人に影響されてばかり。「主体性を持て」と言われてしまう自分にうんざり。
自分の「したい」気持ちを大事にし、責任を持って仕事をやり遂げたい。
しかし、人に影響されないように考えるのは、簡単なようですごく難しい……。
実は、主体性は誰でも簡単に持てる。
それを実現するのは「主体性を持つ5つの思考プロセス」。
自分の気持ちを掘り下げて、したいことを「自分ごと」にすれば良いんですよ!
目次
3つの主体性を持つメリット
「主体性があっていいね」と言われる他に、主体性を持つメリットは3つあります。
- 自分のしたいことをあきらめない
- 自分なりの考えを生み出せる
- 心を健康に保つ
これらのメリットは、目標を達成するために持っておきたい個人の資質。主体性があると仕事がはかどります。
そもそも主体性って何だ?と気になったら下のリンクが詳しく説明しています。
自分のしたいことをあきらめない
主体性を持つと、内発的な動機により行動を起こします。「内発的な動機」とは、誰にも影響されず自分から「したい」と思うこと。
つまり、誰かがいなくてもその行動はおこせる。
例えばダイエットをしたい理由が、
健康的に動き回るために、体重を減らしたほうが良いだろう
おしゃれを楽しむために、体形を絞ろう
と、本来の目的(健康・おしゃれ)のために、ダイエットをする。
この行動を突き動かしているのは、やれることを精一杯にやりたいという意欲。つまりダイエットは「なりたい自分を目指す過程」になっています。
健康やおしゃれの目的が果たせれば、ダイエットはしなくても良い。だから、少しぽっちゃりでも目的は達成されるかもしれない。つまり、気楽にダイエットができる。
そして人の目を気にしないので、ありのままの自分を楽しめる。だからあきらめずに長続きします。
自分なりの考えを生み出せる
主体性を持つためには、自分の考えを深めていく必要があります。自分から「したい」と思うことは自分の心の中にある。その「したい」と「行動」を関連付ける。
「行動」は「〇〇したい」の〇〇。ダイエットをしたい・プロジェクトをがんばりたいなど。
自分の考えを深めていくためには、「行動」のさまざまな面を検討します。行動は自分の経験をもとに考えを深める。今まで体験したり、見聞きしたりして得た経験が生かされます。
考えが深まってくると、「したい」と「行動」が結びつき、内発的な動機が生まれる。これが主体性のある思考パターンです。
その思考パターンは「発想」そのもの。
自分の考えだけではなく、さまざまな物事をこの思考パターンを使って検討すれば、新たな発想が生み出せます。
例えば「バナナがある・外は大雨・アイスが食べたい」という状況で「バナナでアイスを作れば良いんだ!」と気づくには、今の状況を掘り下げて発想する必要がありますよね。
お店に販促用のポケットティッシュがあるのなら、ただ配るよりも「テーマを絞って、ブースを作って、ノボリを立てて、その場で申し込みできるようにして・・・」とか掘り下げる。
常に主体性を持つような意識でいれば、発想力も高まってきます。
心を健康に保つ
誰かの行動によって自分の心は楽にもなり、つらくもなります。
主体性を持たないと、行動の責任を相手に押し付けます。そのせいで、自分自身で状況を変える力が弱い。そのため、相手の行動がもたらす影響が大きくなる。
良くないことがあった場合、自分では何もできずに深く傷つく。相手のせいにしようとしても、相手は自分の思い通りにならないので、不満は解消されない。
それらが重なり、1つの悪い出来事の影響が長引きます。
一方で主体性を持つと、自分自身で行動の責任を取れる。「自分の状況は、自分で変えられる」と考える。
主体性がある人にとって、相手の行動や言動は、自分の行動に影響を与える1つの情報に過ぎない。適切な情報は採用し、不適切な情報に振り回されません。
もしも、良くないことがあったとしても相手に責任を求めない。自分自身で原因を分析し次の行動に生かそうと考えられるので、悪い影響は一時的。
主体性を持つと人に影響をされず、心が健康に保たれるのです。
「主体性がない」を克服する5プロセス
主体性を持った行動は、内発的な動機付けによって生まれます。
どんな行動でも、内発的な動機付けができる。しかし、内発的な動機は心の奥に眠っているので、なかなか明らかになりません。
それを簡単にするのが「主体性を見つける5つのプロセス」。
一つの行動を選択するとき、5つの順番で考えを巡らせると、内発的な動機付けができます。
- 自動反応の考えを確かめる
- 自動反応の感情を確かめる
- 夢や信念を思い出す
- 感情の整理
- 主体性を持った考え
このプロセスを「上司が自分を信頼してプロジェクトを依頼した」と仮定して確認しましょう。
1.自動反応の考えを確かめる
行動(例:プロジェクト)が発生した時に、自動的に考えついたこと。自動的に出現する考えなので、自分では止められません。
主体性を持っていないと、自動反応の考えが最終的な動機になる。この考えは外発的な動機そのもの。外発的な動機は、外部の影響で考えを縛り付けます。
「上司が信頼してくれるからそれに答えなきゃ」
自動反応の考えを客観的に確かめることで、縛られた考えを開放するように認識し直します。
2.自動反応の感情を確かめる
自動反応の考えを持つことで感じた自分の感情を確かめます。
期待、プレッシャー、見栄、有能感、恐れ…etc
今の気分や未来の想像で発生する、多くの感情を見つけます。
3.夢や信念を思い出す
自分の夢や信念を達成するために、この行動がどんな影響を及ぼすか考えます。
私は人に勇気を与えることを大切にしたい。このプロジェクトを達成すれば、私はこれまで以上に信頼される。信頼されると影響力が高まる。その結果、勇気を与えられる人が増えそうだ。
4.感情の整理
他人の影響で生まれる感情と、自分が求める感情を整理し、適切な行動を取る準備をします。
プレッシャー・見栄・恐れは他人を気にするからこそ出てくる感情だ。自分に責任を持てば気にしなくて良い。期待と有能感は行動を推進するエネルギーになる。その力はやる気をもたらす。
5.主体性を持った考え
これらのことを合わせると主体性を持った考えが生まれます。
このプロジェクトに挑戦しようと思う。自分の夢を前に進められるからだ。自分自身で責任を持ちやり遂げたい。その結果、信頼されることを期待しよう。
以上、自動的に浮かぶ考えを自分なりに深めていって、主体性を持った考えに転換して出力をする。
これを可能にするのは、夢や信念の存在。夢や信念をもってさえいれば、だれでも主体的な考えが持てます。
例外)夢や信念が関係のない日常の小さな決定
日常の小さな決定(行きたいお店を選ぶ…など)では、「夢や信念」と「したいこと」がつながらない場合があります。
その場合は、3つ目のプロセス「夢や信念を思い出す」を飛ばして考える。自動反応で浮かんだ考えを整理するだけで、人に依存しない自分なりの考えを持てます。
人に嫌われると無根拠な心配をせず、かげながら人を引っ張るつもりで提案をすれば、それだけで主体性を持てます。
それでも主体性のなさを克服できない場合
自分の考えを深めても主体性が持てない理由は主に4つ。
- 夢や信念がない
- 考えを深められない
- 焦って深く考えられない
- 自動反応の感情が怖すぎて行動できない
夢や信念がない
そもそも夢や信念がないと、自分を突き動かす指針を持てません。目の前の快楽や恐怖に支配され、不幸せを感じる原因となります。
まずは、自分の思いを引き出し夢や信念を明らかにしておく。そうすると、考える基準ができるので必要以上に悩まなくなります。
夢や信念と聞くとどうしても野心のように聞こえますが、野心がなくても自分を動かす原理は作れる。
例えば「平穏に暮らしたい」とか、「楽しみたい」とか「人に優しくしたい」でも良い。こんな基準を持つだけでも、それに従って考えられる。
「平穏に暮らしたい」にも受動的に構えていては選択肢がなくなります。選択肢を多く持つためには建設的な発想をすれば良い。
ただ、おすすめは具体的で大きな目標を持つこと。その方が他人の影響で自分の考えがブレにくくなります。そして、同時に成長意欲を持てるので、幸福感が生まれる。
まずは下の記事を読んで自分の夢や信念を洗い出してみてはどうでしょうか。
考えが深められない
5つの主体性を持つプロセスが複雑過ぎて実行できないのなら、紙に書き出してみる。
紙に書き出せば、不思議と自分の考えが深まって主体的な考えが持てます。
なぜかというと、思考は今までの経験により蓄積されたさまざまな「要素」がつながることにより広がっていきます。
頭だけで考えると、「要素」を明確にできず思考を深められない。しかし、紙に書くだけで「要素」が明確になる。
それだけで、考えを深めるのが非常に楽になります。難しいなら箇条書きにすると考えるのが楽になりますよ。
焦って深く考えられない
人と会話をして「早く答えなきゃ」と焦ってしまうと、深く考える時間を失い自動反応で答えてしまう。
その場合の対象方法は、「返答を保留する」か「後で理由を付ける」。
相手への返答を保留し、時間を使って深く考える。これができればなんの問題もありません。
状況次第ですが、軽はずみな即答よりも、熟考してくれる方が良い印象を持ちます。もちろん結論を先延ばしにするのは悪印象ですが。
もし、返答を保留せずに答えてしまった場合でも、慌てずに後から主体的な理由をつけ直せばよい。
思い出しながら5つのプロセスを巡る。したくないことをしていても、自分なりの理由をつけて実行し切る。
もちろん、嫌なことを断れるのなら断ってしまう。その際は自分の考えが浅はかだったことを認め、相手に謝っても良い。
焦って答えられなかったとしても経験は積める。その蓄積された経験は、今後の選択をすばやくする材料になる。
自動反応の感情が怖すぎて行動できない
自動反応により発生した感情が恐ろしくて、自分自身で前向きな行動を起こせない場合もあるでしょう。
そんな場合も書き出すと考えを整理できる。
行動を起こすことで発生する問題の「悪いケース」をできる限り出す。その「悪いケース」を第三者になったつもりで「反論」をしてみる。
プロジェクトの例だと
悪いケース:信頼を失う・出世の道が閉ざされる・無能だと思われる
反論:信頼は取り戻せる、・出世は遠のくかもしれないが次のチャンスにがんばる・できる人だと思われているのだから無能だとは思われない。
紙に書き出した結果を見比べて、総合的な判断をしてみる。
それでも怖くて行動は起こせないかもしれない。しかし、考えを深掘りすることで自分ごとで考えられる。つまり、主体的な考えに近づいてきている。
それを繰り返すといつかはできると思える。それを行動に起こせばまた新しい考えが生まれてきます。
おさらい
人のせいにしてしまう「外発的な動機」は行動を選択するときの「自動反応」により発生します。
その自動反応を理解して考えを掘り下げていくと、自分が本当にしたいと思っている理由が見つかる。
人は自分の考えしか正確に理解できない。本来は他人の気持ちなんてわからないので、主体的にしか行動できない。
しかし、他人への影響を勝手に推測し恐れることで、自ら主体性を捻じ曲げてしまう。
主体性を持つ5つのプロセスで考えられるようになれば、自分の成長が加速するだけでなく、周りの人があなたと一緒に行動したいと集まってきます。
今の自分を変えることは大変ですが、それを乗り越えると気持ちがすごく楽になる。
内発的な動機付けをクセづけて、楽しく仕事をしましょう!
主体性を持つために読むページ
- 主体性がないのは改善できる。たった1つの考え方が原因。
- 【このページ】主体性を持つには「したいこと」を5つのステップで考える