過去を悔やむな、未来を憂うな、
今を生きろ!
みたいなことを超大物ユーチューバーが言っているのを聞きました。
「今を生きる」って僕も大切な考え方だなと思います。同時に解釈が難しい概念とも感じる。
そのユーチューバーは子どもに大人気のようです。
大人でも難しい概念を、子どもたちが理解できるのか少し心配になりました。
不透明な力はときに人を間違った方向に連れ去る。
根拠のないきれいな言葉に操られてはいけない。
明確な信念になった価値観が、正しい道を切り開く力となる。
意志の力を付けることで、今を生きる第一歩が踏み出せます。
目次
今を生きるってどういうこと?きれいな言葉を浅く理解しない
超むずかしい、きれいな言葉たち
優しさ・正義・感謝・思いやり・誠実・礼儀・敬い・愛……など、これらの字面に自分なりの解釈って持ってますか?
きれいな言葉を浅く解釈し使用するのは、行動に「正解」のラベルを貼り付けているようです。
影響力のある人間が「正義だ!」と言って行動をすれば、一過性のムーブメントが起こる。
ラベルを頼りにし正義を手にした人たちは、人を攻撃する権利が手に入った気になれます。
まるで熱病にうかされるように敵を追い詰めますが、その人たちは模範的な正義を保っていられるのでしょうか?
心理学でモラルライセンシングという考えがあります。良いと思うことをしたらその後に少し悪いことをしても良いやと思う心理のクセです。
流されるように善行をした人たちは満足し、そのあと流されるように悪行をしても何らおかしくない。
感謝されないことへの不満は矛盾
良いことをしてあげたのに喜んでくれないことってたまにありますよね。
きれいな言葉の中でも「思いやり」は日常的に使われる概念です。それだけに人間関係におけるトラブルが後を絶たない。
相手が喜んでくれないのは、うれしいと思えなかったから。本当はうれしいのに押し殺さなければならないほどの隠れた不満があるのかもしれません。
いずれにせよお互いの意向が一致しない限り、優しい行動というのは成立しない。
相手のためと思って行動をした人は、優しさのラベルを貼り付けていないのか考えなくてはならない。
相手が喜んでくれずに腹をたてるのは、思いやりを正当化して相手を責めているのではないでしょうか。
これらを「今を生きる」に当てはめて考えると、薄っぺらい考えでは言葉の本質と外れた行動をとってしまうことが分かります。
優しさをもっと詳しく見る
「今を生きる」もどういうことかよくわからない
大物ユーチューバーは今を生きている実感が明確でしょう。いつも新しいことを考えて、それが人に受け入れられている。
しかし彼が感じているニュアンスは「今を生きる」の一言では収まらないはず。
言葉は記号です。解釈されて意味を持ちます。たとえ辞書にある意味を知っていても、沸き起こる心の中のイメージは人それぞれです。
例え「熱い」といっても人により温度の差がある。「悲しい」も100%共感をすることは不可能でしょう。
子どもたちとユーチューバーでは「今を生きる」の解釈は異なる。それは当然で問題ではない。
しかし安易な扇動はきれいな言葉のラベルを配布している気がするのです。
僕が見たのは「今」がテーマの新曲を宣伝する動画でした。子どもたちは今を生きるという概念を知れてよかったと思います。
きれいな言葉は人を魅了する。今を生きるぞ!と興奮するのは気持ちがいい。それを歌った曲は自分を肯定してくれます。
しかし「今を生きればいいよね」と言葉は一般化されています。価値観を自分なりに解釈したわけではない。ラベルを手に入れただけです。
「今を生きるということは難しい課題だ。よく考えてくださいね」と言ってくれたら良かったんですけどね。
「今を生きる」について考えるのは、主体性を持つための重要な道徳的課題になる。
きれいな言葉は自分なりに熟考して「信念」にする。それが豊かな人生を送るエネルギーとなります。
表面的な理解を深め信念を作る
根本から今を生きる資質を育てる
「今を生きる」というのは主に2つのメッセージで構成されています。
- 過去と未来には囚われない
- 今できる最高のことをする
これらの考え方は直感的に素晴らしさが伝わる。
どうしたら今を生きられるのでしょうか?
意志の強さがあれば、今を生きるという意味を真剣に考えられます。
そのためには自分を知ることから始めなければなりません。
過去と未来には囚われないとは?人生は学びと共に
過去と未来は情報
「過去を悔やむな、未来を憂うな」というのは不安に囚われるなってことです。
過去にも未来にも良いところがある。その力が必要なときは生かしたほうがよい。
過去を振り返れば成功体験が自信になり、未来を想像して目標を描ける。これらは意識的に想起して今を生きる自分のパワーに変えられます。
反対に不安はふとした時に襲ってきます。例えば転んだ人を見たら、好きな人の前で転んでしまって情けなくなった経験を思い出すように。
自分が悔やんでいることを見たら過去のトラウマは想起する。
僕は会社組織の本を呼んでいるときに、勤めていた会社での失敗を思い出しました。
不安を感じると悔やんでいることに集中してしまいます。嫌なことを考えて時間が過ぎていく。今するべきことに集中できなくなる。
そのときに意志の力を発揮し自分に向き合えば、不安から情報が抜き出せます。
- まだミスを後悔しているんだな
- 恥ずかしさが拭えないんだな
- 過去を消してやり直したいと思っているんだな
と考える。
第三者の目線で自分の考えを捕らえ、今の自分に生かせることがないかと検討する。
「僕のトラウマは他の誰かが同じように苦しんでいるかもしれない。その人のためにこの情報が生かせるかもしれない」と思います。
未来の情報も同様です。僕は心配になって行動を起こす勇気が出ないことが多々ある。
- 失敗して認めてもらえないと感じるんだな
- 成功体験がないことだから不安なんだな
- 損をしたら挫けそうだと思うんだな
というように心情を分析すれば、心配への対策を練れます。
不安な気持ちと努力で得られることを天秤にかける。努力で得られることのほうが大切なら、気持ちを整理して自分を後押しします。
強い不安に負けそうなら不安自体を深く分析する。自分なりの理解を明確にしたら向かうべき指針が見えてくる。
ぼんやりとした不安はとらえどころがなく強大なものに見えます。
しかし友達に軽口で助言できるように、誰でも不安の対処方法を知っている。それを自分に適応できるまで明確にしていくのです。
過去と未来には情報がたくさんあります。その情報を生かすか殺すかはその人次第です。
成長を積めば過去も未来も気にならずに行動できるエネルギーの塊のような人物になれるかもしれませんが(笑)
人生は学びと共にある。
過去と未来を学びの材料にしてみるのもよいと思います。
不安や心配を生かす
負けそうな不安には注意を向けない
僕は比較的に健康な心を持っていると思うので、不安から情報を得ようとできるのかもしれません。
不安に押しつぶされて自分を見つめることなどできない人のために、行動を変えて心を楽にする理論があります。
それはマインドフルネスという心理療法の理論で
意図的に,今この瞬間に,価値判断をすることなく注意をむけること
引用:行動、思考から注意へ : 行動療法の変遷とマインド フルネス (Mindfulness)
という定義になるそうです。
僕は深い内容を理解していませんが、簡単には不安を取り除けないことだけは確実です。
マインドフルネスは体を適切に動かすことにより思考を調整していく手段です。行動を続ければ不安が軽減していくのでしょう。
しかし毎日かかさずに瞑想(めいそう)を続けるのは大変です。自制心を発揮しなければなりません。
自分を律した行動を取るためには意志の力が何より重要になる。
自分ひとりでやってみようと思って簡単にできることではない。行動に移せる決意が必要です。
自分が変わろうと決意して取り組むことなので、まず目を向けるべきは自分自身なのです。
ただしマインドフルネスは心理療法なので専門家がいる。
一人で抱え込まずに専門家に相談すれば、続ける助けになるでしょう。
今できる最高のことをするとは?生産的な楽しい時間を
活動から学びを得る
今回の話に挙げているユーチューバーは本当に努力家で輝いて見えます。
彼は「したいことは先延ばしせずに今やろう!明日死んでもいいと思ってがんばろう!」みたいなことを言っていて、それに説得力を感じました。
今できる最高のことをするってどんなことでしょうか?
ユーチューバーになりたかったら、つべこべ言わずに動画をアップすればいいんでしょうか。
とりあえずアップしてもいいとは思いますが、初めて上げた動画でファンが付くとは思えません。
では勉強をして内容を磨けばいいのでしょうか。もちろん勉強ばかりしても意味はないですよね。
僕は今できる最高のことは「学び」を得ようとする「態度」だと思います。
- 自分に向き合い
- 対象に向き合い
- 情報に集中し
- 革新に取り組む
ユーチューバーって遊んでいるだけにしか見えないことをしています。
しかし本気で遊んで価値を見つけてファンに提案している。
学びを得られるかどうかは態度次第です。行動を解析し価値を高める意識を持つ。それが今できる最高のことになる。
生産的な快楽を選ぶ
学びは快楽になります。試行錯誤して成長を楽しむ。これは誰にでも感じられることですよね。
しかし失敗の不安や認めてもらいたい焦りに負け、途中で投げ出してしまうかもしれない。
それを防ぐために「今を生きる」ことを譲れない信念にする。それが誇りになり不安に立ち向かえる力になる。
自分が本当にしたいことは成長の先にあります。
今を生きることは日々の成長に直結するので、したいことをかなえる合理的な手段になる。
一方で簡単に気持ちよくなれる「消費的な快楽」を選択すると、いつかは破綻をむかえます。
消費的な快楽とはお金や時間、健康と引き換えに快楽を受動的に得るものです。一般的には酒やギャンブル、テレビゲームなどの娯楽です。
娯楽はストレス解消の手段としても使えるので、効果的に用いれば不安に目を向けずに済みます。
しかし限度を超えて依存してしまうと、資源を消費してばかりで苦しくなる。
特に健康を害してしまうと落ち込みと高ぶりを繰り返し精神が安定しません。
消費的な快楽に操られて心を見失うと、今を生きることは到底できない。
例えば晩酌をやめる
どんなことからも学べる
先ほどユーチューバーを例に出しましたが、世間では「遊んでお金をもらうなんて人として間違っている」と思う人もいる。
しかし遊びからでも学ぶ態度があれば人に価値を与えられる。
酒が好きなら酒の専門家になって、おいしいお酒や健康でいられる酒の飲み方を紹介しても良いんです。
ゲームが好きなら面白い遊び方や最適な攻略方法を調べ尽くせばいい。
ユーチューバーも、酒好きも、ゲーム好きも、学ぶ態度があれば人に価値を与えられます。
娯楽はボタンを押す快感装置のようなもの。我慢が必要な学びと違ってすぐに気持ちよくなれる。
その誘惑に負けずに情報を解析するためには、強力な自制心が必要です。
やりたいことっていうのは、なんだっていいんです。
自制心を持てば今を生きられます。
自制心を高める方法を見る
目標設定をする
したいことのビジョンがなければ今できる最高のことも見えてこない。
今を生きる”初心者”は目標設定をして目指す方向を決めます。
僕は目標設定で最重要なのは根本的な信念だと思う。それも道徳的に吟味した利他的な行動を引き起こす信念です。
私利私欲は瞬間的に気持ちよいですが、いやしい心は渇望を生み、満たされない心をもたらします。
利他的な行動は他人に貢献できる。
貢献をすることが生きがいになると持続的な快感が生まれる。それが次の努力につながる動機を与えてくれます。
目標設定は今から未来に向かって考えます。
- 自分は他者に何の価値を提供したいのだろう(今)
- そのためにはどんな行動をすれば良いのだろう(未来)
しかし始めのうちは、
- 自分のこんなところを改善したい(過去)
という過去の気持ちも使ってよい。
自分に向き合えたなら、劣等感をぬぐい去る気持ちが努力への意欲になります。
目標設定をする(大人もこの記事でOK)
過大評価した自分にしがみつくな
今できる最高のことがちっぽけに感じる。そう思うと続けるのが嫌になって諦めてしまうかもしれません。
その時は「過大評価した自分」を疑ってください。
例えばトップレベルのユーチューバーは1本の動画が100万回くらい再生されます。
初心者は10本投稿しても100回すら見られない可能性がある。
そのとき劣等さを感じて情けなくなる。しかし諦めるほど苦しいのは「自分はもっとできる」と思う気持ちにしがみついているからです。
「自分はもっとできる」とは思ったほうがよいのですが、それは今ではなく「いつか」の話です。成長していけば確実にもっとできます。
もし10人が見てくれているのなら、その10人のために学びを繰り返す。
学びを放棄すれば生み出される価値はゼロです。
自分を見てくれている人がいる「今」に集中したほうが何倍も立派です。
等身大の自分を認識する
おさらい
今を生きることは意志の力がないとなりたちません。
- 未来に向き合う
- 過去に向き合う
- 今に集中する
- 自分に向き合う
- 相手に向き合う
- 学びを繰り返す
すべて自制心があってこそできることです。
感情に流されずに客観性を持ち、自分に向き合うことが大事なんですね。
努力は習慣化すれば必ず楽になります。習慣化を積み重ねればバイタリティあふれる活動ができる。
もしあなたにお子さんがいるのなら、今を生きるってどういうことだと思う?って聞いてみてください。
道徳は自分を見つめることで深まりますが、そのきっかけになるのは社会的な対話です。
繰り返し話し合い、自分と社会に向き合える力を育む援助ができるといいですね。