自己成長を志し、早○カ月がたつ。始めの頃に感じる伸びしろは、既に実感がなくなった。
会社の自己啓発研修もいまいちやる気が出ない。社会人の自己成長力には限界があるのだろうか……。
どうしたら自己成長は促進できるのでしょうか?
満足できるペースで伸びるために、必要なのはズバリ、
やる気です。
意欲があれば集中力が増す。学ぼうと取り組む気持ちが自己成長を先に進める。
やる気を生み出す「快感」のコントロール法を紹介します。
目次
自己成長を促すやる気の源泉。比較の快感から自発の快感へ
やる気は得(とく)から生まれる
努力の原動力と言えば「やる気」ですよね。
どうしてやる気は出てくるのでしょうか?
がんばったら「得」をするとわかっているからです。
得というと自己本位に聞こえるかもしれません。例えば、
- 作った商品が高値で売れたから、得をした
- 満員電車で眼の前の座席に腰掛けた人が立ち去って座れたから、得をした
- 窃盗してバレなかったから、得をした
というように、自分に明確な利益があったら得を感じる。
人によっては「バレなかったから」というように、良くないことでも得を感じてしまいます。
さて「作った商品が高値で売れた」という所に注目しましょう。
高値で売れた場合「次は」どうなりますか?……もちろんまた売りたいですよね。つまり商品を作る作業にやる気を出せるわけです。
同様に前の席が空くってわかっていたら満員電車に乗ってもいいと思える。反対に空かないってわかっていたら、乗りたい気持ちは半減するでしょう。
このように得はやる気につながるという構図があります。
仕事のイライラの原因は部下を育てる仕事をしないダメ上司にある
知らない間に自分の意欲を奪っていくダメ上司。いや、だめと言うほどではないが…マネジメントとしては良いとは言えない。 パワハラではない。しかし、見えないボディーブローを撃ってくるような曲者。 愚痴られた ...
比較の快感は誰かを傷つける
実のところ先ほど上げた例はあまりおすすめしないタイプの得なのです。
理由は人と比較できるから。
- 高値で売れた⇔売れなかった・安値だった
- 座れた⇔座れなかった
- バレなかった⇔バレた
これらは相手がいなければ得と感じられないのです。例えば
- 相手がいなかったら、売値は1つ
- みんなが座れるなら、当然座れる
- みんながバレないのなら、バレないことを恐れない
というように自分が得する一方で、誰かが損をしなければ得を感じない。
このように相手がいないと成り立たない得のことを「比較の快感」と定義しましょう。
なぜ快感かというと、得をすれば気持ちがいいからです。
人が「したほうが良い・悪い」という判断を学習する基準は、快感か・不快かによって定められます。
気持ちよかったらして良いと思えるわけです。新鮮な魚は食べたくなりますが、腐った魚は不快な臭いがするので食べたくないように。
また他者がいないと比較の快感は成立しないので「他者依存」の快感と言いかえられる。
人より得だったら気持ちいいという理屈なので、他者から奪っても比較の快感は得られます。
- だまして高値で売った
- 席が空いた瞬間に割り込んで座った
- 窃盗した
このように不適切と思われる行動でも比較の快感は得られる。
もし反対に自分の大事なものごとが奪われたら損をしますよね。以下のような状況だったらどう思いますか?
- お金をだましとられた
- 座席に座ろうとしたらむりやり割り込まれた
- 自店の商品を盗まれた
少なからず嫌な気持ちになるでしょう。
このケースは極端ですが、比較の快感を得た裏側では誰かが傷つくことがある。
相手を傷つけてやる気が出たとしても、嫌ですよね。
もちろん比較の快感でも健全にやる気を感じられるケースもありますが、なるべくなら自分の責任に誰かを巻き込みたくはない。
一人でやる気になる「自発の快感」
しかし自己成長のためには努力が必要です。そのために誰も苦しまないやる気の素を活用したい。
それは何でしょうか?
自発の快感です。それは2つ。
- 知的好奇心
- 自己完結目標の達成感
知的好奇心
知りたいと思う気持ちを抱き、理解できたときに得られる快感です。
自己完結目標の達成感
すると決めたことが達成できたときに得られる快感です。
自分で決めた目標なので、他者と結果を奪い合ってません。
これら2つの快感を求めたとしても誰も傷つけない。そのため健全な気持ちで快感を求められます。
- 知的好奇心の例
- 勉強でわからないところをがんばって調べたら、理解できたのでうれしい
- 仕事で使える技術が学べる本を読んで、新しいことがわかったので満足した
- 決算書を読み解いて、取引先の仕組みが理解できたので良かった
- 達成感の例
- 毎日ジョギングをすると決めて、1カ月続けられたからうれしい
- 難しい入札案件に対し、納得行くまで準備できたから後悔はない
- パーティーで知らない人10人と名刺交換する目標を立て、達成できたから良かった
以上を見ると、すべて相手がいなくても成り立つことだとわかります。
反対に失敗した場合は自分だけが嫌な思いをする。
- 悔しい
- 満足できない
- 情けない
- 後悔した
- 悪かった
自発の快感は多くの場合、十分に努力をすれば手に入ります。あきらめなかったら願いがかなう可能性が高い。
つまりすべて自分次第で得られる快感なのです。
知的好奇心と自己完結目標の達成感が、やる気の素になったら最高ですよね。
誰も傷つけずに済み、人と自分を比較して苦しい思いをすることもありません。
さらに自発的な2つの快感には、自己成長にもってこいの効果がある。
自発の快感を得ること自体が、成長を知らせる合図です。
- 問題解決ができる知識を得る
- 新しい発見をして考え方が変わる
- 決めたことをやりきる力が証明される
- 立てた目標を達成できると自信になる
このように自発の快感を求めていくと、自己成長を促進するためのやる気が、尽きることなく続いていきます。
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比較の快感も適度に使い、自己成長のやる気を促す
喜びは比較せずに自分でかみしめる
自発の快感ばかりを目指せればいいのですが、普通の人は誰かと比較して快感を得ている。
- あの人より自分のほうが美人だって
- やった!試験で上位10%に入れた
- 年収が1000万円になった!
こうなったら、うれしいですよね。もちろん僕だって喜ぶでしょう。しかし以下のようにはなりたくない。
- あの人より自分のほうが美人だって。あの人ブサイクだな
- やった!試験で上位10%になった。みんな頭が悪いんだよ
- 年収が1000万円になった!これで自分も勝ち組だ
嫌な発言ですね〜こんなことを言う人は嫌われそうです。成功した自分と失敗した相手とを比較して、人より自分は優れていることを確かめたいのです。
比較の感覚が強まると「他者依存」の傾向が色濃くなる。
しかし以下の発言だといかがでしょうか?
- あの人より自分のほうが美人だって。そう言ってくれる人がいてうれしいな
- やった!試験で上位10%になった。勉強をがんばってよかったなぁ
- 年収が1000万円になった!これまでの努力が報われたよ
というように誰かと比較せず、自分自身で喜びをかみしめると、比較の感覚が強くならず自発の快感に近くなる。
他者依存になりにくいので、比較の快感でも健全でいられます。
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幼い頃から承認欲求はやる気の源だった
誰かに認めてもらいたいと願うことを「承認欲求」といいます。
- 自分が発言したことを正しいと認めてほしい
- 自分のすごさをうやまってほしい
- 自分が仲間であるとわからせてほしい
承認欲求は誰でも当たり前に持っているのですが、欲求を感じている状態に気づきにくいという一面があります。
空腹になったら「おなか空いた」と明確に感じますが、承認欲求にはわかりやすいシグナルがありません。
そのため認めてほしい状況が生まれたら相手の反応を無意識で求めてしまう。
欲求が満たされないと知らないうちに嫌な気分になり、なんとか認めてもらいたいと躍起になってしまう。そのため不適切な行動を取る場合があります。
- 認めてくれない人たちを恐れ、反対に自分が周りの人を認めようとしなくなる
- 自分のすごさを理解させようと、過度な演出をして周りの目をひこうとする
- LINEに既読通知が付かないか、数分おきに確認してしまう
これらの行動はまさに他者依存の状態でしょう。承認欲求は周りの人がいないと、絶対にありえない欲求なのです。
〇〇してほしいと思う気持ちが募ると、〇〇してくれない相手に対して不満を感じる。そんな状態は苦しいですよね。
承認欲求が強いから克服したい?反対に短所を生かそう!5つの案
承認欲求は嫌われる。誰でも持っている普通の感情のはずだ。 SNSに旅行の写真を上げただけで、陰口を叩かれるのは理解できない。 自分が楽しかった経験をみんなに伝えたかっただけなのにどうして? 表現のみな ...
これまでの話から察するに、承認欲求はないほうが良さそうです。
しかし他者に認められたい気持ちは、子供の頃からやる気の源になっていたパワフルな欲求であることは間違いありません。
承認欲求を無くそうといわれても難しい。また無くさなくても活用できればいいですよね。
では承認欲求を活用して、自己成長のやる気につなげるにはどうしたらいいでしょうか?
その対処方法は3つあります。
- 行動の仮説を立てる
- 全員が認めるはずはないとあきらめる
- 他者に感謝して、承認欲求を満たす
次章で詳しく説明します。
承認欲求で自己成長のやる気を促す3つの方法
1.行動の予測を立てる
認められたい気持ちが先走るのは、自分がした行動の結果を期待しすぎているからです。例えば、
- 正しいこと言っているよな、みんなもわかってくれるはずだ
- あんなに難しい案件をまとめたから、みんなすごいって言ってくれるはずだ
- 私はこんなにあなたを思っているから、すぐに返事をくれるはずだ
というように無意識で発動する承認欲求のせいで「〇〇だから、□□のはずだ」と勝手な期待を込めて行動をしてしまう。
期待を込めすぎた結果、認められなかったら苦しくなってしまうのです。
そこで自分が期待を持ちそうな行動をする前に、その期待が適切かどうか検証する。つまり相手の反応の「予測」を立てるのです。
冷静に検討したら予測の時点で「認めてくれない人もいるだろうな」と気づくでしょう。
もし「してくれるはずだ」と根拠がないのに確信をしてしまっても問題ありません。
予測を立て行動を実行した場合、失敗したら予測が間違っていたと理解すればいいのです。
そうして行動をあらためて、また仮説を立てる。
このように試行錯誤のループができれば、前述の知的好奇心と達成感が快感をサポートするので、承認欲求が満たされない痛みは和らぎます。
成長とは試行錯誤を重ねること。自分の強みを育てる効率的な方法
ふとマンネリした生活を振り返った。能力の成長を実感した覚えは、しばらくない。 特に社会人の行動には答えがありません。仕事は千差万別です。自ら最適な手段を見つける必要がある。 自分の能力はトライアルアン ...
2.全員が認めるはずはないとあきらめる
承認欲求は他者依存の状態ですよね。
つまり自分は認められるべきであり、周りの人は自分を認めて当然だと思っているわけです。
- やっぱり自分が発言したことは正しい
- やっぱり自分はすごい
- やっぱり自分が仲間なんだ
このような「やっぱり自分は〜」という価値観を持つと、承認欲求が満たされなかったときに依存している相手を責めてしまう。
責めても状況が変わるわけではない。認めてくれない相手に失望するしかなく、結果として自分が苦しくなってしまいます。
また「すべての人から認められるはずがない」と、多くの人は一般常識として知っているはず。
しかし無意識に潜む承認欲求が「みんなに認められて当然」と一般常識を押しのけて強く心に訴えかけてくる。
嫌な思いはしたくないですよね。
そのために基本姿勢として「すべての人から認められるはずがない」という常識を強く意識するんです。
そのために誰にでも承認欲求があることを理解して、無意識からくる万能感の期待をあきらめておく。
「簡単には認めない人もいる、むしろそんな人のほうが多い」くらいに思っておけば、認められなかった失望は軽減できます。
謙虚な人を嫌いなのは、卑屈がうざいと感じるだけ。真の謙虚さとは
「いや、いや、私、全然かわいくないから!」と謙遜する人を白けた目で見てしまう……そんな人、結構多いのではないでしょうか。 自信家は嫌われやすい社会なので、へりくだった態度を取ろうとする人が多いのは当然 ...
3.他者に感謝して、承認欲求を満たす
しかしそれでは他者を認めないという悪い傾向が起きそうです。それでは健全な人間関係が維持できないので良くありません。
出会った人を自ら認めていければ、相手が認めてくれたらお互いが心地よい関係になるはずです。
自分から相手を認めるためにはどうしたらいいのでしょうか?
相手にプラスイメージを感じればいい。
失望するのは相手にマイナスイメージを感じているからです。
本来のところ、どんな人でも始めはプラスマイナス0の状態ですよね。
相手が自分を認めてくれなかったら、それは当然だと思い0のまま。
認めてくれたら相手に感謝してプラスイメージを加算するんです。
- 正しいって思ってくれた、ありがたいなぁ
- すごいって思ってくれた、ありがたいなぁ
- 仲間って思ってくれた、ありがたいなぁ
「認めてくれないのが当然。認めてくれる人には感謝」
と考えられれば、承認欲求は心地よい自発の快感に近づきます。
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おさらい
自己成長に挑戦すると、自分の価値観を変化させなければなりません。
人は安心できる状況を好む。なるべく現状を維持しようとしてしまう。
それでもあきらめずに挑戦し、自らを変化させるためには、やる気が何より重要なのです。
やる気は得からもたらされます。得を言い換えると快感です。つまり快感が得られることを期待して、やる気は発生する。
「人を傷つける」という副作用のある快感を止めて、副作用のない健全な快感を得てほしい。
そのために自発の快感を得る方法を紹介しました。
- 知的好奇心
- 自己完結目標の達成感
- 比較の快感が得られたことに感謝
自分自身でやる気を生み出し、永遠に成長し続けましょう!