私がいつも目を背けていたモノは、心の奥底によどみ、その臭気は常に鼻孔をくすぐっていた。
そのモノとは「劣等感」である。
劣等感に対抗するすべは、はっきりしている。
つまり自分が成長できればいいのだ。
私は成長したい。なにか始めたい。しかし自己成長の目標など見つかっていないのだ……
実のところ自己成長を軌道に乗せるには、シンプルな方法でいいんです。
自己成長を促す「目標」と、毎日の「行動」を計画し、「アクショントリガー」を用いる。
劣等感とおさらばできる、自己成長の取り組み方をお伝えします。
目次
自己成長計画は、シンプルがいい
自分を変える挑戦をしたくても、はじめの一歩がなかなか踏み出せないんですよね。
未知の世界には道しるべがないため、不安なんです。
挑戦への不安を解消する計画とはなんでしょうか?
気軽に取りかかれて、いつでも変更可能な計画を立てればいいんです。
気軽に取りかかれる計画とは?
将来の目標に対して、今すぐ取りかかれる行動を計画します。
やろうと決めたその瞬間、次の一歩が踏み出せる。そんな行動プランを決めればいい。
始めは不安でも、実際に活動すればやる気がみなぎってきます。
やる気は「私ならできる」という意識を生み、さらに行動の意欲をかきたてる。
このことは自己効力感という概念で説明できます。
自己効力感とは、
- この行動なら「自分にもできそう」と感じる意識→効力期待
- この結果は「達成したい」と感じる意識→結果期待
参照:心理学ビジュアル百科 138P
つまりこの目標は達成したい(結果期待)し、このやり方なら自分にもできそう(効力期待)なので、やる気が起きるんです。
最近は「PDCAはDからはじめよう(DCAP)」と論じる人が多い。
つまりPlan=計画をする前に、Do=行動しちゃえよ、と考えられているわけですよね。僕もこの考え方には賛成です。
シンプルな計画を立て、一秒後には行動できるっていうくらいが理想の計画でしょう。
あれこれ悩んでいる間に、あなたの時間は失われていく。
実のところ第一線で活躍しているほとんどの人は、「自分が心の底からしたいこと」へ時間を投資しています。
心の底からしたいことってなんでしょうか?
より大きい未来の報酬(目標達成)のために、目先の小さな報酬(だらける)を無視して、行動すること
つまり自分の本心が願っていることへ集中していくんです。
この記事を読み終わってすぐに計画を立てれば、新しい一歩を踏み出せる。
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いつでも変更可能な計画とは?
自己成長の計画を立てるときには、一つだけ注意事項があります。
次の行動だけ決めること。
欲望に任せてアレヤコレヤとこんな計画を立てたとしても……
今月中に本を10冊読んで、来月中にTOEICのスコアを100点あげて、再来月までに売上を200%に……
実行するのは難しいですよね。
多くを望みすぎると、自分へ過度な要求をしてしまう。
過度な要求は、容易に挫折を生みます。
一度の挫折により、完璧を望む心は、簡単に崩れ落ちてしまう。
その一方で計画にしばられていないと、自分に対する甘えが出るんじゃないか?こんな心配を持つ人もいるでしょう。
確かに計画に縛られたほうが良い場合もあります。
例えば企業のもとで綿密な人材育成計画を作成し、甘えが許されない指導をトレーナーから受けられる人は、計画に縛られてもやっていけるんですね。
しかしほとんどの人は、自分で自分を勇気づけながら、自己成長に取り組んでいかざるを得ない。
だったら優先すべきは、
つまずかずに行動できること
それがいちばん大切なんです。
また確実に行動を続けていれば、自己効力感はさらに高まります。
自己効力感が高まると、副次的に良い効果が生まれる。
- 挑戦する気持ちが高まる→昨日の自分を超えたくなる
- 自分がしたいことは「できる」と思える→自己統制力が増す
昨日の自分を超えるよう挑戦を続ければ、徐々に時間あたりの成長効率が高まってきます。
自己統制力が向上すると怠惰な生活は健康的になり、より多くの時間を自己成長に割り当てられる。
自己成長は
時間効率×時間量=成長量
以上の公式により、最適化されていくんです。
まずは自分が一番やりたいことを計画しましょう。
自己成長計画の目標を立てる方法
では具体的に計画を考えていきましょう。
自己成長計画の要素は、大きく3つに分かれます。
- 目標=目指す自己像
- 行動=実際にすること
- 課題=目標に到達するまでに乗り越えるハードル(短期目標)
まず目標の設定はどうしたらいいのでしょうか?
「3年後の自分」という目標が、希望を引き出す
自己成長計画の第一歩は、3年後の理想の自分を想像し、その姿を目標にすることです。
3年後の姿は今の自分と比較しやすいので、具体的な行動計画を立てられるんですね。
いやいや会社のビジョンのように、長期的で抽象的な社会貢献の展望を目標に設定したほうがいいんじゃないのか?と思うかもしれません。
参考:トヨタグローバルビジョン | 経営理念 | 企業情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
もちろん「社会貢献のビジョン」を個人で持つのは好ましいんです。
ただし自己成長初心者は、自分と社会のつながりを理解していないことが多い。
そのため教育で植え付けられただけの自分らしくないビジョンを選びがちです。
困った人を助け、誰もが幸せに暮らせる社会を作りたい
例えばこのように考えたとしても、当の本人は嫌なことがあったら感情のおもむくままに誰かを攻撃する。もちろん無意識的に。
つまり社会の倫理で考えず、自分の確固とした倫理を築かないと、ビジョンを行動レベルに落とし込めません。
それよりも本音では、
- 出世したい
- お金がほしい
- 頭が良くなりたい
これらのような地位や物質的な欲望を願っている人が多いと思いますが、全く問題ありません。
おそらくその欲望は自己満足や見栄から出てきている。
しかし自分の知識や能力を高めなければ、達成できないことも事実でしょう。
知識や能力を高めていくと同時に、自己満足や見栄と向き合えば、精神性の成長も期待できます。
そうすると
と実感できる。
この気づきがあってから「自分が社会に求められてるものとは?」とビジョンを作り始めればいいでしょう。
そして欲望は承認欲求を満たす。
承認欲求は卑しいものだと考える人が多いですよね。一方で自分を動かすエネルギーとしても、この欲求は活用できるんです。
ただし承認欲求からくるエネルギーには、ある程度目標がかなったとき、もしくはうまく行かないときにやる気を失うという弱点がある。
別の動機も併用して活用すれば、その弱点は補えます。
承認欲求を良い動機に変える
また、3年後の自分を見据えた目標はいつでも変更できる。
もちろん変更したって無駄にはなりません。
これまで考え続けた痕跡は、新しい目標を達成するための思考力を与えてくれます。
3年後という近い将来は希望を与えてくれ、たとえ意思が弱くても、自分を動かしてくれる。
つまり未来の自分に近づくプロセスがよく分かる3年後の目標が、適切なんですね。
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具体的な3年後目標の立て方
目標の立て方は、実際のところどうしたらいいのでしょうか?
今の自己像を分析して、3年後までに到達したい姿へ置き換えましょう。
現在の状況と目標が連動することで、行動プランを立てやすくなるからです。
まず自分という存在にはいろいろな要素がありますよね。
- 仕事・学業など生活の主となる役割
- 収入・住所などの環境的要素
- 肉体(体力・容姿・健康状態など)
- 状況Aでの性格・状況Bでの性格……
- 家族・仲間などの人間関係
これらのような項目を思いつくままに洗い出して分析すれば、客観的な自分像がはっきりとします。
洗い出す要素は限定されていないので何でも構いません。自分が思い出しやすい要素で十分でしょう。
例えば以下のようにイメージをしてみます。
- 25歳、男性、田無市在住
- 今の仕事:法人営業部 平社員
- 年収 400万円
- 少しメタボ気味
- 仕事でミスをすると落ち込みやすい
- 彼女いない歴5年
次は洗い出した要素について検討し、3年後になっていたい姿を書き出す。
- 25歳、男性、田無市在住
- →28歳、男性、世田谷区在住
- 今の業務:法人営業部、平社員
- →法人営業部、チームリーダー
- 年収 400万円
- →600万円
- 少しメタボ気味
- →割れた腹筋を手に入れる
- 仕事でミスをすると落ち込みやすい
- →立ち直りが早くなる
- 彼女いない歴5年
- →彼女を作る
こうして並べた目標を一つの文章へ優先順にまとめます。
20XX年XX月X日までに、私はチームリーダーになる。落ち込みやすい性格を改善する。年収を600万円以上にし、彼女を作る。そのためにも割れた腹筋を手に入れる。会社に近い世田谷区に引っ越しをする。
これで自分が目指す3年後の姿が決まりました。あとはこの目標に向かって行動プランを実行するだけです。
人によっては欲望を垂れ流した目標は恥ずかしいかもしれません。
地位や収入・能力・知識が高まると、動機の選択肢はどんどん増えていきます。
まずはしたいことから精一杯がんばってみましょう。
具体的な行動の決め方
取り組みやすいことから具体的な行動を決める。
さて目標について考えてきました。
ここで手を休めると先延ばしの恐れがあり危険なので、このまま行動プランを考えなければなりません。
何を行動プランにすればいいのでしょうか?
まずは活動時間を決めて、一番したいことから始める。
十分に一番したいことへ取り組めば、目標へ近づいていけます。
確かに学ぶために効果的な順番があるのかもしれませんが、まずは効率よりも意欲を重視できます。
始まらなければ何も変わりませんよね。
では具体的な目標の決め方について確認します。
- 週間スケジュール表を用意します。(なければちびむすカレンダーさんからダウンロードできます)
- 現在の生活での時間割を書き出します。
- 週間スケジュールを振り返り、自己成長に費やせる時間を概算する
- 月火・木金:一日2時間30分
- 水:一日3時間30分
- 土日:一日3時間
- 週間スケジュール表で自己成長に費やせる時間帯を見つける
- 目標を深堀りして、行動プランを考える
- チームリーダーになりたい
- 成果を出せば認められる
- 成果を出す方法を学ぶ
- 営業スキルのノウハウ書を読む
- 行動を起こす準備があれば、「今すぐ」実施する
- 書店に向かい、営業ノウハウが学べる書籍を買う
- 近くに書店がなければインターネットで注文する
このように自己成長で活動する時間帯を前もって準備します。
用意した時間を自己成長のためにフル活用することが、当面の課題です。
「読書をする」などの行動が決まったら、その時間帯に実行する、というわけです。
もちろん単一の行動に縛られず、一日に複数の行動を実行してもいい(例:読書+筋トレ)。自分好みにカスタマイズします。
始めはとにかく自分の毎日を自己成長モードに変化させるために、効率よりも続けることを意識したほうがいい。
行動で得た結果について検証・再考し、バージョンアップした新しい行動を実践すれば、効率はいずれ高まってきます。
また、少しゆとりを持った計画を立てて、達成したら自分を存分に褒めましょう。
そうすると行動自体が自分にとっての報酬になる。これが自己肯定感を高める要因なんです。
つまり活動を続ける自信がもてるんです。
これで週間の活動予定ができたら、すぐにでも行動を始められますね。
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重い腰を上げるためには?
さて挑戦的な活動はつい先延ばしになりがちですよね。
「電車で読書をしよう」
→「ちょっとだけSNSを見ようかな」
→……30分経過
このように曖昧なルールで行動を起こすのは難しい。
また、SNSやゲームなどの娯楽を始めてしまうと、簡単にはやめられない。これではうまくいきません。
では先延ばしをしないにはどうしたらいいのでしょうか?
〇〇の後に、すぐ△△をする
と行動に隙間を持たせない命令を自分に課すことです。
この命令を活用すれば、遊びたい迷いが抑えられ、集中して行動できますよ。
例えば、
- 電車に乗ったら、すぐ読書をする
- 自宅に帰ったら、すぐ腹筋を20回する
- 布団に入ったら、すぐ瞑想(めいそう)をする
「電車に乗ったら、すぐ読書」なら、電車に乗る行動と読書をする行動の間には全く隙間がない。
つまり確実にスマホを見ることができないんです。
これはニューヨーク大学の心理学者:ペーター・ゴルヴィツァーさんが同僚と一緒に提案した「アクショントリガー」という考え方です。
自分に逃げ場がないほど明確な行動の方向性を課すことにより、誘惑や悪い習慣を排除し、本当にしたいと願っていることをやり遂げられる。
試しに今から自分自身に以下のことを課してみましょう。
- 記事を読み終わったら、すぐ机を片付けよう
- 机を片付け終わったら、すぐ紙とペンを用意しよう
- そのあと、すぐにどうなりたいのか(目標)を考えよう
- どうなりたいのか考え終わったら、すぐ一日の時間配分と行動を記入しよう
- 記入し終わったら、すぐ今日の目標に挑戦しよう
誰にも指図されず、自分自身の意志で動くと気持ちいいですよね。
アクショントリガーについての本
スタンフォード大学経営大学院のユースプロフェッサー:チップ・ハースさんとその弟のダン・ハースさんの共著。
当記事で説明したアクショントリガーだけでなく、人が行動に向かうためのノウハウが凝縮された一冊です。
おさらい
自己成長したいけれど、できない人は、多くの場合「悪い習慣」を持っています。
SNS・ゲーム・テレビ・YouTube・マンガなどに大切な時間を垂れ流しても、自己効力感は高まりません。適度ならいいですけれどね。
怠惰な日々の生活に嫌気が差して、やる気が出てきたというのなら、その自分の思いを大切に扱いましょう。
- 自分が願う3年後の姿を見つけよう
- 3年後の姿に向けて、今すぐできる行動を決めよう
- 「〇〇の後に、すぐ△△をする」と、自分に命令を出そう
まずは始めること、次に続けることが大切です。
また、続けられたら毎日・毎時間、自分を褒められます。
自分で自分の挑戦を褒めましょう。
自己成長の活動を習慣化させるまで、毎日の活動は全て挑戦なのです。
そして今からその一歩目の挑戦を達成できたら、めいっぱい自分を褒めてくださいね。