人間関係が悪いわけではないのに、心が満たされない毎日を過ごしている。
どうやら私は承認欲求が強い。インスタでいいねが少ないと不安になるし。
この感情は焦り?劣等感?それとも寂しいのかな……。
承認欲求に悩まされずに、楽しく過ごしたいのに。
心が満たされている人は、自分自身で幸せを感じられる考え方を持っています。
ではどうしたら心が満たされる考え方になれるのでしょうか?
感謝の5ステップで考えて、喜びと安心を生み出せばいい。
教育の現場では当たり前のように「感謝しよう」といわれますよね。しかしなぜ大切なのかは曖昧に伝えらえる。感謝は深掘って考えるのです。
どうして感謝が心を満たすのか、詳しく解説しましょう。
心を満たす3つの記事
目次
思考を深ぼることで感謝に気づけ、毎日を満たす
喜びを知覚しないと感謝できない
満たされない心を改善する一番かんたんな方法は、感謝の習慣を持つことです。
理由は相手に感謝をすることで、自分も気持ちよくなれるから。
……そんな簡単なことなのに、なぜ多くの人は感謝で自分を満たそうとしないのでしょうか?
その理由を知るために、感謝の気持ちが起きるメカニズムを理解しましょう。
さて子供のころ両親や祖父母、学校の先生などから、以下のように言われた人は多いと思います。
感謝の心を持ちなさい
僕も大人なので、子供たちに感謝の大切さを伝える機会があります。
しかしなぜ感謝が必要なのか、なかなか説明が難しい。しかたなく以下のように説明してしまう。
- 喜んでくれるから
- お互いに気持ちがいいから
- 良い行いにはお礼を言うのが当然だから
全て正しいと考えられますが、なぜ喜んでくれるのか・なぜ気持ちがいいのか・なぜ当然なのかという質問に答えるのは難しいですよね。
実際のところ感謝の気持ちが沸き起こる理由は、うれしいから。これははっきりしています。
してもらって助かったからお礼を言いたい。つまり自分の喜びの感情に気づいたから感謝できるのです。
相手の資源で得をしたから感謝できる
ではなぜうれしいのか、思考の深掘り術:5つのなぜを用いて考えてみましょう。
- うれしいから相手に感謝するのはなぜ?
- なぜ感謝するのか→うれしいから
- なぜうれしいのか?→利益を感じたから(損失が防げたから)
- なぜ利益を感じたのか→問題(困り)が解決したから
- なぜ問題が解決したのか→相手の行動が自分の役に立ったから
- なぜ相手の行動が役に立ったのか→相手の資源(時間やお金など)で得られる利益が、自分(私)のもとに行き渡ったから
というように相手の資源と引き換えに、自分の利益が手に入ったことが分かる。
つまり相手は資源をあなたのために役立ててくれたと解釈できるのです。
分かりやすい資源と言えば金銭です。金銭的資源を例に出してみます。
- 先輩が缶ジュースをおごるという行為について
150円程度の損失と引き換えに、缶ジュース(を飲む権利)という利益を相手方に渡すこと
要するに「先輩が150円失うことで、私が得をしたからありがとう」という解釈ができます。これは簡単ですね。
実際のところ先輩が失ったのは金銭的資源だけではない。おごろうという判断力などでも精神が消耗しています(下の章で説明します)。
一方で分かりにくい資源を使ってくれた場合でも感謝はできます。
- お母さんが朝おこしてくれるという行為について
起こす手間(時間)・時刻を気にする注意力・嫌がられる心配という精神の摩耗と引き換えに、子供が学校に遅刻しない安心を渡すこと
金銭のような明確な資源を失っていない代わりに、価値を認識しにくい時間・注意力・精神力といった資源を消費しているのが分かります。
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感謝の気持ちは5ステップであふれ出す
しかし起こしてくれたら、お母さんにありがとうと言えるはずですが、多くの子供は感謝を述べません。
それはなぜなのでしょうか?
起こされても利益と感じられないからですよね。
むしろ眠気に抵抗することでイライラし、その不快感をお母さんに起こされたせいにしているかもしれない。
感謝をするためには「今の自分に起きていることは相手のおかげだ」と理解しなくてはなりません。
相手のおかげだと知るためには、以下の感謝の5ステップを意識すればいい。
ステップ1.うれしさの知覚
缶ジュースをもらってうれしい・起こしてもらってうれしい
ステップ2.自分の利益の理解
美味しいジュースでいやされる・先生に怒られない
ステップ3.問題解決の発見
自分のお金を出さなくてよかった・起きられないから助かった
ステップ4.相手の行動への関連付け
先輩がおごってくれたからだ・お母さんが起こしてくれたからだ
ステップ5.相手が失った資源への理解
先輩のお金など・お母さんの気づかいなど
この感謝の5ステップでつまずくと、お礼を言うことは難しくなる。
感謝すれば自分も相手も心が休まることを思い出して、積極的に5ステップを使っていきましょう。
満たされない毎日を攻略!承認欲求を満たす感謝習慣
感謝の気持ちで承認欲求を満たせる
実のところ感謝というのは承認欲求の1つではないか、と僕は考えています。
相手が自分(私)に尽くそうとする条件は、相手に認められているということです。
このように感謝と承認欲求は密接な関わりがある。
一般的に理解されている承認欲求とは、
- 「すごい」と言ってもらいたい
- 特別な存在と思われたい
- 仲間だと認められて安心したい
というように、認められたい気持ちで沸き起こる欲求ですよね。
承認欲求が満たされなかったら、
- 自分は劣っているんだ
- 自分はあなたにとってなんでもない人間なんだ
- 自分は嫌われて仲間はずれにされているんだ
などの不安や劣等感に覆われて、ストレスを感じてしまう。だからこそ承認欲求に苦しむ人は多いのです。
自己啓発の世界では「承認欲求なんて必要ない」という主張がはびこり、あたかも簡単に捨てられるように思えてきます。
しかし承認欲求を捨てられる人は本当に少ないのが現状です。
認められないことに苦しんでいたら、いつまでたっても心は満たされません。
どうしたら苦しまずに承認欲求を満たせるのでしょうか?
感謝で承認欲求を満たす。
この発想の切り替えが、心の苦しみから自分を救う手がかりなのです。
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承認欲求を満たす感謝の5ステップ実例
では実際に承認欲求を感謝に転換してみましょう。感謝の心を呼び起こすためには、前述の感謝の5ステップを用います。
- SNSに意見をアップしたら、友だちがいいねをつけてくれた
- いいねがついてうれしい(うれしさの知覚)
- いいねが付いて安心したんだ(自分の利益の理解)
- 自己表現が認められた(問題解決の発見)
- 友だちがいいねしてくれたからだ(相手の行動への関連付け)
- 自分からがんばって心をひらいてくれたんだ。愛情を惜しみなく与えてくれたんだ(相手が失った資源への理解)
このように考えるとありがたみを感じるので、相手に感謝したい気持ちが沸き起こる。
また感謝は相手にお返ししたい気持ち(返報性の原理)も呼び起こす。よって感謝は途切れることなく続いていくのです。
相手を思いやる気持ちが本物なら、お返しすることがうれしく思えますから。
この感謝の5ステップは、ポジティブな発想しかできない仕組みなので、相手を思いやれるのです。
結果として相手の行動に疑いを持たず、気持ちの良い感謝の応酬が起こります。
もう一つ例を見てみましょう。
- あまり話をしない会社の同僚が、旅行のお土産でお菓子をくれた
- お菓子をもらってうれしい(うれしさの知覚)
- 仲間はずれにされなかったんだ(自分の利益の理解)
- 職場でひとりぼっちではないとわかった(問題解決の発見)
- 同僚がお菓子をデスクの上においてくれたから(相手の行動への関連付け)
- 私にお金をかけてくれたんだ。自らがんばって歩み寄り私を受容してくれたんだ(相手が失った資源への理解)
もうおわかりかと思いますが、1〜4ステップまでは簡単です。
大切なのは5の「相手が失った資源への理解」を深く考えるところ。
「自分だったらどう感じるのか」と考えることがコツです。
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お金だけじゃなく、優しさも受け取れる
金銭などの目に見える資源だけに注目してはいけません。
精神的な負担を考慮すれば、相手のありがたみが身にしみて分かります。
むしろお金については「お金を失った後の気持ち」まで察したほうが、相手の行動への理解は早い。
たとえばお菓子が100円だったとしましょう。
「100円位大したことない」と思う人でも、排水口の中に落としてしまったら、ものすごく損した気持ちになる。
一方でお金を役立てたいという意識があるからこそ、わざわざ自分(私)のために100円を使ってくれたのです。
つまり相手は自分(私)の役に立つことが、大切な行動の1つだった。
相手に疑いを持つと「どうせ気を遣っただけでしょ」といぶかしみます。
しかし実際に気を使ってお菓子をくれることは、自分(私)に嫌われたくないという気持ちがあるからです。
仲間と思ってくれる心に感謝できれば、相手の一つ一つの行動が、愛おしく思えて、幸せな気持ちがみなぎるでしょう。
感謝を連鎖させる3つの約束
黄金律から始まる感謝の連鎖
感謝で承認欲求を満たすには、まずはお礼を言えるシチュエーションがないといけません。
つまり感謝の連鎖は自分から相手に貢献することで始まるのです。
自分から相手に貢献することを教示する、黄金律という道徳の概念があります。
他人から自分にしてもらいたいと思うような行為を人に対してせよ
黄金律は以上のような意味合いで使います。宗教や哲学で伝えられてきました。
子供の頃に保護者や先生から、黄金律を何度も聞かされた人は多いでしょう。
認められたかったら、相手を認める。とてもシンプルな考え方ですが強力。
自分から認めなければ、誰かに認められるイベントは著しく減少するからです。
しかし「相手が自分を認めるのが先だ」と偉そうな考えを持つ人がいます。
子供の頃は家族などから無条件の承認を受けられるように、大人になっても自分は認められて当然なんだと思いこんでいるからでしょう。
職場や学校などの社会では、無条件の承認は受けられません。
自分自身が承認されるような人格を持つためには、黄金律を意識して、積極的に自ら相手を認めていきましょう。
謙虚な人を嫌いなのは、卑屈がうざいと感じるだけ。真の謙虚さとは
「いや、いや、私、全然かわいくないから!」と謙遜する人を白けた目で見てしまう……そんな人、結構多いのではないでしょうか。 自信家は嫌われやすい社会なので、へりくだった態度を取ろうとする人が多いのは当然 ...
数撃ちゃ反応がなくても悔しくない
黄金律に従って相手を認めていっても、相手が自分を認めてくれないと不安ですよね。
承認を求めると反射的に不安が生まれる。これは避けようがない。しかし不安を軽減する方法ならあります。
それは多くの人を積極的に認めること。
自分が認めてほしい相手を少数に限定すると、反応がこないことが際立ちます。
一方で認める人の数を増やすとどうなるのでしょうか?
- 反応してくれる絶対数が増える
- アプローチした人が多過ぎると、管理できず無反応に気づかない
つまり関わる人を増やせば、誰かは歩み寄ってくれるでしょうし、無視されても気づかないんですね。
認めると言っても簡単です。相手に対して「あなたの味方ですよ」というメッセージを伝えるだけですから、お互い気軽にコミュニケーションが取れる。
職場やクラスなどでは、相手からあいさつを交わすだけでも、親近感が増します。特に関わっていなくても、にこやかなあいさつを振りまきましょう。
あいさつは相手も簡単にお返しができます。そして感謝の5ステップを用いると、あいさつでも喜びを感じられる。
誰かのおめでたい報告(結婚・合格・出世など)を聞いたときには「おめでとう」と声をかければ、うれしいこと間違いなしです。
SNSで「いいな」と思った投稿には、すかさずいいねをしたり、ちょっとしたあいさつでいいからメッセージを送る。
それも1人や2人じゃなくて10数人以上が理想です。
人はそんなに多くのことを覚えていられないので、10人以上ならアクションしたことすら覚えていません(笑)。無視されても気にならない。
こうしてコミュニケーションを続けるうちに、いずれ自分の影響力がつくでしょう。
人に良い影響を与えられるようになると、勝手に承認欲求が満たされるようになるんです。
さまざまな業界の第一線で活躍している人は、自分のアクション1つが大多数に利益を与えられているので、期待していなくても認められますよね。
強い人たちは承認欲求が満たされる仕組みを持っているので、不安に悩むことなく、能力を120%使えるのです。
私たちも自ら感謝の連鎖を作り承認欲求を満たして、自己実現に向かう体制を整えましょう。
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押し付けしない心地よい距離感
誕生日のプレゼント交換やお中元などを、それほど親密でない相手から渡されたら、普通の人は困りますよね(感謝の5ステップを知らないから)。
欲しいものかどうかはわかりませんし、自分がお金を払って「お返ししなきゃ」と考えたら損した気分になる。
基本的に人は手に入るお金より、出ていくお金のほうが、価値を高く見積もってしまうからです。
一方であいさつやお祝いの言葉は、言語で交わすコミュニケーションなので気軽にできますよね。
つまり関係が深まるまでは相手がお返しに悩むなどの心理的負担が強い貢献はせず、言語を中心にしたコミュニケーションを重視します。
同様に金銭や称賛を求めて黄金律を使っても、相手は私たちの自己主張を嗅ぎ取って、拒否反応を示すでしょう。
実際の利益がほしいのなら、コミュニケーションの中で自然に自分の魅力を伝えるようにして、相手が自発的にあなた(の商品)を求める仕組みを作る。
友だちが買ってくれなくても、他の誰かに勧めたくなるような、価値があるものを提供すればいい。
よって押し付けにならない適度なコミュニケーションで、自分の影響の幅を広げたら、自分自身を支える基盤ができます。
感謝しない人にムカッとできる、優しいあなたに伝えたいこと
混雑している電車の中、勇気を出して声をかけ席を譲るために立った。 その人は黙って座った。会釈すらされない。 「…まあ、感謝してもらいたいから譲ったわけじゃない」と思うが少しイラッとする。自分の心が小さ ...
おさらい
誰かがしてくれたことを疑って「本当は嫌なくせに」とか「保身のためでしょ」なんて考えたら、心がどんどん荒んでいく。
相手の行動によって自分が助かったなら、全て感謝できるはず。疑う気持ちを捨て、相手がしてくれたことを真剣に考えたいですね。
感謝をすることで、自分の喜びに気づけるし、相手も安心できる。
こんなに感謝はシンプルなソリューションですが、昔から言われている通り効果てきめんなのです。
意識的に感謝の5つのステップを使って、心の満たされなさを解消していきましょう。
そのためには3つの注意事項を忘れないこと。
- 自分から相手に歩み寄る
- 別け隔てなく良いと思ったら近づく
- 負担の少ない言語のコミュニケーションから始める
次回の記事では健康な心を育成する「自己実現の欲求」について解説し、満たされない心とサヨナラします。