仕事の思い込みミス削減

7つの振り返り習慣で思い込みミスを対策。もう仕事で失敗しない

投稿日:2019-03-01 更新日:

7つの振り返り習慣で思い込みミスを対策。もう仕事で失敗しない

ダブルチェックもしているし、なぜなぜ分析も始めた。難しい仕事はチェックリストを作った。

しかしミスはまだ起きる。先日はいつもの事務処理で、なぜか数字を見間違えてしまう

ミスの防止対策は間違っていないはずなのに……どうして?

思い込みミス再発防止策を講じても、それはあくまでノウハウを知っただけ。

普段から気をつけていないと、確認不足はなくならないのです。

普段からできる思い込みミスの対策とは?

7つの振り返り習慣を身につければ、失敗しなくなる。

自己モニタリング力を強化して、イライラしない術を身に付けましょう!

思い込みミスの対策1.自分の気持ちを観察する

どんなに思い込みミスの対策をしても、冷静さを失うと、トラブルを引き起こしてしまいます。

ミスを防ぐために、仕事中は気持ちを落ち着いた状態に保っていたいですよね。

そのために重要なのは、

メタ認知です。

メタ認知とは、自分の考えていることや感じていることを、客観的に理解すること。

例えば「しあわせ〜」と感じているのなら、メタ認知は

私は今しあわせだと感じているんだ

と理解することです。

さて作業のミスを引き起こす感情といえば、

  • 怒り
  • 悲しみ
  • 戸惑い

などのネガティブで不快を生じるものがイメージできる。しかし実は、

  • 喜び
  • 愉快
  • 感激

というポジティブな感情も、度合いがすぎると集中力を奪っていくのです。

ミスを誘うこれらの感情は「仕事以外のことを考えさせる」という点で共通しています。

  • なんだあの態度、はらが立つ!
  • (怒られて)はぁ、憂うつ
  • みんなありがとう〜!感激!

つまり適度な集中状態(意識のフェーズ3の状態)を維持できず、過集中状態(フェーズ4)に移行しているような現象が起きる。

フェーズ理論について:思い込みミスを改善する3つの基本。集中力を高める自己管理

興奮して周りが見えなくなっているので、仕事で気にするべき着眼点から目をそらしてしまう。

感情に身を任せると、なかなか気持ちがおさまらない。その状態で仕事に取り組むと、思わぬ見落としが発生してしまう可能性が高いのです。

見落としを防ぐためにはメタ認知を活用して、気持ちを平常状態に戻さなければなりません。

メタ認知を活用して冷静さを取り戻す方法は以下の3ステップです。

ステップ1.興奮状態を知覚し、今の気持ちを言葉にして表す
  • 悲しみ:部長に怒られて、私はすごくへこんでいるな
  • 喜び:サプライズで誕生日を祝ってもらい、私はとても喜んでいるな
ステップ2.感情を詳しく分析し、興奮した原因を探る
  • 悲しみ:自分の力量を認めてほしいと思っていたから、悲しくなったんだ
  • 喜び:仲間たちに受け入れられていることが実感できて、安心したんだ
ステップ3.原因に対しての反論を出し、冷静さを取り戻す
  • 悲しみ:このことで部長に見捨てられたわけではない。挽回するチャンスはいくらでもある
  • 喜び:うれしいのは当然だが、今は仕事中。仕事が終わったら思い出して喜べばいい

というように、今はその感情を引きずる必要がないことを、自分に言い聞かせます。

仕事中は集中する。反省したり喜びをかみしめたりするのは、落ち着いたときでいい。

冷静さを維持できると、仕事のミスはほとんど起こりません

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思い込みミスの対策2.仕事の見通しが立つまで質問する

上司やクライアントからの依頼が来ると「ちゃんとやらなきゃ」と感じて焦ってしまう

焦ってしまうと状況の把握が甘くなり、結果として思い込みミスが起こりやすいのです。例えば、

クライアント「Aさん、できるだけ早くで当社に来てほしいのですが」

Aさん「(焦って)わっ、分かりました、すぐに伺います!」

〜1時間後〜

クライアント「さっそく来てくれて助かります!それで例の新商品の件ですが、まずカタログいただいていいですか?」

Aさん「(えっ、そんなこと聞いていない)すみません、カタログなんて持っていないのですが……」

クライアント「(はぁ、何のために来たんだろう、この人)」

このケースのように、見通しを持たず行き当たりばったりで行動すると、要望に答えるのは難しいでしょう。

もし依頼主の説明が少ないなら、内容が理解できるまで自分で確かめる必要があります。

内容を確かめるにはどうしたらよいのでしょうか?

簡単ですよね、

質問すればいいのです。

クライアント「Bさん、できるだけ早く当社に来てほしいのですが」

Bさん「分かりました。準備をしたいので本日のご用を教えてください。

クライアント「先日教えてもらった新商品、あれ気に入ったから見たいんだよね」

Bさん「ありがとうございます。ちなみに何に興味をお持ちになったんですか?

クライアント「今使っているものよりもカッコいいしね、軽そうだし。乗り換えようと思って」

Bさん「うれしいです。ということは実際に触ってみたいですよね。しかし現物はありませんのでカタログしかお持ちできませんがよろしいですか?

クライアント「もちろん、機能の点で気になるところがあるから、カタログ見ながら詳しく教えてよ」

Bさん「ありがとうございます。他には私に頼みたいことはないですか?

……

と言った具合に質問していけば、相手の要望が分かります

このように見通しが立つと、なにかと気を利かせた準備ができそうですね。

言葉のコミュニケーションだけではなく、分かりにくい書類も同じです。作った人に質問をすれば間違いを防げます。

もちろん相手に質問できない状況もあるでしょう。

その場合は自分に質問し、できる限りのアイデアを抽出します。

クライアントに呼び出されたけれど、理由を尋ねられない。何を求めているのだろう?

  • 前回訪問時に新商品が気になっていたようだ。カタログを持っていこう
  • 機械のトラブルが起こったのかもしれない。簡易診断ツールを持っていこう
  • たまに誰かを紹介してくれる。名刺と会社案内を忘れないようにしよう

というようにこれまでの経緯や、よくある出来事を振り返って、対応の予測を立てる。

見通しを立てると、思い込みミスは大幅に減ります。

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思い込みミスの対策3.毎日振り返りをする

ミスというものは、自分の危うい行動が引き起こしたトラブルです。

しかしミスをしても、必ず被害が出るわけではない

このように事故に至らなかったが、事故に至る可能性はあったときの気付きは「ヒヤリ・ハット」と言います。

つまりヒヤッとしたりハッと気づくような問題は、ミスと同様に対処したほうがいいのです。

しかしヒヤリ・ハットのミスは実害がないので、記憶に残りにくい。注意しないと忘れてしまいます。

せっかく危険を知らせる情報を得たのに、忘れてはもったいありません。

毎日就業後に一日の振り返りをして、小さなミスも洗いざらい忘れないように書き出しましょう

具体的な方法は簡単です。手帳やパソコンのメモに箇条書きで書き出せばよい

  • 車の鍵を忘れて事務所に戻ったら、提案書も忘れていることに気づいた
  • 隣の席のC先輩が、書類の間違いを見つけてくれた
  • 10コ発注するつもりの商品を間違えて100コ頼んでいたのを、受注担当者が気づいて連絡をくれた

書き出したものは自分で思い込みミスを防止する作戦。なぜなぜ分析で真因を解消で紹介した、ミスを明らかにする7つのステップで使えます。

毎日の行動を振り返るだけで、自分では気づきにくいミスの傾向が明らかにできますよ。

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思い込みミスの対策4.変化に目を光らせる

基本的にミスは不慣れな作業で起こりやすい。しかし思い込みミスは、ベテランになっても起きてしまう

なぜでしょう?

ベテランは手順を体が覚えてしまっているので、深く考えなくても行動できるからです。

例えば書きなれた報告書は詳しく見なくても、記入欄の空白を見ただけでスラスラ書けちゃいますよね。

しかし説明文の内容が突然新しくなったら、なかなか気づけません

例えば「名前」「部署」という欄がある日を境に入れ替わって、「部署」「名前」となっていても気づきにくい。

慣れていると視点が説明文に行かず、記入欄をとらえてしまうからなんですね。

また自分の知識を疑わないことで起こるミスもあります。

一つの判断ミスが多くの犠牲者を出した、「ブリティッシュミッドランド航空92便不時着事故」の事例から見てみましょう。

クルーらは「第2エンジン(右舷)が損傷した」と思い込み、スロットルを戻して停止させた。(中略)クルーらはその処置が正しかったと確信してしまった。

(中略)着陸態勢に入ったが(中略)第1エンジンが火災警報とともに再び激しく振動しはじめ、出力が急に低下した。

(中略)不時着時の衝撃で39名が死亡した。その後病院に搬送された8名が死亡し、犠牲者は計47名となった。

ブリティッシュミッドランド航空92便不時着事故 - Wikipedia

機長が空調に煙が混入していることを見つけ、副操縦士に左右どちらかのエンジンに異常があるか尋ねたところ、副操縦士は右のエンジンだと報告する。

しかし乗客が目視で気づけるほどの激しさで、左エンジンが発火しているのを見逃してしまった。

この誤りは従来機のボーイング737型の空調が、右エンジンにのみ接続しているという知識からきた勘違いのようです。

事故機である改良型のボーイング737-400型は、左右どちらのエンジンにも空調が接続されている。

機長らは左のエンジンが故障している疑いを持たなかったのです。

なお機長・副操縦士の2人ともベテランでしたが、事故機の操縦経験は数回程度しかなかった。

つまり変化を見落としたわけです。

変化に気づくためには、

全体を一度確認してから、作業を開始すること。

流し見でいいので全体を確認すれば、違和感が変化を教えてくれます。

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思い込みミスの対策5.他者の行動を観察する

先ほどメタ認知が大事と言いましたが、自分の行動を省みるためには基準が必要なのです。

メタ認知で見つけ出した客観的な評価も、結局は自分の頭で考えた主観的なものですよね。

本当の客観的な視点とは、起こった事実を確かめていく科学的な観察力のこと。

つまり他者の行動が引き起こした結果を詳しく分析することで、自分の科学的な観察力を高められるのです。

他の人の行動を観察すると、さまざまなことが分かります。例えばこんな人たちを観察するのはどうでしょうか。

  • 自分(私)が苦しんでいる問題を、思わぬ手段で解決できる人
  • 自分(私)が簡単だと思いこんでいる問題で、苦しんでいる人
  • 自分(私)が今まで経験したことのない問題に、取り組んでいる人
  • しばらく起こらなかった問題を、ぶり返している人

誰かがしている対処について、自分だったらどうするか考えてみます。

また仲間の行動を見て気づいたことは、コミュニケーションのネタにもなる。

分からないことを仲間にいろいろ教えてもらえば、悩みも解決できるし、相手に感謝を告げる機会を得られます。

思い込みミスの対策6.する前・終わる前には指差し確認

思い込みミスを改善する3つの基本。集中力を高める自己管理で紹介したように、集中力が高まったフェーズ3の状態を維持すれば、ミスは大幅に減らせます。

しかし疲れてくるとフェーズのレベルが下がり、意識が散漫になってしまう。

結果として思わぬ事故を引き起こしてしまうかもしれません。

失いかけた集中力を取り戻すためは何をすればいいでしょうか?

指差し確認をしましょう。

集中力が散漫になるということは、意識が分散しているということ。

意識を向ける場所に指を差し、体にメッセージを送ることで、集中力は取り戻せるのです。

電車の運転士が信号を間違えないように確認する動作として、指差し確認は生まれました。具体的な方法は以下の通りです。

  1. 目で見て
  2. 腕を伸ばし指で指して
  3. 口を開き声に出して「○○○、ヨシ!」
  4. 耳で自分の声を聞く

指差喚呼 - Wikipedia

指差し確認の効果は、看護師の業務における指差呼称の効果を調べた以下の実験(2012年)などで有効さを検証されています。

「指差し呼称」法による確認作業時(中略)前頭葉の左前頭前部において認知機能の活性化が図られている可能性が示唆された.

これらのことから,与薬準備段階においてなされる作業である記載された事項の確認方法として,「指差し呼称」法の有効性が検証された.

新人看護師と熟練看護師における「指差し呼称」法確認作業時の前頭葉局所血流変化

このように仕事中の確認の場面で指差し確認を取り入れると、集中力を高められると考えられています。

指差し確認をする働く人たち

また旧国鉄の調査によると、

指差喚呼による確認を実施すると、指差喚呼による確認を実施しない場合に比べて事故の確率を6分の1に低減できる

指差喚呼 - Wikipedia

事故の確率が低くなったことを示しました。

指差し確認は簡単に取り入れられる割に効果が期待できる、集中力アップのテクニックなのです。

また作業の終了時にも指差し確認をすると決めていれば、見直しをするきっかけができます。

  • 書きもらし無し、ヨシ!
  • 忘れ物無し、ヨシ!
  • 戸締まり確認、ヨシ!

あらゆる場面で指差し確認は使えますので、ぜひ取り入れましょう。

思い込みミスの対策7.自分の考えの反対意見を出す

思い込みは言い換えると、深く考えずに自分の考えが正しいと決めてしまうことです。

ということは深く考えればほとんどの思い込みが防げる。

しかし考えるのは疲れます。

まいどまいど集中して、自分の行いが正しいのか検討していたら、行動することが面倒で嫌ですよね。

どうしたら楽に考えられるのでしょうか?

自分にぶつける質問のパターンを決めておけば、複雑な思考がいらないので比較的楽に検討できます。

まずは質問のパターンを考える前に、自問自答のロジックを確認しましょう。

問題が発生すると無意識で自分に質問をしています。質問は2つあり、それぞれ順番に用いられる。

  1. 質問を考える
  2. 質問の答を考える

この2つの質問がそれぞれ難しいと疲れてしまうわけです。

質問の答えは、そもそもの質問がなくては生み出されないですよね。

ということは「質問を考える」質問(ややこしいですね)を簡単にしてしまえば、楽になりそう。

質問を考える質問は「もし◯じゃなかったとしたら?」

自動的に湧き出た自分の思い込みに対して、真逆の考えを導く質問をするのです。

思い込み:新商品の説明かなぁ。

反対の質問:もし新商品の説明じゃなかったら、荷物の準備が足りないな。

思い込み:またいつもの書類かよ……。

反対の質問:もしいつもの書類じゃなかったら、ちゃんと確かめないと間違えるぞ。

思い込み:目標クリアーうれしい!

反対の質問:もし目標を間違って確認していたら、明日も追い込みで営業したほうがいい。

このようにたった一つの質問で、行動の再確認を促せます。

思い込みが間違っているとわかれば、ヒヤリ・ハットで済む

何か決断をするときには、必ず一度は反対の質問を自分にぶつけてみましょう。

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おさらい

普段から思い込みをなくす努力をしていれば、ミスはだんだんと減っていく。

特に焦りや怒りなどの感情の高ぶりは、思い込みを引き起こしやすいので、メタ認知を心がけて常に冷静でいたいですね。

確実な行動をするためには、曖昧さを一つでも多くなくしたい。

「自分は思い込みを持っているはずだ」と注意して、落ち着いて行動しましょう。

次の記事では思い込みによるコミュニケーションのすれ違いを説明します。

  • この記事を書いた人

やくしじ

産業カウンセラー。個人向けの心理カウンセリングと、少年院のキャリアカウンセリングをしています。すべての行動には目的がある。熱意・不安・焦り・イライラなどの制御できない溢れ出す思いを全人的に受容し、自己理解を支援する。単発的な傾聴のニーズや、継続カウンセリングを通しての自己変容や目標達成を支援します。ご依頼はお問い合わせへご連絡ください。詳しいプロフィールはこちら

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