サイドデスクの上にある私の積読は、さらにホコリが積もっていた。
読書をしたい欲求は十分にあるのですが、どうも面倒になって先延ばしにしてしまう。
楽に本から知識を得る方法ってないの?……そんなものはありません。あったとしてもその技術を得るには並々ならぬ努力が必要です。
しかし読書を習慣にしたいと思う気持ちは、自己成長に前向きな証拠ですよね。
初心者に最適な読書方法ってあるの?
知識を活用する方法を知り、
付せん読書法を活用しましょう。
目次
読書効率を上げたい初心者の心がまえ
質・量にこだわらず、脳活動を感じ取る
読書の習慣化を目指すと、ついつい「100冊読むぞ」「週に2冊は読むぞ」などの量的な目標を立てがちです。
それが悪いわけではありませんがムリな読書は面白くありません。
また神経質になり、一冊の本で多くの情報を欲張ろうとする人もいます。
学習態度としては正しいかもしれませんが、読書が苦痛になっては継続できるはずがない。
読書だけではありませんが、行動は楽しさを感じなければ続きません。知的好奇心や達成感がバランスよく手に入らないと面白くならないのです。
読書が楽しいと感じているときは
前頭部が重くなる感覚があり、適度な負荷の脳活動が起きていると認識できます。
科学的なエビデンスが見つかりませんでした。僕だけだったらすみません
時間や量では読書の効果を正確に測れませんが、脳活動が活発だと有意義さは感じ取れる。
読書初心者のうちはムリをせず、前頭部の重量を感じることに読書の実感を求めます。
願望を捨て、知的好奇心を求める
なぜ読書をしたいのか?
と自分に問いかければ、具体的な欲求が理解できます。
- 知的好奇心を満たしたい
- 知識を得て問題を解決したい
- 問題に対し不安を感じているので、知識を得て安心したい
- 読書をして知的優位に立ちたい
- 知的な研鑽(けんさん)をしているというステイタスを得たい
など人によってさまざまです。
しかし知的好奇心を満たすという目的以外は、読書へ向かう意欲の妨げになる可能性が高い。
読書で得る学びは即効性がありません。蓄えられた知識が問題に関連付けられることで効果を発揮する、どちらかといえば遅効性の学習です。
欲求が満たされないと行動がつまらなくなってしまう。
また「問題解決を求めての読書」は純粋な目的のように思えます。しかし本に答えが書いてあると勘違いしてはいけません。
あくまで本に書いてあるのは情報です。
情報はヒントに成りうる。しかし問題解決方法は自分で解釈して生み出します。つまり思考なくして答えはありえない。
不純な動機を認めた上で、そこから意識をそらす。
知的好奇心に注目をし、前頭部の重みを感じる楽しみを味わうことが読書を続けるコツです。
知的好奇心を高める7つの方法。大人も学びを続けて強みを育てる
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読書の5つのステージを知る
「なんのために読書をするのか」それを前もって定義すれば、読書に向かう姿勢が真っすぐになる。
読み方には目的・速度別に分けた5つのプロセスがあると説明されています。
- スキャニング→単語を見つけるような検索的な読み方
- スキミング→文章を検索し、要点を見つけ理解する
- 通常の読み→すべての文、全ての語を読む
- 学習するための読み→考えや情報を理解しているか確かめながら読む
- 覚えるための読み→内容を記憶するために読む
参考文献:速読は有益か
つまり知りたいことだけを探すなら1か2の読み方が必要で、新しい知識に出会い理解したいのなら3か4の読み方(暗記するなら5)をすればいい。
この前提を間違えて読み進めると時間と効率を無駄にしてしまいます。
新しい本を読み始める前に、読み方を決めておく必要がある。
僕は購入した書籍以外(論文・ネット記事・新聞・雑誌など)は、ほとんどスキミング・スキャニングで済ませてしまいますね。
しかし気になる部分はしっかり読む。知的好奇心を持ったら深く調べ、ときには関連書籍を購入します。
点検読書の習慣をつける
点検読書とは「目次や表紙、見出し、一部の文を点検することで、書籍の内容や有意義性を確かめる」ことです。
時間をかけずに本の概要を知ることで、じっくり読み込むべきか見極めます。一冊あたり5分ほどかけて概要を調べていく。
点検読書がいちばん活用できるのは書店で本を選んでいるときでしょう。書籍選びは楽しい読書のためにいちばん重視したい行動です。
自分に合った本を選べれば、それだけで知的好奇心が継続し時間を忘れて読み進められます。
書店で立ち読みをして「難しすぎるな」と感じた本はいったん諦めましょう(絶版になりそうなら積読目的で買ってもいいですが)。
点検読書についての詳しい説明は:本を読む本
速度と理解を高める意識を持つ
僕はいわゆる速読を読書初心者のうちから目指すのは危険だと思っています。
速読は前提として本が好きになってから挑むべきです。
トレーニングをしなければ速度は上がりません。しかしトレーニングの負荷は強く、読書が好きでないと続かない。
読書初心者は集中して好きなように読む。脳活動の体感は充実さを証明します。「読書は楽しい」という気持ちの基礎になるからです。
しかし理解速度・識字速度を高めれば学びの効率がぐんぐん高まります。つまり短時間で深い経験ができる。
もしスラスラ読めていると感じたら、前頭部以外にもう一点だけ注目してほしい部分があります。眼球の動きです。
読書スピードが早い人は眼球を留める時間が短い。滞りなく視線を流す技術を持っています。
調子よく読み進められているときは、眼球の動きも意識してみましょう。
類推を前提とした読書をする
類推は「問題を既有の知識と関連付けて、解決方法を推理する」という意味です。読書で得た知識は豊富な類推で生かされる。
読書というのは答え探しではありません。著者の経験を体系的に学んでいく、いわば能動的な観察学習です。
学んだことは解釈して活用する。つまり読書で得た知識は個人的な記憶なのです。
答え探しの読書では、幅広い物事に興味や関心は持てない。
時間があるときは拾い読みをせずに、すみずみまで確かめるように読む。今までの経験になかった斬新な知識が得られるかもしれません。
説明を意図して読み進める
説明は相手に合わせて柔軟に表現を変える必要があります。そのために本の内容を自分なりに解釈して伝える。
自分なりの解釈とは、自分なりの経験と置き換えられる。
知識は文章がそのまま脳に張り付くわけではありません。解釈によって自由に形を変えるイメージとして記憶されます。
説明を意図して文章を読むためには2つのコツに気を配る。
- 体感する
- 言い換えできる
体感する
情報を文字だけで追いかけても記憶に根付きません。
五感で体感できそうな文章は、具体的なイメージを想像しながら読むようにします。たとえば
- 照りつけるような日差し→太陽の熱光線に肌を焼かれる感覚、流れる汗
- 親に怒られた子ども→怒気を受けて胸がもやもやする感覚、金切り声で耳が痛い
- 食べるものがなくなってしまった→空腹の痛み、恐怖、頭をよぎる死の感覚
文章の中にある表現を映像に変える。足りない部分は想像力で補います。
言い換えで、記憶が定着する
文字列はイメージになってはじめて意味を持ちます。そのイメージは人によって異なる。
たとえば「諦めない限りチャンスはあります」という一文を見つけ共感した。それを説明する場面を想像します。
- 諦めなかったらいつかチャンスは巡ってくる。だから続けることが大切なんだ。
- あきらめるな。やめたら敗北を認めることになる。だからチャンスが来るまで続けるんだ。
- チャンスというのは平等にあるんだ。だからその番が来るまであきらめるな。
というふうに、言い換えを想像しながら読む。もともとのフレーズに含まれたメッセージを解釈して、別のかたちで表す。
以上のように学んだことを誰かに説明するためには、自分なりのイメージを持たなければなりません。
想像しながら読書を進めれば、知識が活用できる形になる。
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これらの心がまえを踏まえると、読書を気軽に楽しめます。
しかし限られた時間で効率よく知識を得たいと思うのは当然です。
初心者がムリをせず楽しみながら読書で知識を得る方法はあるのでしょうか?
簡単で効果的な「付箋(ふせん)」を使った読書法を紹介します。
楽しんで読書効率が上がる、付箋読書法の6ステップ
0.付せん読書法とは
線を引く、ドッグイヤー(本の端を折る)をつける、空いているところにメモ書きをする、ノートに転機する……。
学習として読書をするなら、知りたいところをマークすると効率が上がります。
その1つとして付せんを貼り付ける方法を紹介します。実施している人は多いと思われる。
この方法にはいくつかのメリットがあります。
- 本を汚さない、傷つけない
- 何度もマークをやり直せる(貼り直せる)
- 寝っ転がって読める(推奨はしませんが)
- 付箋をたどれば目的のページがひらける
反対にデメリットは「ゴミになる」「お金がかかる」というくらいでしょうか。
ゴミに関してはどうしようもありません。これが気になる人は別の方法で代用しましょう。
お金に関しては節約すれば気にならない程度になると思います。
たとえば「100円ショップDAISO」の付せんは100円で800枚入りです。僕ならこれだけあれば4〜5冊分になる。
通販ならこれが最安
1.本を購入した理由をはっきりさせる
では本題に入りましょう。
購入した本・図書館で借りた本・実家に眠っていた本……無料で読める本もあります。しかし必ず「時間」を使って読む。
時間という大切な資源をムダにしないために、効率よく読書をしたいですよね。
そのために読書をする前に「なぜこの本を読むのか」と自分に問いかけ、目的をはっきりさせます。
どんなことを知りたいのか明確にし、目的を意識して読み進めるようにする。
事前にノートやメモアプリに、読みたい理由を書き出してみましょう。
自分でも意識していなかった潜在的な目的が出てきたら、さらに学びが深まります。
2.目次を読み想像する
目次とは見出しを順番に並べ、書いてある内容に当たりをつけ、希望のページを引くための目安にするものです。
目次を見て何を書いているのか想像します。まったく内容が想像つかない見出しもあるので「わからない」と意識するだけでもよい。
書籍に書いてある情報と自分の認識のズレを明確に感じられます。
わからないことが明確になるので、「知ろう」と関心を持ち読み進められます。認識のズレを改めると記憶に残りやすくなる。
また内容を想像すれば頭の準備体操になり、読書効率が高まります。
3.ピコン!ときたら付せんを貼る
本文を読み始めて気になった所があれば、どんどん付箋を貼っていきます。
知ったかぶりや遠慮をせず貼りまくるのがコツです。僕は300ページほどの教養書なら200枚ほど貼ります。
見開き2ページなら1枚は貼っている計算です。本によっては数が増減してもよい。心が動かされた部分を見逃さないように注意します。
付せんを貼ったフレーズの意味を自分なりに検討します。すぐに解釈が思いつかなければ無視して読み進める(また後で見るので)。
4.小見出しごとに独自のタイトルを付ける
本には「見出し」がついています。目次は見出しが順序よく並んでいますよね。
作品によって見出しの付け方が違うので一概に言えませんが、大体の書籍は
- 大見出し(第1部)
- 中見出し(第1章)
- 小見出し(第1節)
- 小見出し(第2節)
- 中見出し(第2章)
- 小見出し(第1節)
- 中見出し(第1章)
……つづく
このように分けられています。
見出しは小分けされた内容を一言でまとめたものですが、中には書いてある内容が想像できない残念な見出しもあります。
ここで理解度チェックも兼ねて、自分なりの小見出しを考えて目次を作ってみるという作業に取り組みます。
最低でも一言で要約できるほどの理解度があれば、その文章を読んだ意義があるはずです。
自分なりの小見出しはノートなどにまとめてもよいし、付箋に書き込むだけもよい。
5.付せんを貼ったフレーズを振り返る
すべて読み終わったら振り返りをします。
始めに戻って付せんが貼ってある部分を開き、フレーズを1つずつ改めて解釈します。
すべて通して読むことで、著者の意図をいくらかは理解できました。それを一文につき一言で要約する、または人に説明するように解説を試みます。
同時に付せんが貼ってあるフレーズから前後の文章を推測する。もし忘れていたらざっくりとスキミング(検索読み)をして理解を確かめます。
あらためて読み直し、重要ではないと思う付せんは剥がしてもよい。それでも僕は張りっぱなしの付せんのほうが圧倒的に多いですが。
アクティブラーニングでは必ず振り返りして、記憶効率を高めよう
アクティブラーニングの学びは「振り返り」により活性化します。子供たちはより高い理解度を得る。 しかし振り返る理由がわかっていないと、良い効果は発揮できません。 振り返りは3つの効果を生むのです。 目次 ...
6.自作の目次をなぞって内容を解説する
最後に見出し単位で大まかな理解を確かめる。つまり要約をする範囲を広げます。
付せんを貼っている「一文」当たりの理解は情報量が少なくて簡単です。
しかし「小見出し」→「中見出し」→「大見出し」→「一冊」と情報量が増えていくたび、要約は困難になる。
なので目次(自作したもの)を参照しながら小見出しを要約し→それをまとめて中見出しを要約し→大見出しを要約し→最終的に一冊を要約する。
という感じで最終的にこの本に書いてある作者が根本的に言いたいメッセージを引き出せれば成功です。
作者の言いたいことは、読み進めるうちにイメージが固まってくる。
それでも要約作業をすることで、自分の思い込みを別の角度から検討できます。
要約はテキストにまとめると後で確かめられ便利です(が、僕は面倒なので断念しました)。
今はビデオ録画機能を使って、iPhoneに話しかけるという方法をとっています。話し方のトレーニングにもなるのでおすすめですよ。
おさらい
いくら願望を持っても習慣は身につきません。
知的好奇心を育めば、本が好きになり楽しく読書ができます。
速読など効率を意識するのは、本が好きになってからでよいでしょう。
「テレビを見たりゲームをするよりも、本を読みたい」と思えるまでは、ゆっくり焦らず本に触れ合う。
本には答えなど書いていません。ただ情報があるだけです。それを自分なりに解釈して活用するのが読書の目的です。
小説・教養書・ビジネス書……どんな書籍であっても作者の意図が100%伝わるはずがない。
深く多彩な解釈をした人が作者のメッセージを活用できる。
まずはできるだけ長く本に触れることを目標として、自分のペースで読書を楽しんでくださいね。