依存心からの脱却

満たされない…イライラする。心が荒む抑圧と間違った承認欲求

投稿日:2019-03-06 更新日:

満たされない…イライラする。心が荒む抑圧と間違った承認欲求

もやもやする……なんだか心が満たされない

辛いとまではいかないけれど、不満が続くこの感覚が、いつまでも消えずに残る。

物欲が強いわけではない。むしろ恵まれているとさえ思う。

なのにどうして心が満たされないの?

私たちは日々の生活で起こるさまざまな問題に、ストレスを感じながら生活しています。

どうやら普段の生活だけで心を満たすのは難しいようです。

何が問題で、もやもやした不満を感じるのでしょうか?

自分の自由を、自分で捨てているからです。

不満の原因について説明し、心を満たす方法について検討します。

自ら抑圧する人は満たされずイライラする

抑圧された中でも幸せは感じられる

なぜ心が満たされないのか?

現状に満足していない、つまり幸せを十分に感じられていないからでしょう。

楽しいことは十分にあるはずなのに、それだけじゃ不満だと感じている。

豊かな現代社会では食べるものに困らず、(選ばなければ)そこそこ仕事がありますよね。

一昔前の人からすると、裕福といっていいほどの暮らしを、多くの現代人は享受しています。

特に日本などの先進国では、自分のしたい行動が自由にできる環境にあります。

しかし豊かで自由だからといって、幸せだとは言えない現状がある。

反対に自由が少ない人たちは不幸せなのでしょうか?

戒律の厳しい宗教によって自由を抑制されている人が、自由な人に比べて幸せを感じていると、心理学者のアイエンガーは研究で示唆しました。

宗教に希望を見いだせているので、楽観的に考えて精神的に健康な人が多いという理由です。

「不自由は不幸せだ」という素朴な価値観を吹き飛ばした結果でしょう。

選択の科学 | シーナ・アイエンガー, 櫻井 祐子

なぜ豊かに暮らし、なんでも決められる自由を手にしているのに、私たちは満たされないのでしょうか?

選択の責任を強制された社会

自分の食べるものは自分で決められますし、着る服だって普段は好きなものを着られる。

好きな相手と恋愛できるし、好きな仕事に就くことだって可能です。

私たちは何でもできる

しかし実際は「何でもできる」と感じている人は一握りでしょう。

それどころか多くの人は何にもできないと思っているかもしれません。

何を食べるか・何を着るかなどを選べることは当然すぎて、自分で決めている感覚がない

好きな相手と付き合ったり、好きな仕事に就くことは、それなりに努力が必要になる。

努力をしないと手に入らない自由は、全ての人が簡単に得られるわけではありません。

一方でいつも抑制されている人は、好きな食事ができたら特に幸せを感じます。

例えば刑務所で食べるおせち料理は格別なようです。おせち料理も刑務所が決めたメニューなので囚人は選んでいませんが、それでも特別に感じて喜ぶ。

また国家で割り振られた仕事に従事していた共産主義国の人は、欲しいものが買えない代わりにお金が余っていると嘆いていた。

しかし革命の末に資本主義国家の一員になったとしても、希望の仕事に付くことができずに、苦しい生活を強いられて「共産主義に戻りたい」なんてぼやく。

つまり私たちは自由だから不満がないどころか、自由だからこそ簡単には幸せを感じられないとも考えられる。

どんなことでも選べる中で、本当の精神的自由を手に入れるには、相当な努力が必要になってきます。

しかし自由を捨てて、すべてを強制されることを、自由に生きる人は望むのでしょうか?

いえ、ほとんどの人は嫌がるでしょう。

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マウンティング文化は無力さを押し付ける

徐々に薄れてきましたが、強い者(大人・年上)が弱い者(子供・部下)をマウンティングして「しつけ」をする文化が、ほとんどの国で根付いています。

強い者が権力を振りかざし、弱い者が抵抗できなくなるように脅して、無力さを心に植え付けていく

「自分は逆らえないんだ」という気持ちを弱い者に持たせて、言うことを聞かせやすくするためです。

マウンティングが成立すると、相手を思い通りに操るようなしつけができる。

「おまえの幸せは私のおかげだ」と強い者が暗に主張して、弱い者から尊厳を奪い取ろうとします。

このようにマウンティングをされると、自分一人の力ではやりたいことができないという感覚が生じる。

つまり自分が望む自由を手にできない感覚におちいってしまう。

やればできると思える気持ち:自己効力感が失われると、満たされない気持ちから逃れることは難しいでしょう。

心の底まで満たせない快楽資源

つらいことがあったら、心をいやしたいと思う。これは当然のことです。

心をいやすのは快感ですよね。つまり幸せを感じたら元気になれる。

現代社会は以下のごとく簡単に快感を得られる環境が整っています。

  • コンビニでお菓子をたくさん買い、やけ食いをする
  • 仕事帰りに居酒屋に行き、会社の愚痴をこぼす
  • 漫画やゲームに熱中し、難しいことから逃避する

物質に快楽を求める行動は即効性があり、一時のいやしを与えてくれます。

だからといって心は満たされるのでしょうか?

残念ながら次の日にはまたストレスがたまっていき、不満を感じてしまいますよね。

つまり物質で得られる快楽は、根本的な不満を解消しない。単なる対処療法なのです。

しかもお菓子・お酒・ゲームなどは依存性が高く、不満を感じたら何度も同じものを求めるようになる。

依存というのは慣れてくると刺激が足りなくなり、さらに強くて多い刺激を求めてしまう

結果として心身に悪影響を及ぼし、さらに不満は増加してしまいます。

この自由かつ不自由な社会の中で生きている私たちは、どうしたら幸せになれるのでしょうか?

自分で心を満たす手段を持てばいいんです。

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そもそも人の心は満たされない

承認欲求では幸せを維持できない

前章で話したように物質で満たす幸せは身を滅ぼしていきます。

では物質以外では、何によって心を満たせるのでしょうか?

簡単に思いつくのは、

  • 愛情
  • 友情
  • 称賛

など、誰かに与えてもらえる幸せです。

しかし結論からお伝えすると、誰かに与えてもらう幸せは不安定で、満たされ続けることは難しいでしょう。

なぜ不安定かというと、相手の反応に頼って自分をいやそうとするので、自己コントロールが難しいからです。

愛情・友情・称賛すべて、他者から認めてもらいたい気持ちである承認欲求が根本にあります。

承認欲求は満たされると快感を生む一方で、満たされていないときは心に不安を植え付ける。

しかし心の不安を解消するために他者へ承認を求めても、認めてくれるかどうかは相手次第です。

つまり物質への欲求と比べると、承認欲求は安定して得られない

承認欲求で幸せを感じ続けるのは、かなり難しいと言えます。

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劣っていることが恐ろしく感じる

承認欲求には愛情や称賛というような高揚感が伴うものだけではありません。

反対に嫌われたくないという消極的な承認欲求もある。

つまり嫌われる行動を避けることで、その社会での居場所を求めるのです。

消極的な承認欲求を持つと、

人の足を引っ張る存在になりたくない

というように、能力が著しく劣ることを極端に嫌がります。

能力が劣っているといじめの対象になりやすかったり、仲間に入れてもらえなかったりして、社会に受け入れてもらえないと考えるからです。

一方で、

目立って反感を買いたくない

との理由で、自己主張を嫌う人もいます。

目立つのもいじめや仲間はずれの可能性がでてくる。

人は基本的に自分と同じような立場の相手に、親近感を持つ傾向があります。なので目立ってしまうと集団の大半からは距離を置かれてしまう

また能力が高い人と自分を比べて劣っていると感じたら、相手に対し嫉妬心が沸き起こり、一緒に居たいとは思わなくなるのです。

つまり劣りたくもない・目立ちたくもないと考えてしまうと、集団のなかで個性を押し殺してしまう

本来は自由なのにもかかわらず、自分自身で自由を剥奪してしまうのです。

消極的な承認欲求では、他者からの愛情や、自分の誇りに疑いを持ってしまい、持続的な幸せは感じられません。

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満たされなかったら自分で満たせばいい

物質で得る幸せも、他者を頼って得る承認欲求も、心が満たされるには不十分だと分かりました。

ではどうしたら心は満たされるのでしょうか?

自分の幸せは自分で手に入れる。

これはありきたりな一般論のような気がしますが、唯一無二の方法であることは間違いありません。

幸せというのは、ひとときの感覚です。おいしいご飯を食べたら満たされますし、友だちと楽しくカラオケできたらうれしい。

しかし一時的な幸せは長続きしません。またおいしいごはんを求め、またカラオケに行こうと友だちを誘う。

残念ながら、せいたくなものばかり食べるとお金がなくなるし、友だちが忙しかったらカラオケにだっていけません。

自分で自分を満たすためには、何をすればいいのでしょうか?

  • 感謝を見いだす
  • 自己実現に向かう

この2点が重要な心を満たすエネルギーです。

感謝の心は承認欲求の1つですが、正しく求めると渇望の苦しみが少ない。

また自己実現は人生に意味を見出だし、その実現のために努力することです。

欲求段階説で有名なマズローいわく、普通の人間は、

  1. 生理的な欲求(食事・睡眠・排泄(はいせつ)):85%
  2. 安全の欲求(安全性、経済的安定性、良い健康状態の維持):70%
  3. 愛の欲求(社会に必要とされているという感覚):50%
  4. 自尊心の欲求(価値ある存在と認められ、尊重されることを求める):40%
  5. 自己実現の欲求(人生に意味を見出だし、その実現のために努力する):10%

程度しか充足していないと述べています。

参考資料:マズローの基本的欲求の階層図への原典からの新解釈

自己実現理論 - Wikipedia

マズローの欲求階層説

つまり基本的に人は満ち足りていないのです。

しかし満ち足りようと欠乏欲求(図参照)ばかりを求めては、反対に不満を抱えてしまう。

一方でほとんど充足していない自己実現の欲求は伸びしろが大きい。

自己実現欲求を目指せば、効率よく満たされなさを解消できます

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では次の記事で、感謝と自己実現の欲求の満たし方を検討しましょう。

おさらい

本当は何でもできる。そんな自由の中で私たちは生きています。

しかし自ら自由を抑制することで、社会に適用しようとしてしまう。

物質や他者に依存して心を満たそうとしますが、欠乏の苦しみは強く、不満は解消されないのです。

心の底から自分を満たすためには、自分自身で幸せを手にする方法を知って置かなければなりません。

その方法とは?

次回の記事でお伝えします。

  • この記事を書いた人

やくしじ

産業カウンセラー。個人向けの心理カウンセリングと、少年院のキャリアカウンセリングをしています。すべての行動には目的がある。熱意・不安・焦り・イライラなどの制御できない溢れ出す思いを全人的に受容し、自己理解を支援する。単発的な傾聴のニーズや、継続カウンセリングを通しての自己変容や目標達成を支援します。ご依頼はお問い合わせへご連絡ください。詳しいプロフィールはこちら

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