混雑している電車の中、勇気を出して声をかけ席を譲るために立った。
その人は黙って座った。会釈すらされない。
「…まあ、感謝してもらいたいから譲ったわけじゃない」と思うが少しイラッとする。自分の心が小さく感じられて、落ち込んでしまう…。
感謝しない人に腹をたてるのは、自分勝手なことなのでしょうか?
そんなことはありません。怒って当たり前です。
その理由は気持ちの仕組みを知ればわかります。
目次
感謝されなくて怒るのは当たりまえ
優しさを当然のように受け取り「ありがとう」さえ言わない人たちがいます。
感謝してほしいとは思っていなかった。しかしそんな態度を取られると悲しくなる。
それを別の人に相談すると「結局、自分のためにしているんだろ」なんて言われる。自分が悪いの?と考え、嫌な気持ちになる……。
人は感謝されなかったら嫌な気持ちになるのが当然です。それはなぜでしょうか。
感謝されたいと思う気持ちはすてきだ
確かに相手のためを思った行為は、自分のためにしていると考えられます。
しかしその理由は「自分を好きになってもらいたい」という、純粋で人として大切にしたい感情です。
仲良くしたい・傷つけないでほしい・楽しみたい・利益を生み出したい・・・すべて自分のことを好きになってくれるとその願いはかなう。
言い換えると「自分のことを認めてほしい」という気持ちです。人には誰でも「認めてもらいたい」という欲求がある。
相手からの「ありがとう」は「あなたに対して良い感情を持っています」と変換できます。
感謝されないと「ありがとう」を受け取れない。
「ありがとう」がないと、自分が否定されたと感じ不安を覚える。
そして不安になると怒ったり・悲しんだりと辛くなってしまう。
- だれかに何かをする時は、心のどこかで何かを求めている
好きという感情を詳しく知る
自分の心の有り様を見つめよう
しかし怒る自分が情けなく感じる。そう思うのもしかたがない。
それなら自分の怒る気持ちを自分自身で受け止めます。
そうしていくと、じょじょに怒りが治まってくる。
腹が立ったら「なぜ自分は怒ったのか」と考えれば、自分を客観的に見られます。
他人のせいにしても、たぶん反省してくれない。
「相手が悪い」と思ったら苦しみは絶対に消えません。
「相手の態度により、自分は傷ついちゃったんだなぁ」としみじみ理解できれば、傷つかないように何ができるか、ゆっくりと考えられるのです。
- 怒りは心にいすわる。そこで自分を見つめ、怒りをしずめていく
簡単に怒らない心を育む
感謝しない人の心の動き
感謝しない人ってダメ人間なの?
それは断定できません。感謝しない人は単に感謝が苦手という個性を持っている人なのです。
心の動きは人それぞれ
誰かがその人に何かをする。それは一つの情報になります。
受け取った情報は脳内で神経伝達物質が働きシナプスへと伝わる。
神経伝達物質は人の感情を変化させる働きがあると言われている。神経伝達物質にはさまざまな種類があり効果もそれぞれあります。
神経伝達物質の活動は個人差がある。同じ何かを経験しても感じ方は人それぞれです。
もしかしたら「喜んでくれる」と思ってしたことが、受け取る人によっては「喜べない」ことなのかもしれません。
同じ人・同じ経験でもその時の環境によって感じ方が変わると言われています。
例えば直前に嫌なことがあった・周囲がうるさくてイライラしているなどの理由で感謝できないこともある。
- 感謝する・しないは一定ではない。個人・環境の要因で変わる
その人も認めてほしいと思っている
状況によっては感情が動いているにもかかわらず、気持ちを表現できない理由を持つ。
人によっては感情の動きが鈍く、本当に「ありがとう」とも「迷惑」とも感じていない人はいる。
しかしほとんどの人は自分を認めてくれる人に好意を感じる。認められるのは誰でもうれしいのです。
- 自分がしたことに感謝をしてくれない人でも、自分がなにかするときは感謝をして欲しいと思っている
認められたい気持ちが焦りを生むなら
では、感謝しない人とどう付き合う?
感謝できない人と友達でいますか?友達を止めますか?
このことはじっくり考える良い材料になる。
一時の感情に惑わされないように思いを巡らせる。自分自身に向き合えば、人間的な成長につながります。
その人と付き合わなくても、あなたの人生に影響しない
「人には代わりがいる」なんて言うととても冷たいと思われそう。しかしある意味その通りです。
その人と会えなくなると何かの経験を失う。しかしまた代わりに別の人と会えば、何かの経験が増える。
人に合わなくても自分の時間ができる。時間の使い方次第ですてきな人生経験ができる。
誰が周りにいようが人生はその人なりなのです。
- その人がもしあなたの特別な人だとしても、他に特別な人が現れるかもしれない
感謝できない人は不利だ
経済の最小単位は人と人です。相手の代わりに何かをしてあげ、何かを受け取ることで利益が増幅します。
パンを焼くのが得意な人に小麦をあげたらパンにして返してくれる。
そのままでは食べにくい小麦粉が食べられるパンになることで価値が高まる。パンを焼く人はわざわざ小麦を育てなくても良い。
お互いに相手がしないことを交換し合あう。そのことは協力関係につながります。
世の中にはたくさんの人がいる。その中で協力関係を結ぶなら自分の好きな人と結ぶ。
感謝は相手のしたことを肯定すること。人は肯定されると、なかなか良い気分になる。
感謝ができない人は相手を良い気分にできない。いずれ協力してくれる人がいなくなるかもしれません。
このままでは辛い思いをする感謝ができない人。あなたならどのように付き合いますか?
こう考えてみたらどうでしょう。
感謝は無料でできる人助け。
その人が自分にしてくれたことをしっかりと受け止め感謝をする。
認めれたと思えば心に余裕ができる。余裕ができれば「ありがとう」くらい言えるかもしれない。
感謝が「できない人」が、感謝が「できる」人になるきっかけになります。
- 感謝ができない人をかわいそうと思えるなら、あなたの優しさを分けてあげれば良い
おわりに
「怒る」ことは自分が傷つき「不安」になることです。
一度いやな思いをすると、さらに傷つきたくないから自分を守るために怒ってしまう。
誰でも腹を立てます。それでも自分が怒っている理由を知り怒る自分を眺めてみる。それだけで冷静さを取り戻せます。
怒りと冷静は共存できません。冷静になると怒りは不満に変わります。不満は冷静に見つめられるのです。
自分の気持ちを分析することは、本当の優しさにつながる一つの要素だと私は思います。