「確認不足が多いぞ!慣れた書類の見間違いには特に気をつけろ。」
胸に突き刺さる上司の叱り声。
最近ミスが多いと自覚している。思い込みで行動するから勘違いが生まれて、仕事のし忘れが多い。
昔はやる気があったのに、最近どんどん失われていく……
ビジネスシーンでは思い込みによるミスが致命傷になり、笑えない失敗談ができてしまいます。
どうしたら思い込みによるミスは減るのでしょうか?
集中力を維持して、仕事の管理手法を活用すれば、ミスは大幅に減らせます。
ミスを減らすには仕事へのぞむ基本姿勢から改善しましょう。
【前記事】思い込みの基礎知識
思い込みミスの原因は勘違い。短絡的思考の良し悪しを丁寧に解説目次
思い込みミスの改善法1.体調管理でミスの確率を1%に
集中力の違いが分かるフェーズ理論
仕事で起こるミスの多くは不注意が原因です。
ものごとの一面しか見ずに判断をするからうっかりミスが生まれる。つまり思い込みせいで失敗するのです。
とりわけ体調が悪いと集中力が大幅に低下してしまい、思考力が働かない。
深く考えられないため、見た目から結果を知ったかぶって想定する「短絡的志向」におちいります。
つまり自分の体調管理は仕事をする人にとって、最大の責任の一つといえます。
その重要性を知るために、人間の集中力を5段階で示した「フェーズ理論」を参考にしてみましょう。
- フェーズ0:無意識状態(睡眠中など)
- フェーズ1:意識がぼやけた状態(疲労、居眠りなど)
- フェーズ2:正常レベル、リラックス状態(安静状態、やる気が出ていない)
- フェーズ3:正常レベル、集中状態(やる気がみなぎり、意識が明確)
- フェーズ4:緊張・興奮しすぎ(注意が一点に集中。冷静な思考ができない)
集中力はフェーズ0が最低、フェーズ3が最高です。つまりフェーズ3の状態で居続けたい。
しかし体調不良だと意識は正常レベルに達しません。そのためフェーズ1の状態になる可能性が著しく高くなる。
意識がぼやけてしまうので、ミスは……もちろん多くなるでしょう。どれくらいミスの可能性があるかというと、
行動の10%以上でミスをする。
つまり10回に1回は失敗してしまう。
ミスの確率の参考資料:ものづくり・サービス提供におけるヒューマンエラーの防止
例えるならスーパーマーケットのレジ打ちで一日に500人対応するなら、50人に迷惑をかけるという計算なのです。
体調管理ができていないと、そもそも仕事にならないのです。
前日の過ごし方で翌日の体調は変わる
ではどんなことが体調を崩すのでしょうか?
- 二日酔い
- 寝不足
- 過酷なダイエット
という悪い習慣が代表的。
つまり体調を整えるには、前日の行動を整えるのが重要なのです。具体的には以下のように、
- 深酒しない(ビール500ml程度まで)
- 寝る前には酒を飲まない(理想は就寝4時間前まで)
- しっかりと睡眠を取る(8時間が理想。多すぎも少な過ぎもNG。最低6時間が目安)
- 寝る前にベッドの上でスマホゲーム・動画視聴をしない(睡眠に悪影響)
- 魚・野菜を食べる
- 必要十分なカロリーを取る(参考:ダイエット | e-ヘルスネット 情報提供)
などの項目に気をつけるようにする。
体調管理をしたら意識のフェーズが正常状態(フェーズ2以上)になる。
フェーズ2になるとミスの確率は1%まで下がります。それだけではまだミスの確率は高いですが、フェーズ1と比べると10分の1に減りました。
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思い込みミスの改善法2.適度な休憩がミスを0.0001%に
集中力の減退でやる気が落ちる
意識のレベルがフェーズ2になると、ミスの確率が1%になる。それでもまだまだ安心できませんよね。
フェーズ2はだらだら仕事をしている状態、つまりやる気が不足して集中できていないのです。
そんな状態ではミスがたびたび起こってしまいます。
なぜやる気がでないのでしょうか?2つのタイプに分けて考えてみましょう。
- 仕事そのものにやる気が出ない人
- 仕事そのものにやる気はあるけれど、集中力が続かない人
仕事そのものにやる気が出ない人は、改善が難しいです。
そんな人は仕事にやりがいを感じられるように価値観を変えるか、仕事そのものを変えたほうがよい。
当記事では下段のケース「仕事そのものにやる気はあるけれど、集中力が続かない人」に向けて話します。
一説によると集中力は連続して90分しか保てないと言われている(諸説あります)。
休憩を挟まずに連続で仕事を続けると、集中力が低下してやる気が落ちてくるのです。
ストレスの限界サインは集中力低下。仕事のペースを管理して改善
新しいチャレンジを始めたときは希望に満ちあふれていました。 しかし集中力が続かずに停滞を感じる。 「こんなつもりじゃなかったのに……」「私ってダメなのかな……」 積み重なるストレスを放置して心がむしば ...
適度な休憩を取れる仕事術
体力に余力があったとしても、気を張り続けると集中力が落ちていきます。
それを防ぐためには適度に休息を取ることがいちばんでしょう。
集中力が保てる90分の仕組みを応用した「ウルトラディアン集中メソッド」という方法を使えば、適度に休憩をはさみながら仕事ができます。
以下の記事が参考になると思いますよ。
集中力アップの方法はウルトラディアンで決まり!仕事も勉強も
自宅で「仕事をがんばるぞ!」と意気込むも、気がついたらスマホをいじっている。やらなきゃ、という焦る気持ちと、仕事に向き合いたくない気持ちの葛藤・・・それが自分を苦しめる。 一方で、仕事をバリバリやって ...
ウルトラディアン集中メソッドは「90分集中して、20分休む」を繰り返す作業法です。
しかし職場環境のせいで20分も休めない人は、10分でもいいので小休憩を取る。その代わり昼休みにしっかり休みましょう。
可能であれば昼休みに15分程度の仮眠をします。横にならずとも机に突っ伏すだけでOK。
15分の仮眠は3時間の睡眠に匹敵する集中力回復効果があると言われています。
適度に休息をとってフェーズ3(最高の状態)の状態を維持できると、
ミスの確率は0.0001%になる。
確率が100万分の1では、ミスはほとんど起こりませんよね。
集中力が高まると、
- 面倒にならず熟考できる
- 周囲の状況によく気づく
- 手順を間違えない
このように仕事そのものの能率UPにつながるので、ミスが減るのも納得です。
思い込みミスの改善法3.ToDoリストでし忘れを防ぐ
ToDoリストで仕事の一覧を確認できる
本当は仕事があるのに「仕事がない」と思いこんでしまうと、ミスを連発してしまう。
あるとき突然上司が近づいてきて
◯さん、報告書の提出期限は、今日までじゃなかったかな?もうみんな出しているんだけれど……
と言われてしまったら嫌ですよね。
「そんな約束した覚えはない!」とか、「急がなきゃ評価が下がる!」などの考えが頭をよぎる。
結果として気持ちがどんどん焦ってゆき、また新たなミスをしてしまうのです。
焦ると意識はフェーズ4の状態になる。
フェーズ4はフェーズ1並みに集中力がありません。
つまり10%の確率でミスをしてしまいます。
そこで必ず実施したいテクニックは
ToDoリストを作ること。
ToDoリストとは、
- するべき作業を書き出して一覧にする
- 終わったものにチェックを付ける
そうすることで作業のし忘れを防ぐ仕事管理ツールです。
これを付けるだけで、仕事のし忘れは圧倒的に減ります。頭で覚えているだけの状態より書き出したほうが忘れないのは当然ですよね。
すぐに見られるToDoリストを選ぶ
ToDoリストを付ける方法をいくつかご紹介しましょう。
- 手帳(スケジュール帳)に書き込む
- 付箋に作業を書いて、デスクに貼る
- パソコンのアプリを使う
- スマホのアプリを使う
方法はどれでもいい。選ぶ基準はどの場所なら一番「リマインド(思い出す)」するか。
手帳をつねに使っている人は、スケジュール欄に書けばいい。パソコンばかり使う仕事なら、パソコンアプリが自分の秘書になる、というわけです。
ちなみに僕はiPhoneを使っているので、iOSの標準アプリ「リマインダー」にタスク管理を委ねています。
リマインダーという名の通り、期限が迫ったらアプリが通知してくれるので、より一層忘れにくくなる。
僕はパソコンがMacBook(iPhoneと同じメーカー)なので、iPhoneで設定したリマインダーは、パソコンでも仕事を知らせてくれます。
このようにアプリを使うと非常に便利なのでおすすめです。
Androidには「Google ToDoリスト」というアプリがある。使い方を説明したブログを見つけたので、これらが参照になると思います。
103【リマインダーアプリについて】基本的な使い方やカレンダーとの同期方法など | MacMac.jp
スマホ版「Google ToDoリスト」使ってる?仕事もプライベートも一括管理:Google Tips - Engadget 日本版
効果的なToDoリストの書き方
残念ながらToDoリストを作っても、やる気が起きるとは限りません。
例えばこんなリストを見て、すぐ取り組む気になるでしょうか?
- 営業報告書
- A店に訪問
- 新人研修資料
見るだけで「面倒だな」と感じちゃいますよね。
ストレスが生まれるとToDoリストそのものを無視したくなる。そうなるとまったく意味がないのです。
しかし効果的なToDoリストを書けば、行動する意欲が湧いてきます。
その方法とは?
仕事効率化の専門家であるアレン氏が考案したGTD(Get Things Done)にそのヒントが隠されています。
”お礼のカードを書く”というのは、(中略)カードがなければ礼状を書けないと、頭のどこかではわかっているはずだ。
だからリストを見るのを避けて行動を先延ばしするだろう。
するべき行動の背景には、複数の課題がひそんでいる。そのため課題を明らかにして行動の全容を押さえなければならない。
どんな行動をすればいいのか、そのことを考えるのが面倒になると、つい先延ばしをしてしまうのです。
先延ばしを防ぐためにアレン氏は次に取るべき行動
を明らかにすればいいと考える。
やるべきことリストには、「お母さんの誕生日」とか「税金の申告をする」という項目は書かない。
次に取るべき行動を書くのだ。たとえば「宝石店へ車で行く」「会計士に電話をする」といったことだ。
アレン氏の発言の参考資料:WILLPOWER 意志力の科学 | ロイ・バウマイスター, ジョン・ティアニー, 渡会圭子
つまりリストを見ただけで行動できるようにToDoを指定します。
「宝石店へ車で行く」というように書けば、車に乗って宝石店に行ける。そうしたら買うものは一つ。お母さんの誕生日プレゼントしかありません。
この節の冒頭にあった例を書き直してみましょう。
- 営業報告書の資料を集める
- 営業報告書を作成する
- 営業報告書を部長に提出する
- B店へ営業車で行き、A店用の販促のぼりを回収する
- A店へ販促のぼりを持っていく
- 新人研修資料
- C先輩に前年度のデータをもらう
- 前年データとサイトDから情報収集
- 資料のドラフト作成
- 資料を作り始める
- C先輩にアドバイスをもらう
- 推敲・添削をする
- 人事部に提出する
行動を指定して記述すれば、するべき行動が見えてくる。
パッと見ただけですぐ行動できるように、要素を分割して記述します。できることから消化していけばし忘れを防げる。
上記の例では「新人研修資料」の項目を細かく分けていますよね。
初めて携わる仕事は、方法が分かっていないケースが多々ある。
そのため行動をより細かく指定したほうが、気負いなく仕事に望めるんです。
必要に応じて期限や重要度を追記すれば、より効果的になるでしょう。
ToDoリストがあるだけで、仕事のし忘れをほぼ解消できます。
実はもう一つ、ToDo管理の重要なポイントがあるのですが、今回は基本について押さえるだけでいいと思います。
もう一つの重要ポイントは次回の記事でお伝えしますね。
おさらい
集中力が欠落すると、短絡的な考えが増え、思い込みにつながる。
注意力も散漫になるので、たびたび仕事のミスは起こります。
とりわけ体調管理ができていないと、必ずと言っていいほど失敗する。
必ず仕事の前日はゆっくり休んで翌日に備えます。これは非常に合理的で即効性のある考え方でしょう。
たとえ元気があっても集中力は長続きしない。
常にフェーズ3の状態でいるためには、仕事中でも適度な休憩は欠かせません。
しかし集中力があっても記憶が維持できるわけではない。
し忘れを防ぐにはToDoリストを活用する。面倒がらずにきっちり管理していきましょう。その方が仕事も上手にできるのです。
今回は基本編をお話しました。複雑な仕事でもミスを無くすためには、さらに上級のテクニックが必要です。
次の記事でミス撲滅のテクニックをお話しましょう。