人気沸騰中のお高いバッグを肩から下げ、さっそうと街を歩く自分に優越さを感じる。
しかしクレジットカードの明細が届くたびに恐ろしくなる。ここ数ヶ月は封を開けた覚えがない。貯金はいつまで持つのだろうか……。
見えっ張りな自分なんて大嫌い。そう思うと胸が苦しいですよね。
どうしたらくだらない虚栄心を捨てられるのでしょうか?
人から認められたい気持ちは簡単には消えません。
だから中身のある方法で認められるようにすればよい。
見栄に潜む本当の欲求を解釈し、自分を成長させる考え方に転換します。
目次
見栄を張る人はコンプレックスだらけ人
消費活動で満たす自尊心
ブランド品で身を包み、自分が優れた存在だとアピールする。
短絡的な消費で満たそうとする自尊心は高慢な見栄です。周りの人からは良く思われないでしょう。
過去の僕の知り合いにそういった男性がいますが、ひと目でブランドが分かるモノグラムの商品を好むので、ブランドの印象がケバく感じます。
その人は強めに香水をつけ、胸をはだけてワルさをアピールしています。しかし本人は優しい男というセルフメージを持っている。
なりたい自分と現実の印象が一致していないので、尊大さが印象を悪くしています。
周りの人に都合の良い解釈をしてもらいたいという、他力本願な自己アピールに見えます。
強者に搾取されてしまう
見栄っ張りは基本的に自分が見えていない。だから強さや美しさの典型的なイメージに誘惑されてしまいます。
例えば前述のブランド好きは、ちょいワルなセルフプロデュースをしているホストなどの職種の人たちにあこがれを持つ。
残念ながら自分が見えていない人は、職業的に見栄を張る「プロ見栄ハリスト」たちに搾取されてしまいます。
プロ見栄ハリストたちは、例えば
- オレのメソッドがあれば確実に成功する
- 少しの作業で毎月10万円
- 20代の肌をリペアする高級美容液
- 毎日食べるだけでマイナス30キロ
など人の欲望をあおります。見栄っ張りは欲望を満たしてくれそうな甘いささやきにだまされてしまう。
- 見栄
- 不安
という2つの感情をターゲットにした産業は数多くあります。
そんな中には欲望をあおって実益のない商売をしている悪徳業者が多い。
自分を認められない
どうして見栄を張ってしまうのでしょうか?主な理由はこの3つです。
- 他人との比較で自己価値を計る
- 理想の自分にすがっている
- 物質的な価値観に囚われている
他人と比較して自分の価値を計る
優秀さを自分で実感できない。または優れているところはあると思っているのだけれど自信が持てない。
社会の中で優勢さを示したいと思っているのですが、自分自身を認められないので他人と比較して自分の価値を計ろうとします。
競争に身を置いているので、見栄を張って人より自分は優秀であるとアピールします。
理想の自分にすがっている
見栄っ張りの人は誰かに憧れていることが多い。または自分が一番でありたいと漠然と思う。その姿を自分の理想として抱えています。
理想の姿を表現しようと大げさなアピールや、ウソを用いて取り繕おうとする。
物質的な価値観に囚われている
育った環境の影響で、財産や所有物によって人の優劣を計る価値観を持ってしまう。
これらは全て、自分で自分を認められない心が根底にあります。だから周りの人にどう思われるか気になってしかたがなくなる。
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他人の見栄で苦しくなる
一部の見栄っ張りの人は対人関係でトラブルがあると、見栄を張ったことを後悔します。それに劣等感を刺激されます。
そんな状況でほかに見栄を張っている人を見ると、感情が揺さぶられて苦しくなる。
「自分は我慢しているのに、なぜあいつは見栄を張って得をしているのか」と感じたり、自分を棚に上げて「そんなウソは許せない」と思う。
相手の状況に自分を重ねるため、人ごとでいられなくなるのでしょう。
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見栄っ張りは嫌われる
付き合いが長いと相手の性格がわかるので、実は見栄っ張りなんだなと気づかれてしまう。
たとえウソを言っていなくても、自分のすごさを大げさに表現する人は信頼を失います。
また自分の見栄が相手のコンプレックスを刺激して、気づかないうちに悪口に聞こえてしまうかもしれない。
以上のように物質で自分を着飾るような虚栄心を持つと、人に信頼をされません。そして自分も相手を疑うようになる。
ついには道徳心を失い、人をだますような手口で商売(副業など)を始める人もいます。
見栄を張る性格を変えないと、自分の心を認められない寂しい人生を過ごすことになる。
どうしたら見栄っ張りな自分を変えられるのでしょうか?
見栄はどんな人でも持っている普通の感情です。自分をよく思われたいのは当然なんです。
だからこそ財産などの物質に誇りを感じるのを止め、
自分の内面を高めていく価値観を持ちましょう。
見えを張るのをやめて、健全な自己アピールをする方法
自分が見られたい姿を理解する
見栄っ張りな性格を変えるには、自分がどのように見られたいかを正確に理解する必要があります。
以下に例を出します。まず見栄を張っている行動をすべて書き出しましょう。
- ブランド品を身につける
- 外国人の友だちが多い
- 副収入で潤っている
次に書き出したものを検討して、なぜ見栄を張るのか原因を突き止めます。
- ブランド品を身につける→経済的に豊かだと思われたい
- 外国人の友だちが多い→交友関係が広いと思われたい
- 副収入で潤っている→優れた能力を持っていると思われたい
さらに現実の自分と比べて、大げさすぎる表現を見極めます。
- ブランド品を身につける→無理をして購入している
- 外国人の友だちが多い→一人だけしかいない
- 副収入で潤っている→小遣い程度しか収入がない
大げさすぎる表現は相手に嫌がられます。人のコンプレックスを刺激して苦しめるかもしれない。
そのかわりに誇大でない現実的な方法を使って、自分の良い面をアピールできないか検討してみます。
- 経済的に豊かだと思われたい→ファストファッションでも身ぎれいにしていれば印象は良い
- 交友関係が広いと思われたい→広さよりも友だちを大事にできることを知ってもらいたい
- 優れた能力を持っていると思われたい→仕事を誠実にしていれば信頼を得られる
というように比較的健全な自己像を設定して、それに近づけるような行動を心がけます。
今まで自分をごまかしてきた見栄を捨てるのは、一筋縄ではいかないでしょう。
上記のような自己アピールを嫌味のない程度にするのは、それほど嫌がられることもない。
身ぎれいにするのも、友だちを大事にするのも、仕事を誠実にするのも、自分を肯定的に見せるための要素になります。
今後はウソをつかずに内面的な成熟さで、見られたい自分像を作り上げるようにします。
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内面的な自己呈示へ
自己呈示というのは「都合が良いように自分の情報を開示し、良い印象を持たれるようにコントロールすること」と、とらえます。
見栄も一種の自己呈示で、主に実際の自分を大きく見せようとする戦略です。ただし自己呈示は
- 良い面だけアピールする
- 都合の悪いことは隠す
- 反対に良い面を隠し弱いと偽ることで攻撃を防ぐ
など、より広い意味合いを持ちます。
今まで見栄っ張りだったのに、急にやめろと言われてもなかなか難しい。
代わりに自分の内面を磨ける活動を見つけて、見てほしい自分像をアピールする。
- 仕事に役立つ学びをする
- 音楽に詳しくなる
- 絵画鑑賞を楽しむ
- お酒の銘柄に詳しくなる
このように内容がある趣味をアピールする。自分を飾るだけの人よりは、ずいぶん印象が良くなります。
同じ趣味を楽しむ仲間ができるかもしれません。詳しくなれば人に教えることで役に立てるかもしれない。
ハッタリ系よりも意識高い系のほうが何倍もマシです。
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知識を深めて、知的好奇心を生む
内面を磨く自己呈示には知識がつきものです。よく見られたいと言う動機で始めた趣味でも、詳しくなると興味が高まってきます。
知的好奇心は疑問を感じないと出てきません。自分が持っている知識が素になって疑問は生まれます。
ある程度は詳しくなったほうが、知的好奇心が出やすくなる。
知的好奇心が満たされるとそれだけで快感なので、自分一人でも満足できます。例えば
自己呈示のためにオシャレをしていたはずが、知的好奇心のせいか新しいコーディネートを考えるのが楽しくてしょうがない
という気分になれる。
物質的な見栄も、知識を増やすことでこだわりに変えられる。例えば
高級車を自分で整備しているうちに愛おしくなってくる
という感じです。
その物事を深く知ろうとする気持ちがあれば、始めは見栄だったものが自分を成長させる活動になる。
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以上のように物質的な見栄を止めて、内面的な自己呈示を心がければ、社会的な印象はぐっと良くなります。
見栄っ張りを止めたことで、感じていた劣等感が弱まったはず。
しかし自分を大きく見せようとするのは、将来的には止めたほうがよいでしょう。
人と比較せずに、自尊心は自分の活動に自信を持つことで得るべきです。
虚栄心を捨て、ありのままの自分でいる。誰だって自分を磨いていけば、その域にたどり着きます。
どうしたら見栄を止められるのでしょうか?
コンプレックスだらけの見栄心を捨て去る活動
人の視線に耐えてみる
特に見栄っ張りの人は「すごい」と思われたいでしょう。そのため他人からどう思われているのか気になってしょうがない。
実際は周りの人から注目されていないため、特別視されていないかもしれない。それが理解できずに人の目を気にしてしまう。
そこで見栄っ張りを克服するために、人の視線に耐えることに挑戦してみましょう。
例えば見栄を張っていた部分を、わざと貧相にして外出してみます。他人の視線を浴びてみて、どう感じるか試してみる。
- ブランド物のバッグ→1000円のリュックサック
- 高級長財布→100円均一のマジックテープ財布
- 盛りすぎアイメイク→すっぴん
- 流行のコーデ→ジャージ
これで苦しくなって耐えられないようなら、家に引き返せばよい。
耐えられるようなら堂々と歩いてください。
しばらく歩いていると、貧相な格好をしていても周りの人は自分に注目しないのが分かってきます。
そして自分も見てほしいと思わなくなるので、人の目が気にならない。
そこで今まで自分は特別だと無意識で思っていたことに気づき、あるがままの普通の自分を受け入れられるようになる。
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がんばるという意思表示
理想の自分になるために努力をするのは健全な自己成長といえます。前述の例で例えると
- 経済的に豊かだと思われたい→経済的な豊かさを目指し努力をする
- 交友関係が広いと思われたい→交友関係を広げるために努力をする
- 優れた能力を持っていると思われたい→優れた能力が得られるように努力をする
思われたいという気持ちは、相手からの評価を期待しているだけです。
一方で願いを達成するために努力をするのは、行動を起こし自分を変えようとする取り組みがあります。
お金だって人脈だって能力だって、ないよりはあったほうが、社会に対しての影響力が高まります。
もし社会の役に立ちたいと思えるのなら、物質が豊富にあることは強い武器になる。
自分の力で成長しようと努力する気概を持てれば、見栄を張らずにありのままの自分を好きになれます。
おさらい
見栄っ張りは自分を好きになりたくて、自分が嫌いな人です。
他人との優劣が気になり、大きく自分を表現しようとする。現実の自分を直視せず、理想の自分を訴え続けます。
残念ながら見栄っ張りを隠そうとしても気づかれてしまう。見栄を張ることで反対に小さい存在だと軽視される。
見栄っ張りを止めて、現実の自分を認めたほうが精神的に楽です。
あきらめて一般の人と大差がない、ごく普通であることを理解します。
しかし今から努力をする権利は誰にでもある。
過剰な見栄はトレーニングによって軽減できます。
あなたは自分の意志で成りたい自分に向かって、成長を続ければよいのです。