私は冷たいのか。困っている人に手を差し伸べられない。つまり思いやりがないのだ。
この性格は改善できないのか……。
誰かに優しくしても迷惑がられるときがあった。思いやりが伝わらない。だから怖くなって……心の余裕がなくなってしまう。
自分が優しくしようとしても、相手が必要としているかわからない。
そう考えると他者を思いやれなくなり、自己中な自分が嫌になってしょうがないですよね。
どうしたら思いやれる人になれるのでしょうか?
子供の頃の思い出から学べばいい。
優しさの本質を知り、思いやり行動を育む具体的な4ステップをご紹介します。
目次
思いやりの心を持つための、性格を直すマインド作り
相手を認めてからの思いやり
以下は辞書による思い込みの定義です。
他人のために気遣ったり同情したりする気持ち。
誰だって気づかいや同情はできますよね。しかし思うだけでは何も解決しない。
「行動」が伴わないと、思いやりではないということです。
実際に優しさを行動で示すのは、けっこう難しい。
教育現場では思いやりについて強く指導していますよね。思いやり行動が難しいから、指導しなければならないのです。
なぜ思いやりの行動を起こせないのでしょうか?
自分が損をすることを恐れているからです。
相手を助けるためには、自分の資源を使う。つまり他者のためには大切な資源を使いたくないんですね。
人が持つ資源の一例は以下です。
- 物質的資源
- お金
- 物品
- 時間的資源
- 労働力
- 時間の提供
- 精神的資源
- 精神的負担
- 勇気
資源を失い見返りのない行動をするのは、精神的につらい。
そのため不本意ながらも言い訳をしてしまうのです。
- 手を差し伸べたら、……迷惑だよな
- 助けてあげようと思うけれど、「ざまあみろ」という気持ちになってしまう
- どうせ良いように使われるんだろ?だったらこちらからは歩み寄らないよ
手を差し伸べなかったほうがよいケースもあるでしょうが、手助けしてほしいのか、そうではないのか、相手の本心は分かりませんよね。
そして面倒なことに、助けられることが損だと思う人もいる。
- 手を差し伸べられたら、貸しを作ってしまう
- 助けようとしているけれど、本当はバカにしているんだろ
- いい顔をしてくるけれど、本当はだますつもりなんだ
助けられた人の半生に、思いやり行動のいい経験がないと、悲観的な予測をしてしまうのです。
思いやりを実行して、幸せな結末を迎えるためには、お互いが相手を認めて受け入れなければならない。
相手を認めるというのは、これまで何度も痛い目にあってきた人なら、非常に難しく感じるでしょう。
それでも優しい気持ちのまま、素直に相手を認めることで、思いやり行動ができます。
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共感と柔軟な考えが生む正しい思いやり
実のところほとんどの人は、思いやりがもたらす喜ばしい結果を知っています。それは、
感謝されるということ。
つまり思いやりを持って行動しても、感謝されなかったら失敗だと感じるわけです。
失敗を恐れてしまうと、思いやり行動は起こせません。
では失敗なく思いやり行動を成功させるためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか?
相手の立場でしっかりと考えればいい。
当たり前だと思うかもしれませんが、実のところ相手の立場で考えるのは難しいのです。
思いやり行動が失敗する理由の1つとして、主観的で短絡的な判断がある。
つまり相手のためになると思いこんで、深く考えずに行動してしまったことが、反対に迷惑になってしまう状況のことです。
主観的で短絡的な判断を止めて、思いやり行動の成功確率を高めるために、以下の2つのキーワードを気にしましょう。
- 共感
- 柔軟な考え
共感
困っている相手には、直接「何に困っているのですか」と聞きたいですよね。
しかし聞いたところで本心を語ってくれるか分からないですし、聞けない状況も多々あるでしょう。
つまり見たまま・聞いたままの判断では、本当に求められていること分からないのです。
相手が求めていることを知るためには「共感」に力を入れます。
一般的に共感という言葉は、他人の考え・行動に、全くそのとおりだと感ずること
というように捉えられています。
しかし心理学で用いられる共感の定義は以下の通り。
他人の体験する感情を自分のもののように感じとること。
つまり相手の感情をありありと感じることが共感です。
そうすると今何をしてほしいのか?と言う問の答えが見えてきます。
- 表面的な状況で短絡的に判断せず、深ぼって考える
- ありがちな判断をせず、相手に寄り添った対応を探る
このような態度で思いやり行動を検討すれば、自然な流れで相手に共感できるでしょう。
柔軟な考え
出てくるアイデアは1つではありません。
複数のアイデアを見比べて、一番相手のためになることを見つけられれば、思いやり行動の成功率は高まります。
例えば
遊園地で親とはぐれて泣いている小さな子供を見つけました。どうやらトイレに行きたいようです。
小さな子供なので、あなたは手を引いてトイレの中まで連れて行ってあげようと思いました。
しかし「もし知らない大人が子供を密室に連れ込んだ、と親にいぶかしまれたら……」
あなたは思いとどまり、見かけた遊園地のスタッフに声をかけ、子どもを託しました。
このように思いついたアイデアを柔軟に検討すれば、最適解が見つかるでしょう。
相手のために思考をより深めることが、寄り添いの基本です。
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思いやりを持つということは、大変なことなんですね。
大変なことを背負う覚悟が必要なのです。
しかし思いやり行動はつらいことではありません。むしろ心地よいものです。
相手に貢献することで得られる喜びは、自分の幸せな気持ちを大きく高めてくれる。
健康な心を持ち、自己成長できる人は、必ず貢献心を持っています。
しかし言い訳が邪魔して、思いやりを持った行動ができない人はどうしたらいいのでしょうか?
心の余裕を生む、思いやり行動を実践する4ステップ
1.2つの基本戦術を知る
共感や柔軟な考えと聞いて、思いやり行動がややこしく感じてしまった人もいるかもしれません。
しかし実際の行動は非常にシンプルな以下の2つです。
- してほしいことをする
- 前向きな印象を保つ
してほしいことをする
前章で話した共感と柔軟な考えで、どんな行動プランを考えるのか?
ズバリ相手のためになることですよね。
相手のためと言っても心が読めるわけではないので、何をしていいのか分かりません。
つまり「自分だったら、どうしてほしいのか」と考えればいいのです。
ただし「あなたそのもの」で考えてはダメ。
例えば電車でお年寄りに席を譲ろうとしたときに「私だったら必要ない」と思うのは、現実的ではありません(いささか極端な例ですが)。
してほしいことを考えるときは、相手になりきった自分がしてほしいことを見つけるという少々込み入った考え方をします。
- もし私がこのお年寄りだとしたら、電車で立っていると足腰が震えてつらいだろうなぁ。席を譲ろう
- もし私がこの若手男性社員だったら、この荷物は1人で持てるけれど、分担して持てば腕の負担が減って助かるだろうなぁ
- もし私がお父さんだったら、娘が駅まで迎えに来てくれたら、とってもうれしく感じるだろうなぁ
共感は相手の気持ちになる技術です。相手の気持ちになりながら、柔軟に考えれば、最適な思いやり行動が見つかるでしょう。
前向きな印象を保つ
好きな人・嫌いな人、どちらに助けてもらいたいですか?
恐らく全員、好きな人に助けてもらいたいと思うはずです。つまり好かれていたほうが思いやり行動は成立しやすい。
人に好かれるのは一筋縄では行きませんが、好かれやすい傾向は分かっています。それは?
不必要な行動で相手にストレスを与えないということでしょう。不必要な行動とは、
- 悪口・愚痴が多い
- おべっかをつかう
- 否定的な態度を取る
- 過度に心配する
- 表情が暗い・にらんでいるような顔
などなどたくさんあるでしょう。
ネガティブな気持ちが伝わってくるような行動をする人は、どうしても嫌われやすいのです。
一方で好かれやすい人は、
- 悪口を言わず、愚痴も控えめ
- 周りの人を適切に褒める
- 前向きな態度で話を聞く
- 心配よりも応援する態度を見せる
- 笑顔をすぐに見せてくれる
このようにポジティブな行動をしてくれます。
思いやり行動ができる人は、周りの人の味方になれる人でしょう。
まずは笑顔を忘れずに過ごします。
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2.【子供に学ぶ】身近な相手を助ける
幼い頃から「人を思いやりなさい」と口酸っぱく言われてきた人も多いのではないでしょうか。
子供は家族を通して思いやりを学ぶと考えられています。
両親や祖父母とお互いに思いやることで、感謝のありがたみが分かるからです。
しかし我がままな人を相手にすると、偉そうな態度を取られ、感謝をしてくれないかもしれない。
自分がしたことで相手が喜ばず、反対に傷つけられてしまうようでは、思いやりの心を閉じ込めてしまいます。
では両親や祖父母は、なぜ感謝のありがたみを教えてくれるのでしょうか?
無条件の愛を持って、相手(子供)を受け止めてくれるからです。
つまり思いやり行動をはじめたいのなら、自分(私)に優しく接してくれる人を選んで、その人の困りを解決すればいい。
- 成功しても失敗しても、ありがとうと言ってくれる人
- 思いやり行動のアドバイスをくれる人
そんな自分を受け止めてくれる相手を探してみましょう。
- 配偶者
- 両親、祖父母
- 親友
まずは子供に戻ったつもりで、身近な人を大切にする。
悪い反応を恐れてしまうと、思いやり行動はできません。
安心できる人に受け止めてもらえれば、思いやり行動のすばらしさが分かり、自分の行動に自信が持てます。
3.【母に学ぶ】博愛精神を発揮する
親密な人には優しくできるけれど、関わりの薄い人には優しくできない……そういうわけにはいきませんよね。
本当は困った人なら誰でも助けたいと思っているはずです。
しかし人の性格はそれぞれある。思いやり行動をしても、気持ちいいお礼が返ってこないかもしれません。
自分では「お礼など必要ない」と考えても、実のところ心のどこかで感謝を求めているはずです。
一方でお礼がなくても、それほど気にしない人がいます。
そんな人はどうやって思いやり行動のモチベーションを保っていられるのでしょうか?
この答えは育児で得られる幸福感にヒントがあります。
育児に励む人は、まだ人格の育っていない子供を相手にしますよね。
思いやり行動をしたのにもかかわらず、子供から嫌な反応を示されることなど、しょっちゅうあります。
しかし多くの母や父は、たとえ嫌がられたとしても、子供に思いやりを与え続けます。
育児に励む人は、思いやりから得る幸福感を大きな視野で見ていられるから、継続して愛を伝え続けられるのでしょう。
以下は母親が育児での幸せを感じるシチュエーションのランキングです。
- 子どもの成長・発達・健康(心身の成長・できることが増える)
- 子どものしぐさ(笑顔・がんばっている姿など)
- 周囲の援助・声かけ・つながり(母親への励まし)
- 子どもの存在(生まれてきてくれたこと)
- 子どもの優しさ・愛情
参考・一部引用:母親の育児幸福感と育児事情の実態
つまり子供の様子を観察し、喜べるポイントを見いだしている。
母は感謝を相手に求めません(もちろん感謝されると喜びますが)。
この母親の考えを参考にして、以下のような価値観を持つのはいかがでしょうか。
- 困りを解消した相手が活動的にがんばることは、高い視点から見ると社会貢献になる
- 相手の元気そうな顔を見て「貢献できた」と感じる
- 信頼できる協力者に自分の思いやり行動を話し、認めてもらう
- 一期一会に喜びを感じ、他者の人生に関われたことをうれしく思う
- 相手の喜びを見つけたら、喜んでくれたことに感謝する
困っている人を助けたい思いやりの気持ちは、相手を応援する心のように感じられます。
「関わる人を応援しよう」と思えれば、博愛の気持ちは持てるでしょう。
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4.【祖父に学ぶ】勇気が本当の思いやり
お茶を買おうとコンビニに寄ったら,高校生たちが入口に座り込み,お菓子のゴミを散らかし大騒ぎしていた。
他のお客さんも入りづらそうだし,見て見ぬ振りをして通って行く人が大半だった。
しかし,祖父はその高校生の中に入り,人の迷惑になっていることを伝え,片付けるように注意した。
その高校生たちはちょっと怖そうで,僕は祖父がなぐられるのではないかとすごくドキドキして嫌な汗がいっぱい出た。
でも,その高校生たちは素直にゴミを片付け,祖父に一礼をして立ち去ったのだ。
この一文を見て思いやりだと感じるかどうかは、人それぞれだと思います。
しかしこの祖父がイライラして行動を注意したのなら、高校生は一礼をして立ち去ることはなかったのではないか、と僕は思いました。
思いやりには勇気が必要です。
自分が関わることで、相手の成長を支援するためには、遠慮せずに意見を伝えることが求められます。
注意をせずに遠慮ばかりしている関係では、成長するどころか、お互いの成長を妨げてしまう。
コンビニの若者の将来を憂い、勇気を持って注意した祖父のように、意見が求められるときには臆さず言えるようになれたらいいな、と僕も思います。
思いやりの気持ちを持っていれば、意見を聞いた相手は成長に向かいやすい。
反対に不満の苦しみを解消するために意見を言うのは、ただの攻撃になってしまう可能性が高い。
相手の成長を喜べる優しさを持っていれば、思いやり行動に勇気がみなぎるはずです。
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おさらい
世のため人のために、思いやり行動はある。思いやりとは余力がある人が苦しんでいる人に向けて援助する、力の受け渡しなのです。
原料を工夫して価値のある商品を作るように、自分の余力を役立てれば社会全体の利益になるでしょう。
自信を持って自分の思いやり行動を実行したいですね。
思いやり行動は相手に共感し、寄り添って物事を深く考える必要があります。
精神的にも肉体的にも少々負担を生じますが、たったそれだけで相手の困りが改善できるなら安いものでしょう。
現時点で思いやり行動が足りないと思っているなら、ご紹介した4つのステップが参考にできるかもしれません。
- 2つの基本戦術を知る(してほしいことを、笑顔で)
- 助けるのは自分を愛してくれる人から
- 施しを忘れるほど、人の役に立ってみる
- 勇気を出して、悪い道に行く人を叱る
優しさは社会を健全に発展させる力です。
生きがいというのは貢献によって得られるのです。