自己啓発って怪しくない?
自分を成長させようという自己啓発は、世間では「胡散臭い」「インチキ」「危ない」「中毒」等と散々の言われようだ。
家族や友だちが自己啓発に目覚めてアピールしてきたら不快に思う。「怪しい」という疑いか、「成長されたくない」という焦りを感じている……。
安易に人を頼る自己啓発なんてありえない。
まともな価値観をもって取り組めば、人生がより楽しくなるのは確かだ。
ダメな自己啓発ビジネスにだまされず、適切に を検討する。
目次
自己啓発が胡散臭い理由
洗脳するようなセミナーが多すぎる
自己啓発が怪しいと思われているのは、詐欺まがいのセミナーが1つの原因だろう。
- 笑うだけで人生がうまくいく
- 願うだけで理想がかなう
- この情報を知るだけで金持ちになれる
「だけ」というフレーズには要注意だ。
確かに笑うことで心の変化がある。願えば理想が明確になる。得な情報は正しく使えば利益になる……。
しかしそれだけで全てがかなうというのは完全な努力の放棄だ。
成功を収めている人はその立場を築くまでに多大な努力を費やしている。
「だけ」に注目するのは自分の成長を他人任せにしている証拠だ。
世間では努力をせずに裕福になりたい人たちから、お金をむしり取る商法が横行している。
悪徳なセミナーは「結果にコミットしない」。
効果が証明されたノウハウと結果を出すサポートが提供できれば、顧客は高額なお金を払っても価値を感じる。
手アカがついた形骸的な手法を売りつけ、失敗を顧客のせいにするセミナーは、金をむしり取るただの詐欺だ。
行動をしないくせにアピる
知識だけで自己啓発はなりえない。しかし知識の積み重ねが成長のプロセスと勘違いしている人がいる。
知識を得るために本を多読するのが悪いわけではない。何もせずに不満ばかり話す人よりはいくらかマシだ。
しかし同じテーマのタイトルが違う本を読み続けるのは単なる不安の現れかもしれない。
読書が行動に起こす前の猶予期間のように感じて現実逃避できる。
本を読むことで知識は多彩になる。自分が選べる選択肢も増えるだろう。しかし知識だけでは行動をおこせない。
自己啓発の体験をひけらかすのも周りは煙たがる。努力していない人が言っても、努力している人が言ってもうっとうしい。
自分を変えるというアピールは周囲に良くも悪くもストレスを及ぼす。
好意的に受け止めて自分もやる気になる人と、劣等感を刺激され腹を立てる人がいる。
スピリチュアルへの不信感
引き寄せの法則など、自己啓発にはスピリチュアルな方法論が多く存在する。
願っていれば幸せになるというこのメソッドを取り扱うには注意が必要だ。
幸せな自分を想像することは快感を生む。想像の世界は気持ちがいい。
これを有効に使えば快感を自分でコントロールできるので、幸せを感じる論理的な方法ともいえる。
問題は巨大な物質的欲望をかなえようとすることだ。
確かに想像は自分の目指す姿を明確にするので願いが人生設計に役立つ。
しかし億万長者の欲望をかなえるには相応の努力が必要になる。
思い続けて気分が高まり、恐れに負けず計画を行動に移せるなら引き寄せの法則は一つの手段として有効だろう。
自分の不安に負けず目標を思い続けるのは立派な意志の力だ。
そんな力が育っていれば行動をしたほうが夢がかなう確率が上がる。
しかし襲ってきた不安に対し、引き寄せの法則に頼って立ち向かう。その繰り返しでは、いつまでたってもその泥沼から抜け出せない。
「思考は現実化する」の単純解釈
自己啓発のベストセラーといえば思考は現実化するを思い出す。今はKindle Unlimitedで読める。
この本も引き寄せの法則に近いことを紹介している。願望を手に取れるくらい綿密に想像すればその願いは現実になるというのだ。
賛否両論があるスピリチュアルなこの理論は、目標をかなえる一つの手段として有効だ。
自分の大きな目標を掲げて現在までさかのぼると、今するべきことが見えてくる。
実際に想像してみよう。
大きな目標をかなえるためには、今すぐする行動がとんでもなく難しいことに気づくはずだ。
それに挑戦できるなら願望がかなう可能性も高い。
しかし見積もりを甘くし今の自分に変化を求めないと、思考の現実化はなりえない。
魔法の力に頼ることに何ら変わりはないのだ。
年をとるほど努力の要求は高くなる。
例えば40歳の平凡な人が10億円ためたいと願望を持つのなら、自分自身を原型がないほど変容させるチャレンジを要する。
その恐ろしい変化に恐れた人は、安易に宝くじを買い続けるしか方法はない……。
神は願うだけでは何もしてくれない。
願って行動を起こすものが自分で道を切り開く。
献身的な人物に神は加護を与える、……のかもしれない。
自己啓発のメソッドに頼っていては、自分を変えられず時間だけが過ぎていくのだ。
自己啓発ビジネスの共存関係
本人の意思で、自分自身の能力向上や精神的な成長を目指すこと。また、そのための訓練。
自己啓発という言葉はゆがめられている。本来の意味は本人の意思で成長を目指すということだ。
しかし悪徳な自己啓発ビジネスは、本人の「主体性に基づいた意志」に訴えかけず、成長の求道者のように振る舞う。
それが顧客の他人に頼る心を操っていく。セミナーに付いてくれば、あなたは幸せになるというのだ。
そのかわりに高額なお金を要求し、アフターフォローをしない。もしくは永遠に金をむしり取る。
実は悪徳な業者とだまされる人には一種の共存関係が成り立つ。
被害者が「私の将来をあなたがなんとかしてください」と頼るように、悪徳業者も「何もしてあげないけれどあなたのお金をちょうだい」と企てる。
お互いに自分では少しも価値を生み出さずに甘い汁を吸い合おうとする似たもの同士の関係なのだ。
悪徳な宗教組織も同じような構造になっている。はじめは搾取される信者が地位を高めたら搾取する側に回る。
自己啓発にだまされたくないなら、
人に頼る気持ちを捨てる。
正しく自己啓発をする4つのポイント
1.願いを主体的に解釈する
頼る気持ちを捨てるというのは少し過激に聞こえるかもしれないが、状況を解釈し主体性を持てば自分の責任で人に頼れる。
願いに向かって進むのは自分自身だ。しかしそれを忘れてしまうと気づかないうちに他人に自分の人生を任せてしまう。
主体的な行動のためには、
- 自分の人生に責任を持つ
これが何より重要だ。
思考は現実化するのメソッドのように願いを具体的に想像して、現在から目標までの道筋を作る方法は悪くない。
道筋どおりに行かなかったら何度も行動を修正することになるだろう。失敗してもゴールを諦めない心の準備が必要だ。
願望が適切かどうかも検討しなければならない。いくらなんでもムリな願いはかなえられない。
また成功までの道のりは一定ではない。
ミュージシャンや小説家などがわかりやすいが、あるきっかけで成果は格段に向上する。
成功をしていない人物にはその予測が難しい。大きな目標よりも現実の手段に目を向けるほうが結果を生むかもしれない。
自己啓発の基礎となる主体性の育て方
2.階段をのぼるように計画をする
自分の力でコントロールできない自己啓発のノウハウは
信用しなくていい。
確実に自分の力になることを物にする。他のノウハウは後から検討する。
今の自分に満足が行かず情けなさを感じているなら、チャレンジをする自力がないと思われる。
意志の力をつけてはじめて困難に立ち向かえる。
知識に執着しても自力は付かない。意志の力を鍛えるために簡単な行動から始める。知識が行動の効率を良くする。
筋肉だって知識だけではつかない。トレーニングをして筋肉がつく。行動力も同様だ。行動を起こす意志の力は鍛えることでついてくる。
では何をすれば行動力がつくのか?
- 仮説を立てる
- 計画と行動を繰り返す
この2つのサイクルを永遠に繰り返すのだ。
予想を立てると行動の評価ができる。途中で方向修正をするためには評価が必要だ。
仮説が間違っていなければ、行動を続ければ目的は達成される。
継続が何よりも大切なことだ。がんばりを正当に評価すれば意欲は続く。
大きな目標は小さく分割する
3.読書力を付ける
都合の良いハウツーにだけスポットライトを当てるから自己啓発は胡散臭いと思われる。
悪徳セミナーは手軽さをあおるが、自己啓発書の読者が正確に本の情報を読み取れていないことも一因だ。
都合の悪い部分に興味が無いのならどうしようもないが、単純に本を読む力がない人もいるだろう。
著者は成功するための大事なポイントを自らの経験と交えて説明している。
文章から読み取れるのは成功までの道筋であり、著者の哲学に基づくものだ。
しかし理解が及ばない難しい書籍は、簡単なメッセージしか記憶に残らない。
読む力をつける手段は2つある。
- 簡単な本を読み著者の言いたいことを見つける
- 同じ本を何度も読む
簡単な本を読み、著者の言いたいことを見つける
簡単な本は漫画でもいい。例えばワンピースを読んで登場人物の行動から心情を探ってみる。絵やセリフに惑わされず、自分なりの解釈を考える。
極端に言えばテレビドラマだって勉強になる。刺激的な場面に興奮しすぎず、心情を探る訓練をする。
つまずかず読み通せることが読書力ではない。理解の実感が浅ければ、簡単な読書から始めるべきだ。
同じ本を何度も読む
著者が言いたいことを自分の言葉で説明できるまで読む。
1度目で理解したと思っている本でも、2度目を読むと違う情報が入ってくる。読む時間は早くなり理解も深まる。
これができないなら自分の身の丈に合わない本を呼んでいるのだろう。なるべく簡単な言葉で書いてある本を探したほうがいい。
4.スピリチュアルからは手を引く
スピリチュアルが悪いわけではない。人知を超えた力が奇跡を起こすのかもしれない。
しかしスピリチュアルは自分では手に負えない力である。不思議な力は依存をするしか効果を発揮しないのだ。
人生に責任を持てないなら、スピリチュアルに頼るのは早すぎる決断である。
主体性を持って判断をする力が育っていないと、悪徳なセミナー業者にだまされてしまう。
まずは科学的な手法を使って自分を鍛え上げる。スピリチュアルにチャレンジするのはそれからでもいいのだ。
おさらい
「自己啓発」という言葉の意味はすばらしいが、世間一般の印象は悪い。
その一因として生活が豊かになり安直な方法で快楽を得られるようになったことが挙げられる。
現在の人が抱える悩みのほとんどが対人関係により生まれている。劣等感や承認欲求に苦しめられている人が多い。
だからこそ成長したいと願うのだが、自分の人生も安直に改善しようとするから悪徳商法が横行するのだ。
(インチキを除き)自己啓発書は人生を豊かに変える情報を与えてくれるのは間違いない。
ただし成功者に比べ、著しく読者は努力ができない。
意志力を鍛えて考え方の基礎体力をつければ、いずれ成功者の気持ちがわかってくる。それからが自己啓発の本番だ。
何度も読みたい科学的な自己啓発書