「プシュ!」とビールの缶が開く音を求めて、家路へ急ぐ会社員たち。
晩酌は忙しく生きる現代人にとって、一つの楽しみである。
しかし晩酌をすることで、あなたの心と体は不調を訴えていないか?
目を向けたくない真実をほうっておくと、取り返しのつかない未来が待っているのは容易にわかるはずだ。
人生を壊していく晩酌をやめる方法はあるのか?
晩酌は無理してやめるものではない。
楽しいことを始めれば、自然にやめる。
簡単で確実に晩酌をやめる3ステップを紹介しよう。
目次
晩酌が及ぼす悪影響
晩酌で1千万円以上損をする
ビールを毎日1リットル(ロング缶2つ)飲んでいる人の出費はこのくらいだ。(アサヒスーパードライをコンビニで購入した場合:1缶284円で計算)
- 1日:568円
- 1週間:3,796円
- 1カ月:17,040円
- 1年:207,320円
- 10年:2,074,336円
- 一生:12,446,016円(60年で計算)
たったビール2缶の酒量でも、一千万円をむだに支出しているのだ。
それ以外にも晩酌のお供にはつまみがある。酒代だけで考えたら飲み会もある。
とにかく酒はお金を浪費する。人によっては車に費やす金額より高くなるだろう。
一日に500円あったら外食ランチが食べられる。自炊すれば一日の食事をまかなうことも可能だ。
酒に消えたお金を他の目的に使えば、何ができるだろう?
太る
痩せたくて晩酌をやめようと思う人は多い。晩酌はダイエットの敵だ。
ビール1リットルには約420キロカロリーもある。成人女性の理想摂取カロリーの約23%だ(理想値を1,800キロカロリーに仮定)。
アルコールのカロリーは「エンプティカロリー(空カロリー)」といわれ、健康効果が薄く摂取を避けたいカロリーだ。
晩酌をする人が健康でいるためには、別の食事で有益なカロリーを摂取する必要がある。酒を飲むから食事を減らしていいわけではない。
また晩酌をするとつまみが食べたくなり体重の増加を促進する。
飲むとシメにラーメンなどの炭水化物を食べたくなる人もいるだろう。炭水化物の過剰摂取は太りやすい。特にラーメンは油分も多くカロリーは高い。
アルコールは適切な判断力を鈍らせるので、つい食べすぎてしまう原因になる。
体調が悪くなる
酒を飲むとからだに悪いのか?
これには諸説あり、酒を適度に飲めば健康になるといった調査もある。飲酒量を徹底して守れれば、健康に対しても効果を発揮するかもしれない。
適度な量が曲者で、多くの人は350mlの缶ビールで適度なアルコール量を超過してしまう。特に女性は缶ビール半分ぐらいで適量を超える。
参考:アルコール|厚生労働省
しかし晩酌をやめようと悩んでいる人は、適量を超過して飲んでいるはずだ。体調に何かしらの悪影響を感じるからやめたくなる。
酒の量が多くなると二日酔いになる。自覚症状はなくても胃の不快感やだるさを感じるだろう。
体調の悪さは慢性となり、生活習慣病の危険性が高まる。
次の日まで酒の臭いが消えないような二日酔いは要注意だ。人は酒の匂いに不信感を持つ。
二日酔いは正確な判断力が低下するので、いつか重大なトラブルや交通事故を起こすだろう。
心が荒む
慢性的なだるさを感じると、自分に不信感を持つ。酒を控えなければという気持ちになるが、なかなか踏み切れない。それが劣等感になる。
うまくいっていないことは酒のせいだと感じだす。酒をやめられない自分は愚かだと思う。
それでも酒を呑むと一時的に気持ちがスッキリする。現実逃避し自分に向き合うことをやめ、テレビやゲームの世界に生きる。自分を置き去りにして他人を評価して過ごす。
酒は睡眠を浅くする。また晩酌のやめ時が見つからず、だらだらと起き続け睡眠時間が減る。
参考:「睡眠の話」 (12月: 遠乗秀樹 相談員) - 栃木産業保健総合支援センター
深酒になってしまうと、楽しかった現実逃避から一転して自分に目を向ける。ときおり強烈な無力感が襲ってくる。傷ついた心は自分を苦しめ続ける。
アルコールは依存性が高い薬物だ。過剰摂取すると精神活動に悪影響を及ぼす。暴力の誘発や身体機能障害を引き起こす。
怠惰になる
酒は怠惰のスイッチになりやすい。ビールの缶を開ける音、水割りを作る音、アルコールの香り……それらは「今から気を抜いていいよ」という合図だ。
酒を飲み始めたら後は遊ぶだけでいい。テレビやネットを見続け、ゲームやマンガを楽しみ続ける。できるだけ考えないことに集中する。
もちろん一日のうち気を抜く時間はあったほうがいいだろう。しかしわざわざ体を痛めつけるアルコールでスイッチを入れる必要性はない。
晩酌をやめる考え方
自分を変えたい
晩酌のデメリットをまとめると「自分の成長を阻害している」という結論に至る。
人には「成長したい」という欲求がある。
幼い子どもは成長をしないと生きていくことすらできなかった。自分の能力が高まれば社会で安心して生きられるのだ。
年を重ねた人へ社会は高度な欲求を向ける。仕事は難しくなるし、若い人に技術を教える必要も出てくる。
成長を続けられる人がいる以上、今までと変わらないままでは劣等感を感じ続ける。
他人と自分を比較しない精神性を持っている人でも、自分の成長を止めると自己不信におちいる。
目標を見失った人は、していることに意味を感じない。自分自身の行いを肯定できなくなると、不幸を感じるだろう。
成長を続けるため、
今すぐ晩酌をやめる決意をしよう!
そんな覚悟はできないって?
だいじょうぶ、晩酌を楽にやめられる方法を紹介する。
やめるまでの作戦を考える
晩酌をやめようと何年、悩んできた?
なかなか決心がつかなかった人も安心していい。
晩酌をやめた頃には意志の強さが育っている。この先の人生で酒に惑わされない強さを身につけるのだ。
この作戦は3カ月の実行期間がある。……今すぐやめたいって?それはわがままだ!そんなことができていたら悩むはずがないじゃないか。
まずは焦らずに一緒に作戦を考えよう。ここでは私のおすすめプランを紹介する。
キーワードは「始める」だ!
晩酌をやめる方法は3つのステップで
晩酌をやめるために何かを始める。ここに重点を置いて考えてほしい。
自分なりに焦らず期間を定め「○カ月先に晩酌がやめられたらいい」と考える。
今から説明する方法なら長くても3カ月で晩酌を完全にやめられる。そのステップは3つ。
- 考え方の基礎づくり
- 休肝日をつくる
- 平日は断酒する
1.考え方の基礎づくり
悪い習慣をやめるためには理由が必要だ。
「体調を良くしたい」「痩せたい!」「勉強する時間がほしい」などの考えをはっきりさせて、自分のしたいことを思い描く。
したいことがはっきりしても焦って取り組む必要はない。晩酌をやめる体力がなければ欲求に流されてしまう。
第一ステップで始めるのは1つ「晩酌について毎日考える」ことだ。
はじめの1カ月は酒を飲んでもいい。飲まなくても問題ないが、飲みたくなったら飲めばいい。
一度に理想を目指すのは挫折の原因になる。焦らずゆっくりが基本だ。
まずは自分なりの「晩酌哲学」を作ってみよう。考えが深まるほど適切な判断を下しやすくなる。
晩酌をやめてもいいし減らすだけでもいい。敵を知れば己はわかる。
用意は書けるものだけ。手書きやスマホ・パソコン・SNSなど何でもかまわない。
毎日かならず継続して取り組むには考える枠を作っておく。枠の要素は4つだ。
- タイミング
- 時間
- 内容
- 期間
タイミング
できるだけ活動的な状態でやってしまう。家に帰ってスイッチが切れてしまうと先延ばしの原因になる。
流されやすい自分を仮定して、自分を仕組みでコントロールする。
おすすめのタイミングは
- 仕事が終わったあとのオフィスで
- 仕事帰りの電車で
- 家の玄関で靴を履いたまま
- 家に帰ってそのまま机に向かって
など、オンの状態で書く。スイッチがオフになると「やんなきゃ〜でもあとちょっと」といいながら先延ばしをしてしまう。
仕事の惰性パワーを利用してやりきるのだ。
時間
考える時間の目安は15分が丁度よい。最低でも10分は向き合ってみよう。
書くことが浮かばなくても晩酌について思いを巡らせる。それだけでも事前準備の効果はある。
内容
考えるべきポイントは4つ。
- 欲望に流される愚かさ
- 晩酌をやめたい理由
- 翌日に感じる気分の悪さ
- 飲まないためにできるテクニック
これらを基礎として考えを組み立てる。その他に日々の気付きがあれば書いていく。毎日書くので前に書いたものと似ていても気にしない。
おすすめできる方法ではないが「酒に飲まれている情けない知人」を思い浮かべて「こういうふうにはなりたくない」と感じてもいい。
他人に自分を投影するとかなり抑制効果が高い。人と比較することになるので少々不健全だが、自分を奮いたたせる強い動機になる。
期間
想定としては1カ月だ。
しかし自分でどうしても次のステップに進みたいのなら、その前にしてほしいことがある。
飲みたくないと思っている酒をあえて飲んでみて、酒が体を壊していくさまを想像する。
ポイントとしては「肝臓」と「胃」に意識を集中する。実際に手のひらを当ててみよう。押してみてもいい。彼らはつらそうにしていないだろうか。
アルコールの成分には毒物がある。必死に毒物と戦うかわいそうな肝臓……無益なもので消化液を薄められた胃……このように体の声を聞いてみる。
翌日の自分なら知っている酒は体に悪いという感覚をその場で体験できれば、酒をやめる準備はできたも同然。
一つのことを続けられるというのは明確な成長だ。
成長した自分は晩酌をやめる力が付いたと自信を持つ。
2.休肝日を作る
次のステップは休肝日を作ること。既にできそうな気がしていると思うが、焦らずにゆっくりやっていこう。
第二ステップでに始めるのは「計画的に遊ぶ」ことだ。
晩酌をする理由があるから毎日飲み続けたはずだ。その理由は恐怖からの逃避である。
- 楽しくない→自分に向き合うのが怖い
- 寝れない→睡眠不足で能力が下がり、仕事ができない人と思われるのが怖い
- 一日が閉まらない→今を生きている感じがせず無力感に襲われるのが怖い
実際に晩酌を控えるのは、それらに打ち勝つ勇気が必要だ。そのために遊びを使って対処する。
勇気を発揮するだけで精神力をかなり使う。無理をせず自分に自信を付けていく。
休肝日は絶対に酒を飲んではダメだ。
もし仮に朝まで眠れなかったとしても飲まない。睡眠不足を受け入れる覚悟が必要になる。
つらいだろうが1日を乗り越える。乗り越えられたら自信になる。
睡眠不足になれば飲みたい欲求より寝たい欲求が勝つ。飲まずに朝まで寝てしまえばいい。
休肝日の作り方に必要な要素は4つ。
- 日数
- タイミング
- 対処方法
- 期間
日数
最低でも1・2週目は1日、3・4週目は2日の休肝日を設ける。合計6日だ。
自信が湧いてきたら、飲んでもいい日でも酒を飲まないチャレンジをしてみよう。
タイミング
もし一睡もできなかった場合、次の日は危険が少ない仕事でなければならない。現場作業系の仕事の人は事前に会社に相談して予定を決めよう。
それ以外の人は「月曜日」がいいと思う。負荷がかかることを先延ばしにせずやりきれれば自信になる。休肝日を2日間もうけるなら「月・火」が理想的だ。
反対に「金曜日」にすると失敗してはいけない焦りが緊張を生み、寝れなくなるかもしれない。
自分の性格と相談して適切なプランを立てる。
対処方法
勇気を発揮することで精神力は消耗している。この期間中はつらいことは避けたほうがいい。
そのために休肝日は娯楽を楽しもう。なるべく依存性が低いものがいい。自分にチャレンジしながら前向きに遊べば、自制心を発揮しながら楽しみも得れる。
いくつか例を出す
- 楽に読める読書をする(雑誌、ビジネス書、ミステリー小説、ライトノベルなど)
- 映画を60本見る
- 漫画をいつもと違う読み方で楽しむ(速読して1か月で300冊読む、一ページをじっくり読んで存分に味わう、人生に役立つ言葉を探す)
- 目標を立ててゲームをする
- テレビを見ながら自分の意見をいう
イライラするようなものでは遊ばない。むしろストレスがたまり酒を飲みたくなる。笑えるものがおすすめだ。
期間
目安は1か月だ。最低でも6回の休肝日を体験できる。
その間に何を考えてどんな気分になっただろう。
「私は酒にコントロールされていない」と自信がついたのではないか。
3.平日は禁酒する
休肝日を体験すると酒に対する考え方が変わってくる。
最終的には酒に飲まれず好きなときに酒を利用できる人になる。もちろん断酒してもいい。
次は平日は自分を成長させる期間と考えて、一切の酒を断つ。休肝日で自信がついた人ならそんなに難しいチャレンジではない。
平日に断酒するために1つ始めるのは、
自分を成長させる趣味だ。
酒で得ていたまやかしの快楽は自分を苦しめていた。
自分自身の成長に喜びを感じれば、継続的な幸福感が訪れる。それを支える2つの側面は以下だ。
- 健康のチャレンジ
- 知性のチャレンジ
健康のチャレンジ
これから先の人生を支える健康を手に入れよう。
体脂肪率が高いならまずは筋肉を作る。男性なら体脂肪率15%、女性なら25%を目標にしたい。
ジムに通ってウエイトトレーニングをしてもよいが、鍛える場所を日々変えて毎日取り組む必要がある。
おすすめは1カ月かけて体を鍛えるトレーニングだ。以下のものは自宅でできて、用意する器具も少ないので費用もかからない。
この方法は著者も1年以上実行していたが、食事療法と合わせて体脂肪を6%まで落とせた。(もともとヤセ体質だが)
ダンベルは全種類あったほうがいいが、男性なら2キロ・5キロ、女性は1キロ・4キロのセットを最低でもそろえたい。
時間をかけずに自宅で体を鍛える
知性のチャレンジ
運動は長く続けられないので暇な時間ができる。暇な時間が多すぎると酒を飲みたい欲望が湧いてくる。
欲望に対処するために知的な趣味を見つけてみよう。自分を成長させるものなら何でもよい。
なりたい自分の願望があれば、それに近づける学習をする。もし目標がないならこの機会に決めてしまおう。
目標を設定する
知的な趣味の例をいくつか紹介する
- 映画を見て感想をまとめる
- 音楽を聞いて感想をまとめる
- 小説を読み感想をまとめる
- 仕事に役立つ読書をする
- 自分より大きな概念に興味を持ち調べる(国家・環境・心理・経済など)
- スポーツの技術を考察する
どんな知的な趣味でも効果は出る。
インプットをしたらアウトプットをする。アフトプットにはブログやSNSがいい。表現をしたい欲求も満たされる。
映画や音楽を楽しめない人は主に着眼点がないからだ。見る目を養えばどこに注目したら楽しめるのか教えられる。それをアウトプットすればいい。
表現してストレスを感じるようなら無理して公開しない。見せる人を絞るか自分に向けて書くだけでも、頭が整理されて効率よく学習できる。
ときおり難しい課題にチャレンジしてみよう。今の自分で解釈できる簡単なものから抜け出せば成長は促進する。
平日の断酒に成功したら、
酒の魔力には打ち勝てたのだ。
おさらい
自分ができることを過大評価するのは人間の本質である。一気に全て変えようとするから困難に耐えきれず諦めてしまう。
習慣を変えることは客観的に見たら簡単そうだ。しかし実際はすごく難しい。他の生物は習慣を変えることなどできない。
そんな人間の性質を理解して、客観的に自分を操れば習慣は変えられる。
このトレーニングで自分を知った人は困難に対する耐性が付いている。
成長に目を向ければ、幸せな人生は訪れる!
イライラしない名作漫画