いろいろと考え込んでしまうと心が濡れた綿のように重くなる。
心配性の人は問題によく気づく。しかし他人は「考えすぎだよ」とあざけるように言い放つ。
嫌な気持ちになっても困難に立ち向かっていける。ただつらい気持ちは拭い去れない。
実のところ心配性の人たちは問題解決力が優れていることが判明した。
心配性の正しい理解をし、
メリットを最大限に生かす考え方を紹介する。
目次
心配性の長所・短所と特徴
心配性のメリット
心配性の良いところとはなんだろう?ここでは3つの要素に注目したい。
- 気づく力がある
- 最適な結果のために努力をする
- 情報収集への意欲が強い
気づく力がある
行動を起こすときには情報があったほうが作戦の幅が広くなる。
失敗しないように心配する人は、たくさんの問題点に気付く。
普通の人(心配性でない人)はすぐさま行動したくてたまらないので注意を怠る。
始まった後にいろいろなトラブルが起こるので結果としてうまくいかない。
注意は意識を傾けなければできない。意識を集中するのは疲れる。それでも心配性の人は簡単に集中できる。しかも意識せずに。
脳が勝手に問題点を見つけてくれるので、心配性の人は注意力の必要な仕事が得意な傾向を持つ。
思考は問題の発見をしなければ始まらない。心配性の人は一定の水準を超えた思考力がある。
最適な結果のために努力ができる
心配性の人の反対といえば、不安になりにくい楽観的な人だ。
自分の目標に向かって努力できる人に「戦略的な楽観主義」という性格の傾向がある。
行動の結果を前向きに予測し、良い結果を出すために戦略を立て実行できる。
確かに戦略的な楽観主義者は統計によると学業成績が良いらしい。
しかし心配性の人々も同じように成績がいいというのだ。
心配性の人は「防衛的悲観主義」という性格の傾向がある。
過去に良い成績を収めたのにも係わらず、悲観的な行動の結果を予想するような人たちのことだ。
しかし悲観的な結果を産まないために、多様な戦略を立てて努力をする。
よって学業の成績は戦略的な楽観主義者と変わらないほど良い傾向を持つ。
心配性は仕事や勉強で成果を出しやすい性格だと考えられる。
情報収集への意欲が強い
何かイベントが発生すると、納得がいくまでとにかく調べる。心配性の人は情報に敏感なので検索能力に優れるのだ。
普通の人はあまり調べずに「さあやってみよう」と行動してしまうが、情報をたくさん調べる人は不安要素を消してから行動できる。
もちろんどちらが良いとはいえない。しかし蓄積される情報は人の考えを広くする。情報をうまく活用できれば考えの幅は広がっていく。
また心配性の人は自分の悪いところをよく知っており劣等感をもっている。劣等感の解消は成長欲求につながる。
自分に不満がない人に比べて普段から自分を成長させたいと思っているので、学ぶ意欲がある人が多い。
心配性のデメリット
反対に心配性にはデメリットがある。それらのデメリットを改善するのが今回の記事の目的だ。
その前にデメリットを確認する。要素は4つ。
- 自発的な実行力がない
- 集中力が散漫になる
- 人にうざがられる
- 不安が続く
自発的な実行力がない
心配が重なると行動を実行に移せない。
することを強制された状況のときは結果を出そうと対策ができる。
しかし自分で行動を起こしてまで不安と戦うのはしんどいのだ。
実行力の権威「メロス」を参考にする
集中力が散漫になる
取り組むべき仕事に向き合っていると、ふと心配が浮かんでくる。
心配に対処しなければならないと考えてしまうが、仕事もしなければならない。
集中できず中途半端な行動をしてしまい、仕事の効率が悪くなるのだ。
遊んでいても同様に気がかりがあると集中できない。心ここにあらずで今を楽しめない。
人にうざがられる
グループ行動で心配し過ぎると、周りの人を苛立たせる。
普通の人は早く行動をしたくてたまらないのに、心配性の人に動きを止められているのだ。
あれこれ考えるのは大変だ。大変なことは一刻も早く手放したいと思うのが普通だ。
周りの人たちからすると、気にしてばかりの人はわずらわしい。
また心配性の人は他人を見ていても気になる。他人が行動をする前に「おせっかい」をやいてしまう。
おせっかいは施しを受けている気になり嫌がる人は多い。
不安が続く
心配は不安を生む。不安を持つと憂うつになる。自分の行動を脅かされると恐怖を感じ気分が沈む。
行動がうまくいくと憂うつは解消するが、失敗ばかり積み重なり自己不信になるとやる気を失ってしまう。
心配性な人の特徴
以上のように心配性は状況によって良くも悪くもなる。
これらを踏まえて心配性な人はどんな特徴を持っているのか3つの観点で検討する。
- 悪いことを想像して試行錯誤をする
- すごいと思われたいが、嫌われたくない
- 心配性は変えられない
悪いことを想像して試行錯誤をする
日本人は心配性の人が多いらしい。悲観的な考えを持ちやすい遺伝子が多い事を示した研究がある。
熱帯で生まれた米は寒い日本では不作になることが多かった。食糧危機を予測しながら試行錯誤して生きてきた民族だから悲観的ということだ。(特に根拠はないが)
行動の結果が良いことを期待するのが楽観主義者で、悪いことを恐れるのが悲観主義者すなわち心配性である。
心配性の人が多い日本は戦後の復興から世界第2位の経済大国にまで上り詰めた。
その要因の一つとして試行錯誤の回数や質が優れていたからではないだろうか。
心配性とは一つの特徴であり、善し悪しがあるものではない。
すごいと思われたいが、嫌われたくない
心配性の人に多い「防衛的悲観主義者」は、2つの承認欲求をバランスよく持っていると言われている。
- 称賛を求める欲求
- 仲間外れを怖れる欲求
相反する2つの欲求を持っているバランスの良さが、努力で解決しようとする性格の要因ではないかと考えられている。
仲間外れを恐れる気持ちは心配を生む。怖いなら「私には出来ない」とあきらめて逃げ出すことだってできる。
しかし本当は自分が優秀だと証明したい欲求もある。
戦略を立てて良い結果を出せば優秀さが証明でき嫌われもしない。これらが努力の動機となっている。
心配性は変えられるのか
「心配なんて気にしない、不安なんて手放せばいい」という考えをよく目にする。これをそのまま解釈すると楽観主義者になれと聞こえる。
はっきりいうが根本的な性格は簡単に変わらない。
性格は遺伝的な要素が強く、環境で影響を与えても自然に素の気質に戻っていく。
楽観的になれと主張をする人たちを否定するわけではない。科学的な手法を使って心配の苦労を減らそうとしているなら効果はあるはずだ。
性格は変えられないが、
改善はできる。
特に心配性は良い部分が多い性格だ。敏感な気づきの能力を消す必要はない。
能力の高さを生かしたまま心配性を改善するにはどうしたら良いのか?
長所・短所を生かしながら心配性を克服する7つの方法
心配性を生かすには2つに分類される合計7つの改善項目がある。2つの分類とは以下になる。
- 1〜3:考え方の基礎
- 4〜7:具体的な戦術
1.自己認識を徹底する
自己認識とは自分自身を認識することだ。
心配性は気になることに集中する。集中は筒の中から対象を見るイメージだ。情報が限定されて細かいことにも気づく。
しかし全体を見通せなくなるので広い範囲で物事を捉えられない。眼の前のいやな物事に考えを支配される。
自己認識をすると第三者の視点を持てる。友達が心配をしていると「そこまで気にする必要はないかも」と思えるだろう。
第三者の視点はその行動がもたらす未来の価値を教えてくれる。
不安に襲われるだけではなく、自分の行動が良い結果につながるイメージが持てるのだ。
手っ取り早い自己認識の方法はこれ。
- 鏡を持ち歩く
心配を感じたらまず鏡を見てみよう。心が落ち着き心配が行き過ぎるのを抑えられる。
自己認識強化の決定版
2.生活リズムを正す
心配は不安の原因になる。
体の調子が悪いと脳のエネルギー源である糖分を消費するので考えられなくなる。
考える力を発揮できないと行動の改善案が浮かばない。
そのためにはどうしようもない病気以外で体調不良にならないように生活習慣を整える。
また生活リズムを整えると時間を効率良く使える。
心配性の一番の友だちは「時間」だ。時間がたくさんあれば、大好きな問題の発見や情報の検索がはかどる。
手軽に生活リズムを整えるには
- 仕事のリズムを整える
仕事のリズムに引きづられて生活リズムも整う。
自宅で家事をする役割の人も時間を決めて行動する。
集中力を保つ仕事術
3.心配に気づいたら喜ぶ
不安は嫌な気持ちになるのでつらいだろう。しかし心配をすることで行動に気づきが生まれるのは事実だ。
嫌な気持ちは消せないが、同時にいい気分を感じれば楽になる。
心配を感じたら以下の流れで思考してみよう。
- あれもこれも気になる……嫌だなぁ
- あっ、心配は頭脳が働いている証拠だった、えっへん
- 心配をすることで解決手段がいっぱい浮かぶはずだぞ
- もっと、もっと心配したいっ!
不安のストレスを軽減しながら、より多くの気づきを得ようと試みる。
これらを気にしていてもすぐに忘れてしまうだろう。そんな人はどこかに貼り出して思い出せるようにしておこう。
4.不安をあおる情報は切り捨てる
戦略的な行動は事前情報があったほうがやりやすい。
しかし改善につながらない情報に取りつかれると行動する時間がなくなる。強い不安を感じるとあきらめて逃げ出すかもしれない。
不安をあおるような失敗談は重視する情報ではない。簡単に結果が出ると主張する情報も疑ったほうがよい。
情報を精査するためには
- 調べるための時間を制限する
- 気になったことを書き出す
- 調べる事に優先順位を付ける
- 優先度が高いものから徹底的に調べる
- 優先度の薄い情報は見る回数を制限する
時間を決めて必要な情報から集中して調べていく。必要のない情報は参考程度に眺めて終わる(もしかして大事な情報かもしれないから一応は見る)。
行動をする時間を確保しないと結果は出ない。調べる計画を立て時間配分を怠らないようにする。
5.行動の優先順位を決める
自分が今するべき行動に優先順位を決める。
新しいチャレンジではなく、既に行動が始まっていることについてだ。普段からしている仕事などが該当するだろう。
別件が心配すぎて重要な仕事が手につかないときの対象方法を前もって決めておく。
おすすめの方法はToDoリストを活用することだ。
それも最大3つまでしか仕事を設定しない。重要なものを1つでも良い。
仕事の優先順位を決める対象方法は以下だ。
- ToDoリストで仕事の優先順位を付ける(最大3つ)
- 心配を思いついたら、メモに書き出して放置する
ToDoの仕事は絶対だ。何があっても途中で止めない決意をして取り組む。
浮かんだ心配は一度なにかに書き出しておくと調べたい欲求が落ち着く。
大切な情報かもしれないから、後から調べるようにする。必要のない情報だったら振り返ってみるとどうでも良くなっているはずだ。
全てのToDoが終わったら気になることを調べよう。その後に改めて別の仕事をToDoリストに割り振る。
ToDoは手書きのメモでも良い。
筆者はiPhoneの標準アプリ「リマインダー」をつかっている。アンドロイドは「ToDoリスト」というGoogleのアプリがある。
6.他人は自分で成長する
他人とは「赤の他人」ではなく、関わりを持つ人だ。家族や友達、同僚などが該当するだろう。
人のことを心配して手出し口出しをするのは、人の仕事を奪っているのと同様だ。
甘えられる人は依存する。甘えたくない人は世話を焼かれることをよく思わない。
よほどのことがない限り
- 他人のことには口出しをしない。
もちろん怪我が予測されるときは助けてあげたほうがいいだろうし、明確な時間の間違いなどは教えてあげればいい。
しかし教えられると自分の弱点に気づかない。依存し合う関係では失敗したときに相手のせいにしてしまう。
失敗は学びを得るチャンスでもある。お互いに自立した関係が協力しあってこそ互助は成り立つ。
それ以上に自分の仕事を取られると腹が立つ人が多い。ムダにイラッとさせないためにも、自分のことは自分ですると決める。
7.完璧主義を手放す
心配性は失敗を恐れるあまり完璧主義になる傾向を持つ。
失敗をすると認めてもらえないという感覚を持っているので、完成形の精度を上げたほうが安心する。
しかし完璧主義にこだわると、
- 行動が間違っていても修正ができない
- 感性までたどり着かず諦める
とデメリットが多い。
完璧主義を手放す考え方はこちらだ。
- 最終的な結果が良かったら周りの人は認めてくれるだろうと考える
- 途中で周りの人を巻き込み意見を聞く
- 完成形にこだわらず期間を決めて中間発表する
完璧になるまで自分のしていることを隠さず、家族や友人に相談しながら行動すればいい。
こだわった結果がやりすぎだったり、無意味だったりするかもしれない。そのムダをなくせば効率よく作業ができる。
周りの人に相談するタイミングを前もって決めておく。そうすると発表せざるを得ない。
戦略的な楽観主義者は人に褒められることは望んでも、馬鹿にされることはそれほど気にしない。この考え方をパクるのだ。
心配性の気づく力は才能だ。
最終的に完璧な結果を残せるのは心配性だけだ。
おさらい
気づく力が優れている心配性の人は、その才能のせいで苦労も多い。
しかし認められたいという気持ちはゴールへ進む原動力になる。
自分の心を苦しめるのは視野の狭さが原因だ。
全体を見通すように自分自身をとらえれば、心配の苦痛は軽減されるのだ。
心配性を生む劣等感は考え方一つで優れた自己分析の能力になる。
これらの7つの方法で心配につぶされずに
誰かのために輝ける人が増えたらよいなと切に願います。