仕事や私生活で発生するトラブルは人間関係によるものが大半だ。自分がしたい行動には無意識のうちに多くの人が関わっている。
人は自分の思い通りにはならない。原因を改善しないままでは同じトラブルが繰り返し発生する。そこで前向きな対策を取るために、心理学検定を学ぼうと考えた着眼点は鋭い。
ただし、心理学検定の学習本を選ぶとき、2つの問題にぶち当たる。
- ややこしい(難しい専門用語ばかりで、初学者は理解に苦しむ)
- うさんくさい(例:最強ホストが教える、人を手玉に取る心理術)
これらの問題は、わかりやすく信頼できる学習書「心理学ビジュアル百科」で解決できる。
はじめて心理学を勉強する人が「知りたいこと」と「知るべきこと」がわかりやすく解説されているからだ。
目次
心理学ビジュアル百科が独学に向いている理由
本題に入る前に著者の体験を話す。私が心理学を学び初めたときに選んだ教材は、あるカウンセリングの通信講座だった。値段の割には内容が薄く、費用対効果は非常に悪かった。
それでも、心理学の魅力が理解できたので、次のステップとして心理学検定の受験を選んだ。しかし、ほとんど心理学の知識がない私にとって、公式参考書は難しすぎた。
そこで、いくつかの基本書で、難しい学習に耐えられる基礎知識の習得をしようと考えた。その時に出会ったのが「心理学ビジュアル百科」だ。
この本に出会って、私の学習効率は非常に良くなった。以下、理由を述べる。
読んでみようと思わせる書き出し
心理学ビジュアル百科は、はじめて心理学を学ぶ人に特化した本だと言っていい。理由は、読み物としておもしろくすることに力を入れているからだ。これで初学者は勉強が楽しくなる。
文章はじめの書き出しが面白ければ、続きを読みたくなる。「なぜ?」と知りたい意欲が湧き、要点を求めながら読み進められる。すると、文章の大切な部分が明確になり、知識がうまく吸収できる。
これは読み手に寄り添ったありがたい工夫だ。この工夫は学問の本ではなかなか巡り合えない。大抵の本は、知識を伝えるだけの資料だ。だらだら話し続ける講師のような印象を受ける。
実際の例を出してみよう。
私たちの脳には小人が住んでいる。その小人は私たちの頭のてっぺんから足をかけて逆さまにぶら下がっている。口、舌、指が異様に大きく、それに対して腕や下肢は小さい風変わりな姿だ……。
これはペンフィールドのホムンクルスを説明したものだ(内容が難しくてすみません)。
「ふむふむ、小人ね。足が脳のてっぺんから逆さに?口・舌・指が異様に大きいだと、そして腕や下肢は小さい・・・なんて異様なんだ・・・」とイメージがしやすく興味が湧く。
普通の学習書なら「ペンフィールドのホムンクルスというのは、一次体性感覚野の体部位局在地図を擬人化したものである〜〜」という知識を説明した書き出しだろう。
ペンフィールドのホムンクルスをすでに知っていて興味を持っているのなら、知識を説明した書き出しでも読む気になる。
しかし、心理学をはじめて勉強する人はこの知識はない。そんな人は、専門用語の羅列を見ても興味を持てない。
せっかく心理学を学んで自分を成長させたいのに、この時点で挫折をする。
書き出しで「読みたい」気にさせることは、人を成長に導く。人の成長は明るい社会づくりにもつながる。すばらしい配慮だ。
ビジュアルイメージが充実している
文章だけで想像ができなかったことは、画像で確認したい。
心理学ビジュアル百科は、その名の通りビジュアルイメージが豊富なので、画像で確認できる項目が多い。
例を出してみよう。テーマは変化の見落としについてサイモンズらが考案した変化検出課題。
見慣れない風景の画像1枚と、その画像の一部(位置や色など)を変えた別の画像を交代させて提示すると、提示の状況によっては変化を見つけることが非常に困難になる。
(中略)変化の見落としと言われる心理学的現状である。(中略)二枚の画像が完全に入れ替わるように、変化の速度を極めて遅くする場合にも見落としは高い確率で生じる。
文章だけでもなんとなく意味がわかるので、理解した気になるかもしれない。しかし、頭の中でこの事象をうまく想像ができないと自分なりに解釈ができない。よって、記憶が曖昧になる。
画像を見て、自分自身で意味を体験できれば、知識は洗練され必要な時に思い出せる。自分で体験できたものは、人に説明するときに言語化しやすい。
また、文章よりも画像による情報収集が得意な人もいる。自分の特性に合わせてテキストを選ぶ際の参考にできる。
例文が豊富でわかりやすい
当然かも知れないが、文章は読者が「わかった!」となってはじめてその役目を果たす。つまり、わかりやすい文章とは、「読者が理解をしていく流れ」に沿った文章だ。
実は、これは読みやすい文章と少し違う。読みやすい文章は「論理的」で「ちょうどいい文量」であることが必要だ。論理的な文章は誰でも読みやすいが、ちょうどいい文量は人によって違う。
すごく想像力の優れた人なら、要点を読んだだけで自分なりに理解できるかもしれない。そんな人は、心理学ビジュアル百科は「くどい」と感じるだろう。
心理学ビジュアル百科は、一度読んだだけでは新しい知識を覚えられないような「普通の人」に向けて書かれた本だ。一つの知識を説明するために例文を重ねる。
難しい知識になるほど、普通の人は要点を聞いただけで理解できない。並の想像力を補ってくれる例文がないとイメージできないのだ。そしてわかりにくい内容は、複数の例文を読みたいくらいだ。
例を1つ。テーマは。熟達者のスキーマ(知識を体系化するための心理的な枠組み)について。
熟達者のスキーマは(中略)常人では識別困難な微細な違いを感じ取り、また行動を予測し、先読みすることができる。これらのことは眼球運動を測定するアイカメラを用いて、考古学の専門家やバスケットボール、野球の熟達者の目線を追った研究において実証されている。
このわかりにくい内容を、以下の例文で解説している。
熟練した考古学者は土器を見る際、その形式を決定する形態的ポイント(例えば、全体の輪郭、傾斜の交換点、縁など)にテンポよく次々と視線を向けていく。(中略)言語化が難しい時の絶妙なプロポーションを正確に描画できる。
絵を描く人などにはわかりやすい説明だが、この例ではいまいちピンとこなかった人も多いだろう。そこで、以下のような例をさらに加える。
また、バスケットボールのフリースローを観察して、シュートの成功・失敗を判断する際、初心者はボールに視線を向けるが、熟達者はシューターの膝の曲がり具合や、下半身から上半身の運動などをよく見ている。
具体的にイメージしやすく、初心者と熟達者の視線の違いがよく分かる例だ。これで理解ができるだろうがさらにダメ押しで以下の例。
さらに、熟達した野球の打者は、投手の投球動作をよく観察し、ボールが放たれる直前の位置にあらかじめ視線を向けてボールをとらえる。
ここまで例を出されると、「納得」と言ってしまうだろう。もちろん、このテーマにも図解があるのでさらにわかりやすい。
広い紙面、重厚な紙質
心理学ビジュアル百科は247ページの書籍なのだが「943グラム」の重さがある。参考までに1,631ページの国語辞典は「907グラム」だったので、それより重い。
重い本にはデメリットがある。持ちながらの読書が大変。心理学ビジュアル百科を腕で毎日持ち上げていると、いつの間にか三角筋と上腕二頭筋が鍛えられる。ただ、その役目はダンベルで十分だ。
しかし、それを補うメリットが2点ある。
まずは広い紙面。見開きB4超の広い紙面を上手に使い、図と字を見やすいバランスで配置している。適度な余白が圧迫感を防ぎ、とっつきやすいイメージをもたらす。
次に重厚な紙質。頑丈で破れにくいだけではなく、図表の発色が良い。そして図だけではなく、背景画像もフルカラーだ。頑丈な紙質がないとここまで豊富な色使いはできないだろう。
この2点がさらに本誌を読みやすくしている要因だ。
初学者でも理解できる目次
心理学ビジュアル百科は全体的に初学者でもわかりやすい言葉づかいにこだわっていると思われる。特にわかりやすいのはページタイトルだ。
ページタイトルは書かれている内容を短い言葉で示す。例えば心理学ビジュアル百科に以下のようなページタイトルがある。
学習しなければ未来はない
「ずいぶん刺激的なタイトルだ。勉強が必要なのはこれまでの経験でよく分かるけど……未来がないってどういうことなんだろう?」と興味を引くタイトルだ。
このページの内容からは「古典的条件づけ」とタイトルが付けられる。専門用語のタイトルは内容を知らないと興味を持てない。
一方、心理学ビジュアル百科は、意味の説明よりもその先にある知識の活用イメージをタイトルで表現している。
初学者は心理学を使って「何かを変えたい」わけであり、意味を知ったからと言って応用手段がわからなければその知識は宝の持ち腐れになる。つまり今の自分を何も変えられないのだ。
こんなタイトルが並んだ目次は、見ているだけでも楽しい。自分の潜在的な欲求を見つけ出してくれるタイトル付けは、はじめて心理学を学ぶ人の気持ちに寄り添う、著者の思いが感じられる。
読み終わった後は心理学検定を
心理学ビジュアル百科を購入したら、なんども納得行くまで読み進めてほしい。広い科目が網羅されているので、仕事や生活のさまざまな場面で知識が活用できるはずだ。
心理学は膨大な知識が蓄積された学問だ。そして専門的な知識を身につけるには高度な資料を読み解く必要がある。
心理学ビジュアル百科でもある程度の基礎知識は獲得できる。しかし、さらに基礎知識を深めたほうが、より専門的な勉強が楽になるはずだ。
そこでおすすめなのが、
心理学検定に挑戦すること。
心理学検定は、心理学の知識を測定する検定試験。難易度は初学者向け。学習に必要な費用は参考書くらい。検定料は6240円から。
おさらい
心理学は人の心を操ったり惑わしたりする怪しい学問ではない。むしろ、心について関心を深めることで、自分の心・他人の心と冷静に向き合い、社会をより良く発展させるための学問なのかなと思います。
著者は心理学を学んだことにより、生活上のさまざまな点で多くのことに気づくようになりました。
気づくとそこから思考が生まれる。それを表現していけばいろいろな経験ができる。それを繰り返せる人は「頭のいい人」になる(一般的なイメージですが)。
3,000円を超える書籍は高くて、手が出しにくいかもしれません。しかし長い間、自分を支える本になるはずです。
学ぶことは気づきを増やすこと。それは必ず自分を成長させます。行動を起こすことが、自分を変える条件ですから。
心理学初学者向けの決定版