らげる行動習慣をお伝えします。